近畿植物同好会 掲示板
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フクジュソウ
磯野久美子 投稿日:2024年03月12日 23:46 No.1124
3月10日、フクジュソウを見て来ました。
灰方バス停(京都市西京区)→大原野神社→山の中(急斜面を登ったり下ったり、ロープ箇所があったり)→大原野森林公園案内所→竈ヶ谷(渡渉16か所)→フクジュソウ群生地へ。
大原野森林公園には初めて行きました。

フクジュソウ群生地は日当たりの良い斜面全体を囲って管理されていました。斜面に沢山咲いていて、ややピークを過ぎている感じはしましたが、まだまだ満開で嬉しかったです。山越え谷越えして来た甲斐がありました。(今回は山歩きが主目的でしたが、車があれば案内所までは割と簡単に行けるのではないかと思います。)
ここのフクジュソウはシコクフクジュソウだという話も聞きますし、京都府内ものはミチノクフクジュソウだと判明しているとの記述(京都府レッドデータブック2015)もありますが、私には「福寿草」というだけで十分です。
管理区域の通路は狭く、次々と人がやって来るので、ゆっくり立ち止まっているわけには行きませんでしたが、とりあえず、数株で葉裏を見てみました。その場では毛はなさそうだと思いましたが、帰宅後、写真を拡大してみたら、全くないわけではないかもしれないと気持ちがゆらぎました。茎については折るわけにはいかないので中空かどうかは分かりません。花弁とガクの長さの関係やそのほかにも色々相違点があるのだろうとは思いますが、個体差もあるでしょうし、常々見ているわけではないので、どこで線を引くかの判断は私にはできません。
フクジュソウが群生する美しい光景は藤原岳の山頂付近と霊仙山で見たことがあります。藤原岳の山頂のはエダウチフクジュソウだと教えてもらった記憶があります。

フクジュソウの管理区域にはヤマネコノメソウも沢山咲いていました。
このエリアにはヤマシロネコノメというものが渓流沿いにあるそうですが、竈ヶ谷では水かさが増した川にはまらないようにするだけで精一杯でしたし、立ち止まることもできなかったので、残念ながら周りの植物にまで目が行きませんでした。またの機会の楽しみにしておきます。
ヒガンバナ科のような葉が沢山出ている所も囲ってありました。ここではオオキツネノカミソリの群生地も保護しているらしいので、それかなと思いました。ほかにも、なんだか分かりませんが、網をかけて保護している植物がありました。
この日、セリバオウレンが咲いていたという話も聞きましたが、残念ながら、私は遭遇できませんでした。
風が冷たく、山の中には薄っすらと雪が残っている所もあり、アセビがまだ小さな蕾をつけ始めた位の状況だったので、暖房の利いている案内所はありがたいでした。
大原野神社から山道に入ったすぐの所にはミツバチの巣箱が置いてありました。
下山途中に市街地が目の前に広がる見晴らしの良い所がありましたが、その奥に雪山が見え、とても美しかったです。蓬莱山あたりでしょうか???比叡山ではもうちょっと近いような気もしますし…。
町まで下りて来たら、菜の花畑が広がっていて暖かい春を感じました。灰方のバス停には「筍組合出荷場」の札がかかっていて、乙訓はタケノコの名産地だということを思い出しました。タケノコももうすぐですね。

写真
1~6枚目フクジュソウ
7~8枚目保護されている植物
9枚目  保護されている植物(オオキツネノカミソリ?)
10枚目 下山途中に見えた景色(遠方に雪山が見える)
11枚目 ミツバチの巣箱
12枚目 菜の花畑
13枚目 筍組合出荷場の表札


山本和子 投稿日:2024年03月13日 08:45 No.1125
磯野久美子様

藤原岳山頂のフクジュソウの花を初めて見てからもう60年近くになります。
最近山登りをしていないので見ることは出来ませんが懐かしいです。
その頃はフクジュソウしか知られていませんでしたが、現在は4種になり見分けが難しいですね。
私はいがりまさし氏の検索サイト「フクジュソウの仲間」を参考にしています。
https://www.plantsindex.com/plantsindex/html/group/gp_adonis.htm

フクジュソウ(エダウチフクジュソウ)の葉裏には僅かに毛があるか無毛だそうで、
鈴鹿山脈南部の山(盗掘が酷いので山の名はふせます)のシコクフクジュソウは間違いだと思います。
三重県南部(紀伊半島)のはシコクフクジュソウだそうです。


Re:フクジュソウ 磯野久美子 投稿日:2024年03月13日 12:04 No.1126
山本和子様

返信、ありがとうございます。
フクジュソウの分類についてはまだまだ色々研究途上のようで、ひょっとするとまた変わるかもしれませんね。
ただの植物愛好家の私には、せいぜいキンポウゲ科フクジュソウ属という所までで十分ですが。
その昔、キンポウゲ科というのはすごく原始的な植物だと習ったことがあり、それがとても印象的だったので、頭の片隅にずっと残っています。
元々キク科などのように花弁の数なども一定しないので、多様性にも富むのかもしれないなあとか勝手に思ったりしています。


