近畿植物同好会 掲示板
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テンダイウヤク、マツバラン、セッコク
磯野久美子 投稿日:2024年04月03日 00:53 No.1159
新宮に行くことがあり、テンダイウヤク(天台烏薬)の花に遭遇しました。
3月30日、夕方ギリギリに滑り込んだ「浮島の森(正式名:新宮藺沢浮島植物群落)」で開花しているのを薄暗い中で見た翌日、徐福公園に寄ったら公園中におびただしい数のテンダイウヤクが植えてあり、青空の下でよく観ることができました。
満開の個体と全く花がない個体があることに気がつきましたが、撮った写真を拡大して見直すと、どれも雄花ばかりのように見えます。 
公園の立て札で雌雄異株だということを知りましたが、花がついていなかった個体が全部雌株だったのかどうかは分かりません。でも、ひょっとすると、ハナノキみたいにこれも雌花の開花が遅いのか、あるいは早いのかもしれないと思いました。

テンダイウヤクは新宮の町のあちこちでちょこちょこ見ました。「新宮市の木」の一つにもなっていると知りました。あと二つはナギと熊野杉だそうです。ナギは熊野速玉大社に日本一の大樹があるからでしょうか。
あとよく見かけた木はタイミンタチバナです。クルッとカールした新芽が可愛いです。

そのほか印象に残った植物
(1)マツバラン
徐福公園のテンダイウヤクを植えてある大きな花壇のような囲いの石垣状になっている側面にはマツバランが生えていて、鮮やかな黄色の胞子嚢をつけていました。
(2)セッコク
熊野速玉大社では大きなオガタマノキの高い所にセッコクが着生していて、白い花を咲かせていて美しいでした。
(3)スミレの仲間
神倉神社のガタガタの急勾配の石段は恐ろしかったですが、足元にフモトスミレが沢山咲いていて、癒やされました。
町中の歩道の端にアリアケスミレが満開の所があり、きれいでした。スミレも見ました。
(4)サクラの仲間
神社にも山肌にも桜がもう大分咲いていてきれいでした。
今年ももう山笑う季節になったんですね。

写真
1枚目 大きなオガタマノキに着生しているセッコク(熊野速玉大社)(3月31日)
2~3枚目 テンダイウヤク(浮島の森)(3月30日)
4~8枚目 テンダイウヤク(徐福公園)(3月31日)
9枚目 タイミンタチバナ(浮島の森)(3月30日)
10~11枚目 マツバラン(徐福公園)(3月31日)


今頃咲いている桜は、クマノザクラかも? 藤井俊夫 投稿日:2024年04月03日 11:34 No.1161
●和歌山(紀伊半島)のサクラ類について

ヤマザクラ、カスミザクラ、栽植のソメイヨシノのほかに、近年新種として記載されたクマノザクラが咲いているはずです。
開花期は、クマノザクラが最も早く(3月中旬から)、次にソメイヨシノ、ヤマザクラ、カスミザクラの順に咲いていくようです。
以下のsiteに模式図(ダイヤグラム)があります。
https://tiisys.com/blog/2018/03/15/post-4375/
クマノザクラの主な成育地点(map)●川沿いの崖地に生えている。
https://kozagawakanko.jp/663/
map:④の上、「滝の拝」で、2021.Mar.17に、見ています。

勝木俊雄。2020.紀伊半島南部に分布するサクラ属の新種クマノザクラの発見と保全・利用に関する指針の提案。樹木医学研究。24(1):14-15.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/treeforesthealth/24/1/24_14/_pdf
勝木俊雄。2017.サクラの分類と形態による同定。樹木医学研究。21(2):93-104. ●クマノザクラは、まだ載っていない。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/treeforesthealth/21/2/21_93/_pdf/-char/ja
Katsuki,T. 2018. A New Species, Cerasus kumanoensis from the Southern Kii Peninsula, Japan.Acta Phytotax. Geobot. 69 (2): 119–133(●原記載)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/69/2/69_201801/_pdf/-char/en

クマノザクラは、川沿いの崖斜面に生えています(崖の下部)。
多分、崩壊地などに出てくる「gap spesies(先駆性樹木)」だと思います。
ヤマザクラ、カスミザクラは、崖の上部または尾根沿いに見られます。

