近畿植物同好会 掲示板
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キクモ? コキクモ?
伊吹寛子 投稿日:2022年09月25日 18:03 No.347
コキクモ?探しのきっかけは今年の4月、植村先生に高原英明氏のコキクモについての近畿植物同好会掲示板の記事(2015)の一部を見せていただいたことです。それによると高原氏の観察地は京都市伏見区向島ですが、向島の田圃と言っても巨椋池干拓地ですから広大で、4月に観察会の案内をしていただいた坂東忠司先生にお尋ねしますと、8月末に干拓地の宇治市側で今年コキクモ?を目撃された場所を3か所、丁寧な航空写真の地図付きでお教えくださいました。感謝に堪えません。早速植村先生にご連絡すると共に観察を開始し、最近ようやく私自身も向島に群生地を1カ所発見しましたので、計4箇所で、農家さんに迷惑を掛けないように気遣いながら、8月の日差しを遮るものの無い炎天下、干拓地を行き来して観察し今も続けています。

観察の参考にしているのは植村先生にいただいた資料や手元の図鑑ですが、高原氏がキクモ、コキクモについて詳細に記しておられる記事を、ある方が教えてくださいました。氏はそこに追記として『…が、よく分からん』と記しておられます。氏が「よく分からん」と言われる両者の区別、「いわんや私ごとき初心者がヲヤ!」と呟いています。

観察した様子では、8月末に初めて見に行った時は茎に輪状につく沈水葉は糸状で泥の上に寝ていましたが、やがて茎の先端だけでなく水中の一部の葉腋からも、噴水の水が湧くように茎が気中に立ちあがり、キクモの名にふさわしいキクに似た葉を輪状につけ、5㎝ほどの高さで薄紫の筒状の小さな花をつけ始めました。

実際にキクモとコキクモの両者を見たことがなく識別は困難ですが、資料のコキクモの特徴に合致することが幾つか見られます。①茎の高さがせいぜい10㎝ぐらいであること ②茎・葉・萼に毛がほとんど見られないこと(資料によっては「無毛」とありますが) ③花筒の主に下側一部に紅色がかった縦筋がかたまってあること ④花筒内側内面の上側に軟毛があること ⑤花柄、果柄が見られること ⑥花柄や萼、葉に見られる小さな白い点は、コキクモの特徴として記されている腺点でしょうか、等々です。 

しかし現在観察中の物にも時には花・果柄が見られない物もありますが、「渡良瀬植物の会」のサイトには「柄は花筒が落ちてから蒴果が熟す過程で伸長する」とあり、角野康郎「日本の水草」には「果実を欠いた状態でキクモとの識別は困難」とありますので、今後の様子を観察していきたいと思います。現状を、キクモかコキクモか考え中のまま投稿させていただきます。間違えていることなど多々あるかと思います。お教えいただけましたら幸甚でございます

写真は
1枚目:それまで糸状の沈水葉だけだったが、抽水葉が立ちあがり始めた。
2枚目:立ちあがった茎に花をつけ始めた。
3枚目:上記③、⑥に記した特徴(花の下側の紅色がかった縦筋)(腺点?)が見られる。
4枚目:④に記した花の内面の上側の軟毛が見える。
5枚目:花の終わった後に⑤に記した柄が見られる。
6枚目:小さな花にも…。


伊吹寛子 投稿日:2022年09月26日 09:24 No.351
キクモかコキクモかの判断はなかなか私には難しいですが(ご多忙の植村先生、早く田圃をご覧いただきたいで~す!)、昨日藤井先生がご教授くださいました中に「キクモ:Limnophila sessiliflora (Vahl) Blume 花は無柄または稀に1.5mmの花柄を持つ」とありました。また角野康郎「日本の水草」のキクモのページに「花は…無柄」とありますが、コキクモLimnophila trichophylla(Kom.)Kom.には先日も一部引用させていただきましたように「果実が有柄(長さ2~10㎜)であることが特徴。果実を欠いた状態でキクモとの識別は困難である。キクモ、コキクモともに…秋にはよく結実するので、この時期の標本があれば同定は容易である」とあります。

