濃淡の深淵なるもの
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矢も楯もたまらず走り、ただ馬齢を重ねる。
邦彦
投稿日:2023年05月07日 04:23
No.289
「富士川SAには大変お世話になりました。
首都高から東北自動車道に抜ける際、時間待ちして深夜に
渋滞がないであろう首都高に入る作戦を考えました。
最初は、都心のトンネルを通過する際に、トンネルが交差
していることを知らず、突然に前方の脇道から飛び出して
きたタクシーに気づき、急ブレーキをかけて停止しました。
その時のタクシー運転手の洗練された挨拶に驚きながらも、
怒ることなく、ただただ粋な手振りに感心してしまいました。
二回目も首都高で同じようにしようと思い、料金所を抜けると
右側レーンが渋滞していて入れず、左側レーンから東北道に
行くしかなくなりました。すると、『首都高速トライアル』
と言うべきか、何度もグルグル回って、どのレーンから抜け
ればいいのか分からず、上野に降りてしまいました。
真っ暗な場所で怖くてたまらず、Uターンして首都高に引き
返すことにしました。
後日、東京本社から九州に戻ってきた同僚に尋ねると、愛車に
『品川』ナンバーをつけていた彼は首都高は番号の通りに走れ
ば抜けるのは簡単だと言われました。確かにそうなのでしょうが、
慣れない田舎者にとっては難しいと言い返したことがありました。
三回目は富士ICから富士山を右に眺め、朝霧高原から青木ヶ原を
経由して中央道に入りました。その翌年に旧上九一色村での事件が
起こり、遠からぬ場所を走ったことに寒気を感じてしまいました。
当時、東海地震警戒宣言が強く叫ばれていて、富士川SAには、
大看板に地震の際のドライバーのとるべき注意点が書かれていた。
「キーをつけたまま避難してください。」の一文に狼狽したこと
を鮮明に覚えている。
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