●セレッソ大阪のホームグラウンド(ヨドコウ・桜スタジアム)にも植えていた。
熊野エクスプレスの2021年3月28日の記事
https://kumano-express.com/sakura-repo/sakura-arekore/cerezo/
ヨドコウ桜スタジアム完成直前記念イベント「ヨドコウ桜スタジアムに植樹しよう!」のアナウンス(2021.03.23)
https://www.sakura-stadium.jp/information/181/
セレッソ(Cerezo)は、スペイン語で「桜」の意味。
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1枚目:「滝の拝」の看板
2枚目以降:クマノザクラ


Re:クマノザクラかも 磯野久美子 投稿日:2024年04月05日 01:12 No.1164
藤井俊夫様

沢山サクラの文献をありがとうございます。
先日の新宮では、ただ、ああ桜が大分咲いて来てきれいやなあとか、やっぱり南紀は大阪より暖かいんやなあ、位しか思わず、あんまり写真も撮っていませんが、ぼんやり見ながらも色んな桜があるなあと思いながら歩いていました。
クマノザクラがソメイヨシノより早く咲くとお聞きして、なんとなく腑に落ちたような気もします。
山が笑っている写真はこれ一枚しかなく、山肌がピンク色の辺りが川沿いの崖地かどうかは分かりませんが、ひょっとするとクマノザクラかも…。
それと、6年前の発見時に、クマノザクラは観賞価値が高いので種苗普及を計画していると森林総研の方が書いておられるので、神社や町中で見た桜の中にも既に植栽されたクマノザクラがあったのかもしれないなあと思ったりしています。

写真 熊野速玉大社から見えた山肌(3月31日)


和歌山県新宮市に野生化したテンダイウヤク(天台烏薬) 植村 修二 投稿日:2024年04月08日 19:57 No.1171
近畿植物同好会の南紀観察会の下見で、和歌山県新宮市でテンダイウヤクが山地に野生化していました。
「なぜ、なのだろうか?」、調べてみると、「新宮にテンダイウヤクがどうも最初に持ち込まれらしい」のです。ただ、その後、詳しく調べていませんでした。

今回、磯野さんの投稿を読ませていただき、ネットで調べてみました。

「秦の始皇帝が徐福を東方に派遣したところ台風に遭遇し、今の和歌山県新宮に流れ着きました。土地の人々の暖かい友情に触れて永住の地と定め、不老不死の妙薬テンダイウヤク、捕鯨法などを日本に伝えたといわれています」

こんな伝説があり、JR新宮駅前には、徐福のお墓や徐福公園が造られ、徐福像があるそぷです。

しかし、テンダイウヤクは、「江戸時代に中国から渡来した」という説がどうも正しいようで、「当時、将軍だった徳川吉宗が暦学や本草学を奨励し、青木昆陽らが中国から導入したというのが事実のようです」とされています。

薬草がご専門の邑田裕子先生は、テンダイウヤクについて、以下のように解説されたことが載っていました。
「テンダイウヤクは、中国の天台山から日本の城州八幡(現在の八幡市)に持ち込まれ、繁殖が進み、八幡を中心に枚方の長尾・藤坂あたり一帯の山野に繁茂したと考えられる。ここから紀伊半島などに伝播されて広まっていったと推測される」


Re:テンダイウヤク 磯野久美子 投稿日:2024年04月09日 01:20 No.1172
植村修二様

テンダイウヤクがどこから来たのかという興味深いお話をありがとうございました。
徐福という人については諸説あるようですが、「徐福公園」の「ストーリー」では、徐福は秦の始皇帝の命により不老不死の薬を求めて熊野へ来て、この地に自生するテンダイウヤクという薬木を発見した、となっています。
写真2の看板にも、徐福が不老不死の薬が日本(熊野など)にあるだろうと当たりをつけ、始皇帝に探して来ましょうかと言ったら、始皇帝が喜んで舟を出したというような話が書いてあるので、私は言葉通り受け取って、へえ~、よく熊野にあると考えついたなあと感心してしまいました。
でも、実際には中国から日本に来た植物だったんですね。
大体が「秦の始皇帝」というめちゃくちゃ古い話なので、ああ、もうこれはおとぎ話の世界やなと思いはしましたが、実際に徐福さんのお墓があるので、なんだかリアリティもあって信じてしまいました。

写真1枚目 徐福公園にあった天台烏薬の説明
写真2枚目 徐福公園にあった徐福の説明
写真3枚目 新宮市観光協会の説明
写真4枚目 新宮徐福協会の説明


Re:テンダイウヤク 磯野久美子 投稿日:2024年04月09日 08:05 No.1173
申し訳ありません。
夜中に慌てて書くとミスばかりで、2箇所訂正しました。




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