●ムジナモの植物画
牧野富太郎。1893. Notes on Japanese Plants, XIX。植物学雑誌(BMT)。7(80):285-286. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/7/80/7_80_285/_pdf/-char/ja
ムジナモの開花は、日中の数時間に限られる。
世界の植物学者が観察できなかった開花時の線画を精緻に描いていることが世界中を驚かせたことになります。
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上記、①で日本新産の報告、②で和名を「ムジナモ」とするとしているが、どちらも査読を受けない「雑録」の形態で記述されている。
学会誌では、①原著論文(original article)、②報告(report)、③資料(data)までは科学的な齟齬が無いか査読を受けることになります。
その他、④意見(opinion)、⑤雑録(meroranndamのようなものか?)などは、査読の規定がなく、編集者の一存で掲載されることがあります。
牧野は、植物学雑誌(Botanical Magazine Tokyo、略称:BMT)の主催者であり、編集者でもあるので、①~③までの著作物は専門家の査読を受けることになりますが、④,⑤のような雑文(とまではいかないまでも)などは編集者の権限などでほぼ無査読で印刷されることになります。
ムジナモの細密画が正式に学会誌に発表されたのは、上記BMT:7(80):285-286(1893)となります。
この直前に、牧野は「Illustrations of the Flora of Japan」, to Serve as an Atlas to the Nippon-shokubutsushi [of J. Matsumura]. Tokyo(1890-1891)
牧野富太郎。1888-1891.日本植物志図篇。敬業社。東京。を出版しており、この中でムジナモの細密画を発表したかもしれません。
国会図書館などで、原著を閲覧すればわかるはずです。
上記の経過を整理すると、
①牧野富太郎。1888-1891.日本植物志図篇。敬業社。東京。でムジナモの細密画を掲載か?。【原本を確認しないと不明です】
②牧野富太郎。1890. in 雑録(p230-p236)○Aldrovanda vesiculosa L. 日本否ナ東京近郊ニ産ス。植物学雑誌。4(40):235-236p.で、発見の報告。
③牧野富太郎。1890. in 雑録(p424-p430)○むじなも(新稱)Aldrovanda vesiculosa L. 植物学雑誌。7(80):425p.で和名を「ムジナモ」とする。
④牧野富太郎。1893. Notes on Japanese Plants, XIX。植物学雑誌(BMT)。7(80):285-286.で、正式に学会に植物画を発表という順番になると思います。