Re:フクジュソウ 磯野久美子 投稿日:2024年03月18日 00:26 No.1131
3月16日、京都府立植物園で行われている山野草展を見て来ました。
タイムリーなことにフクジュソウ4種が出展されていて、しかもたまたま園の職員さんが説明されているのをお聴きすることもできました。
それによると、
①シコクフクジュソウとミチノクフクジュソウはDNA解析では同じグループに入る。
➁大原野のものはシコクフクジュソウと決定された。
➂シコクフクジュソウは2ルートで入った。最初大原野に入り、次に四国に入った。そのため、大原野の方が多様性に富む。
➃花弁とガクの長さの関係も決まっていなくて色々。
…ということで、先日、大原野で短い時間にパッと見渡しただけでもガクの長さが短いものもあったことに納得が行きました。(例:3月12日に投稿した4枚目の写真の中央の個体はガクが花弁の半分ほどしかありません。)
今回は4種並べて展示してあったので、キタミフクジュソウはまだ姿が現れていませんでしたが、シコクフクジュソウとミチノクフクジュソウは素人目には区別がつかないこと、この両者の緑色は深緑なのに対して、フクジュソウ(エダウチフクジュソウ)は明るい黄緑であることがよく分かりました。

写真
1枚目フクジュソウ4種(前列左シコクフクジュソウ、前列右フクジュソウ、後列左ミチノクフクジュソウ、後列右キタミフクジュソウ)
2枚目シコクフクジュソウ
3枚目フクジュソウ
4枚目ミチノクフクジュソウ
5枚目キタミフクジュソウ


9年前の室内例会のフクジュソウ 相良真佐美 投稿日:2024年03月18日 13:14 No.1132
4種のフクジュソウについて、山脇和也さんが、以前に室内例会で発表されたのを、思い出しました。

2015年1月の室内例会で、山脇和也さんのフクジュソウ(別名エダウチフクジュソウ)、シコクフクジュソウの現地撮影画像で、詳しい説明がありました。

当時の最新の論文での説明でしたが、以下を参考にされたと思われます。
 ■「フクジュソウ研究史」西川恒彦 1989
  https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/64/2/64_64_2_8276/_pdf/-char/ja

現在では、以下が、分子系統的解析と形態学的解析ではうまくまとめられていると思います。
 ■「古典園芸植物「福寿草」の栽培化にフクジュソウ属植物の多様化がどのように関与したか」
  https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-17K07527/17K07527seika.pdf

しかしフクジュソウ類は奥が深くてくじけました。当時の自分には深入りできませんでした。


Re:フクジュソウ 山脇和也 投稿日:2024年03月18日 22:53 No.1133
フクジュソウについては、先日東北大学で開催された日本植物分類学会第23回大会において3月11日に発表があり、磯野さんが京都府立植物園の職員から聞いた話が今回の発表の要旨と同じで、一番新しい見解です。

フクジュソウ 相良真佐美 投稿日:2024年03月19日 12:41 No.1135
山脇様

 先日の日本植物分類学会大会の最新情報を紹介いただき、ありがとうございます。 
 9年前の室内例会での、今後の課題のテーマに沿って解明が進んでいるようですね。

磯野様

 山野草展の情報ありがとうございます。
 「➁大原野のものはシコクフクジュソウと決定された。」は、驚きました。
 また「➃花弁とガクの長さの関係も決まっていなくて色々。」ということで図鑑の花柄に絞って調べ直しました。
 
   ミチノクフクジュソウ 花柄は細く、まばらに毛がある
   フクジュソウ     花柄は太く、毛がある
   シコクフクジュソウ  花柄は無毛かほとんど無毛
  ※改訂新版 日本の野生植物 2 (平凡社 2016)より引用、なおフクジュソウ属の執筆は西川恒彦博士

 2016年の大原野のものは、毛がないのでシコクフクジュソウで納得です。
 2017年の白馬村のものは、花柄は太く、毛があるのでフクジュソウ
 2018年の藤原岳のものも、花柄は太く、毛があるのでフクジュソウ
 としました。
 
 大原野森林公園には、大原野神社から行く以外に、川久保渓谷からポンポン山に登り、北の方へ下ると竈ヶ谷に行けます。
 バスで中畑回転場から歩く方法もありますが、普段はこちらのコースでヤマシロネコノメに会いに行っています。
 川久保渓谷では以前はニホンジカに出会いましたが、あの台風以後見かけなくなりました。
 


Re:フクジュソウ 山脇和也 投稿日:2024年03月21日 19:17 No.1140
今回の植物分類学会では、ポスター発表にて「各種内に複数の地域系統が存在する」ことも支持されましたので申し添えます。

なお、藤原岳については、標高の高い山頂付近ではフクジュソウ(エダウチフクジュソウ)ですが、南東にのびる尾根の標高の低い所にはシコクフクジュソウが生息しています。

また、私の経験上、シコクフクジュソウについては、高知県、奈良県、三重県、京都府ではおおむね標高700m以下の所で見られます。
三重県では、大台町だけ900m弱の所で見られますが、鈴鹿市では700m、伊賀市では600mの所で見られます。




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