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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新  正しい情報を偏りなく (2021.12.27) NEW! (2) 2021年は死亡数が多かったのか?  2021年の暮れも押し迫ったころ、にわかに「超過死亡」という言葉が世間で語られるようになりました。いったい何のことでしょうか? 次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/monthly.jpg )をご覧ください。国内で、原因によらず亡くなった方の人数を、1月から12月までの月ごとにまとめたものです。期間は平成27年1月から令和3年10月までの7年間で、コロナ禍の2年間とその前の5年間を比べています。赤色で示した2021年の死者数が、それ以前に比べて多くなっていることから、「なぜなのか?」が話題になっているのです。 誰しもまず考えるのは、「コロナで亡くなった人が多かったから?」、あるいは「もしかしたらワクチンの副作用?」ということでしょう。令和3年の1月から10月までを、前年の同時期と比べると、この間に増えた全死者数は62,553人でした。一方、同じ期間に新型コロナで亡くなった人は14,775人でした。では、その差の5万人弱は何だったのでしょうか。 このグラフをよく見ると、コロナ禍の始まる前の5年間においても、死亡者の人数は年々増えているのがわかります。そこで思いつくのは、高齢化が進んでいるからではないかということですが、まさにその通りなのです。次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/elderly.jpg )は、横軸に75歳以上の人口(実数)を、また縦軸を全死亡者数にとって、過去7年間の実測データを表示したものです。ただし2021年分のデータが10月までしかありませんから、各年とも同じ10ヵ月分としています。    全死亡者数が本当に増えたと言えるのか、増えたとしたら理由は何なのかを判定するのは、実は非常に難しい問題です。「超過死亡」という言葉は、単に人数が増えたかどうかではなく、過去の変動データを組み込んだ予測式を求め、その計算結果に照らし合わせて「統計学的に有意な(偶然ではない)増加」であることを証明し、初めて成り立つものなのです。国立感染症研究所が行った計算によれば、千葉県など一部の地域に限って「増加は有意」という結果でした。 当ホームページの最大の関心事は、やはりワクチンの副作用による死亡者が多かったのではないかということです。死亡者数は厚生労働省の発表値をはるかに超えているはずというのは、副作用を懸念する一部ジャーナリストの見方です。私が診療を担当している高齢者の中にも、ワクチン接種後に原因不明の死を遂げた方が少なくありません。しかし、因果関係を証明する手段がまだない現時点で、軽々しい推測や考察は控えるべきでしょう。 このグラフについて、どのような考察がありうるのか、皆様のご意見をぜひお寄せ下さい。ご提案があれば、私のほうで統計計算をしてみます。(この記事を作成するに当たり、ヒントとなる情報をお知らせくださった読者の方々に感謝いたします) (2022.2.21) NEW! (2) コロナ致命率の発表値は正しいのか?  感染症の危険性を表わす指標として「致命率」がよく使われます。たとえばインフルエンザは致命率が0.06~0.1パーセントとされています。 新型コロナの場合、NHKの報道によれば30歳代で0.1パーセント、80歳代で11.1パーセントです。このような報道こそが、人々、とくに高齢者の恐怖心を煽り、「たからこそワクチンを・・・」との話に利用されがちです。この数字が正しのかどうか検証してみましょう。 世間では、「原因の如何を問わず、とにかく病院に運びこまれた時点でPCR陽性だった人はコロナ死とされる」とウワサされています。たとえば交通事故で死亡しても、入院時にPCR陽性であればコロナ死としてカウントされてしまう、というわけです。実際、私がコロナと診断し、専門病院に救急搬送したあと亡くなった方が何人かいましたが、老衰のため看取り間近という状態だったにもかかわらず、「直接死因は新型コロナ」との連絡が後日ありました。 通常、死亡の原因は、医師が作成する死亡診断書によって確定されますが、その作成には難しい問題があります。死亡診断書には病名を記入する欄が4つあり、上から順に「(ア) 直接死因」→「(イ) (ア)の原因」→「(ウ) (イ)の原因」->「(エ) (ウ)の原因」となっています。このスタイルは、ほぼ万国共通です。 昔から使われてきた、この死亡診断書を巡って、米国のニューヨークタイムズ紙上で、今更ながらの議論が展開されました。たとえば認知症を患っている人では、食物を誤って肺に吸い込み、いわゆる誤嚥性肺炎を起こして死亡する人が少なくありません。最近の調査で、認知症の人の3分の2で、この誤嚥性肺炎が「直接死因」として記載されていることがわかりました。つまり「認知症」が直接死因ではなく、「その原因」とされているというわけです。 死亡統計として世の中に公表されるのは、直接死因に記載された病名だけをカウントしたものであることから、ある専門家は「病気別の死亡数は、予防を考えるための大切な統計値であり、このままでは認知症が注目されなくなり、医学研究に支障をきたすことになる」と述べています。 しかし、その一方、認知症を直接死因にしてしまうと、その他の死亡理由、たとえば転倒や交通事故、栄養障害など、認知症のケアに社会をあげて取り組むべき課題が埋もれてしまうという問題が生じてしまいます。 私自身、仕事柄、死亡診断書を書く機会が多いのですが、直接死因の欄に何を書き込むべきなのか、いつも迷います。ひとつだけはっきりしているのは、直接死因として「心不全」や「呼吸不全」という言葉を書かないようにとの指導が、どの国でもなされていることです。なぜなら人間の死とは、心臓と呼吸が止まることであり、決して原因ではないからです。 つまり、それ以外の直接死因は、医師の考え方しだいで大きくかわってしまうということなのです。 さて、コロナ死についてです。厚生労働省から出されている地方自治体への事務連絡に、「新型コロナウイルス感染症の陽性者であって、入院中や療養中に亡くなった方については、厳密な死因を問わず、「死亡者」として全数を公表するようにお願いいたします」と書かれています。 この文章を素直に読めば、交通事故に遭い、病院到着時にすでに死亡していて、あとで陽性が判明したという人は、入院中でもなく療養中でもありませんから、カウントの対象にならないはずですが、実際には含まれてしまっているでしょう。 テレビでは、高齢者の死亡数が毎日、報じられています。問題は、その中に、老衰が進行した状態でたまたま陽性となった人たちが含まれているという点です。とくに高齢者施設などでは、症状の有無にかかわらず全員に対して検査が行われることが多いため、無症状のまま最後(看取り)を迎えても「陽性者」とされてしまいます。死亡診断の直接死因の欄には、「老衰」と記載されているはずなのですが。 実際、テレビなどで日々発表される死亡者数は、死亡診断書にもとずいたものではなく、医療機関から別途、行政に報告される人数(原因を問わず)になっていて、その中に、老衰で天寿をまっとうした人も結果的に含まれてしまっているのです。 感染者の総数が増えれば、それに比例して高齢者の人数も増え、必然的に老衰死も多くなっていきます(もちろん老衰に限らず、高齢者に多い腎臓や心臓の疾患、がんなどの末期でも同じこと)。したがって「高齢者のコロナ死亡が急増」などのニュースは、実態を正しく表わしていないことになります。 だからと言って死亡診断書をもとに数えても、問題が多々あることは、すでに述べたとおりです。真実を見極めるのは、なかなか難しいものです。少なくとも、メディアによる「正しくない報道」に怯えることがないようお願いします。 【参考文献】 1) Brody JE, When the death cerificate omits the true cause of death, New York Times, Feb 14, 2022 2) 大津秀一, 「厚生労働省が新型コロナの死亡者数を水増しする通達を出している」は正しくない情報. Yahoo! JAPANニュース, May 28, 2021.        
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