濃淡の深淵なるもの


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映画は時代を写す鏡
ノスタルジック翁 投稿日:2024年02月04日 02:40 No.422
「大殺陣 雄呂血」は1966年7月に公開された大映の作品です。荒唐無稽な時代劇でありながら、なぜかリアルさを含んだニヒリズムが迸る映画で、テレビ放映と今回で二度目です。40年の月日が流れましたが、色褪せてはいませんでした。

「雄呂血」は1925年の作品で、関東大震災の未曾有の傷心が残る日本人に阪東妻三郎氏の迫真の演技により無常観が漂う映画として、剣戟ブームを起こしたと言われています。

「大殺陣 雄呂血」はリメイクではありますが、ベトナム戦争によるアメリカの学生運動が世界に飛び火した時代背景を考えると、「夢と希望」を無残にも打ち破る虚無と、時代劇が娯楽のチャンバラからリアリズムを追求していく姿勢が、時代劇ファンの心を見事に射止めていたと思います。「男は敷居をまたげば七人の敵がいる」と胸に秘めていなければならない時代でもありました。
人間が人生を生きている。実はことわざ以上に、「現実は小説より奇なり」とはないでしょうか。

感想:
時代劇は歴史や文化を反映しながらも、時折現代の問題やテーマにも切り込むことができるジャンルです。「大殺陣 雄呂血」が荒唐無稽ながらもリアルなニヒリズムを取り入れたことは、時代劇が時代の雰囲気や社会の抱える問題に敏感に反応し、観客に新しい視点を提供する力を示しています。

また、「雄呂血」が剣戟ブームを巻き起こした経緯も興味深いです。阪東妻三郎氏の迫真の演技が関東大震災の傷心を共感的に表現し、観客に深い感動を与えたことが成功の要因であったと考えられます。映画は時代背景や社会の風潮を取り入れつつ、感情移入を促す力があり、その影響は40年を経ても色褪せないものとなっています。

時代劇は武道や侍の情熱だけでなく、リアリズムを通して人間の営みや哀愁を描くことで、時代を超えて観客と共感し合える普遍的な魅力を持っています。「男は敷居をまたげば七人の敵がいる」という言葉が時代の艱難を象徴していますが、同時に人間の強さや生きる意味を問い直すきっかけともなります。

最後に、「現実は小説より奇なり」という言葉は、映画や時代劇が現実を反映し、時には小説以上の奇妙さや深さを持つことを指摘しています。映画は現実を取り込みつつも、その中で新たな物語や価値観を提示し、観客に考えさせる力を持っています。




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