何百本もがカーペットのように群生する場所の一本の様子です。果柄は上記キクモの「無柄または稀に1.5mm」の範疇ではなく、角野氏のコキクモ「果実が有柄(長さ2~10㎜)」にあたる長さです。撮影は相良さんです。貴重な資料だと思います。


キクモ?コキクモ?顛末記? 伊吹寛子 投稿日:2022年11月07日 19:25 No.397
11月3日、巨椋池干拓地の稲刈りが終わったので、稲刈り機の入った後の田圃のキクモ?の様子を見に行きました。稲刈り後、3度目です。この夏、最終的には6カ所(坂東忠司先生に8月27日教えていただいた3か所と、私が9月21日以降に順次見つけた3か所)で観察をしていました。そのうちの2か所では稲刈り後は姿が消え、残る4箇所で一部に機械に踏まれた跡が見られるもののエンジ色の草紅葉の状態で、まだ花をたくさんつけて元気でした。それら4箇所では特徴が共通するように思われましたので、拙い写真を基に気づいたことを書かせていただきます。間違いがありましたら、ご教授下さいませ。

まずキクモかコキクモかの同定ですが、結局私にはキクモかコキクモかの同定は難しくてできません。同定にあたって、植村修二先生にご教授いただいた複数のサイト、藤井俊夫先生がご投稿〔348〕で同定のためにご教授下さった台湾の研究者のサイト
https://ejournal.sinica.edu.tw/bbas/content/1997/4/bot384-11.html
を勉強させていただきました。後者は英文で躊躇われましたが、日本語訳を参考にしながらも、結局は分からない術語をすべて辞書で調べて、Intoroductionとおそらく「コキクモにあたると思われる」とご教授のあったLymnophila taoyuanensis Yang & Yen.spと、キクモLimnophila sessilifloraの全文を丁寧に読みました。
また、角野康郎「日本の水草」を大変参考にさせていただきました。

同定できなかった理由を簡単に申しますと、
写真1のように、茎や萼の毛は「無毛か極めて少なく」、その点ではコキクモに一致すると思いました。

それに対して、角野氏が特徴としてあげられる果柄については、同じく写真1のような、また9月26日の拙稿に使用させていただいた相良さんの画像や拙文に示したような有柄の果実が多く見られ、それもコキクモに一致します。しかしキクモのように果柄がないのも少しあることが、私にはコキクモとは同定できない理由です。もっとも、果柄の無いのは茎の先端部分に多いので果実が成熟過程にあり、先で有柄になるのかもしれませんが。また上記台湾の研究者のサイトでは果柄は注目点になってないようです。IntroductionのKey to the Species of Limnophila in Taiwanにはこの2種についての果柄は言及されておらず、本文中にはL. taoyuanesis Yang & Yen.spにはcapsule unknownとあり、L. sessilifloraには全く言及はありませんでした。

これまでの拙稿〔347〕でもコキクモの特徴に合致すると思われる点を花などについて述べさせていただきましたが、今回の果柄の問題が、コキクモと同定できない理由です。また、台湾の研究者の挿図から判断すると、むしろキクモL. sessilifloraに近いです。

同定以外で気づいたことは、
写真2 根について:9月25日に記したように、水中に寝ていた茎の輪状の葉の腋から抽水葉が立ちあがったようですが、その立ちあがった場所から根が出て、抽水葉の茎を支えているようです。

写真3 葉について:茎の先端近くの葉はキクモ、コキクモの名のようにキクの葉に似ていますが、下ほど切れ目が深く糸状です。

写真4 種子について:目盛1㎜。調べた物では、果実1個あたり約70個見られました。黒光りしてほぼ卵形です。

色々調べていくうちにネットで思いがけない情報に出くわしました。キクモLimnophila sessilifloraが「古典的な水草であり…水中葉の水草の姿では『キンギョモ』として親しまれてきた草で、近年では東南アジア産のものが『アンブリア』として販売されている」というのですhttp://www.neko-net.com/hana/archives/9828 。確かにYahoo shoppingに学名も記されて出ていました!幼い頃に「キンギョモ」として親しんだ水草に、こんな形で再会するとは驚きでした。キンギョモからどんな抽水葉が出てくるか調べてやろう、と注文しました!




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