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投稿者:はっちん
▼ページの最下部に移動▼→ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3197#p_last ←▼ページの最下部に移動▼ 新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新  正しい情報を偏りなく (2022.3.28) NEW! Q18 あやまちを繰り返さないために? ―第1回― A <パート1> 野生動物の怖さ  コロナ騒動の終息に向けて、過去、現在、未来の問題点を何回かに分けてまとめていくことにします。その第1回は、新型コロナウイルスが、どこで、どうして発生したのか、そして問題点はどこにあったのかを考えます。地球上には、人類の生命を脅かすかもしれない未知のウイルスが、無数にいるとされています。新型コロナウイルスの発生源を知ることは、新たな脅威に対処するための必須要件です。 当ホームページでは、すでに2020年5月掲載の記事で以下のように報告しました。つまり新型コロナウイルスの発生には2つの説があり、ひとつは中国・雲南省の大洞窟に生息するコウモリが持っていた、とするものです。コウモリは赤や緑の光を好む性質があるため、およそ1,000キロメートルを飛び越え、大河・長江(揚子江の上流)の畔にあって光輝く湖北省武漢市の海鮮市場にやってきたというのです。 もうひとつは、武漢市にあるウイルス研究所で、コウモリが持つコロナウイルスの遺伝子改造を行っていたのではないか、という説です。研究所に勤める職員が、改造したウイルスに感染し、それが武漢市の市民に広がっていったのではないとの仮説でした。中心的役割を果たしたのは、当時57歳の女性科学者シー・ジェンリーだった、と欧米のメディアは名指しで報じていました。 以下、新たな情報に基づいて、さらなる考察を行ってみます。オーストラリアのウイルス学者エドワード・ホルムズ氏は、2002年に中国で発生した重症呼吸器感染症(SARS)の流行以降、同国内に生息する野生動物のウイルスを調べていました。メディアは彼を「ウイルス・ハンター」と呼んでいます。 SARSの流行のあと、コウモリの体内にいるウイルスが、ハクビシンやタヌキを介してヒトに感染したと報じられたことから、中国当局は表向き、市場での野生動物の売買を全面禁止にしたと宣言していました。 しばらく経った2014年、ホルムズ氏は武漢市の海鮮市場を訪れた際、ヘビ、アナグマ、ネズミ、鳥など生きたままの野生動物がカゴに入れられ食用として売られている現場を目撃し、ショックを受けました。同行した中国当局の職員に気づかれないよう、スマホでこっそり写真に撮っていたのですが、使い道もなく放置していました。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、これこそ発生源を示す重要証拠と考え、写真を添えて論文を発表しました(実際の写真は参考文献7)で見ることができます ⇒画像例 https://cdn.rara.jp/dynamic/f1/16/2fc4160a6d4851a1b834be820f9af116w999_1005391982.webp )。 <パート2> 隠ぺい体質  しかし、今となっては海鮮市場で売られていた野生動物が、どのようなウイルスを持っていたのか調べることはできません。なぜなら、中国当局がすべて撤去し隠ぺいしてしまったからです。ホルムズ氏が公表した写真もフェイクだとしています。 ホルムズ氏は、中国の張永振という研究者の要請を受け、武漢市で多発している謎の肺炎の調査に当たっていました。2019年12月26日、二人は、武漢中央病院に入院したある患者が謎の病気に特有の症状とレントゲン像を呈していたことに注目し、肺から採取したサンプルを入手しました。未知の病原体の遺伝子配列を確定することに成功したのは、年が明けた2020年1月5日でした。 早速、二人はそのデータを論文にまとめ、2020年1月7日、専門誌「ネイチャー」に投稿しました。ところが、中国側の共同研究者だった張氏は、当局から遺伝子情報の公開を禁じられていて、その禁を破ったことから彼の研究室は閉鎖されてしまうのです。 中国側には、ほかにも複数の研究者が協力していたのですが、その中心人物の肩書が軍の大佐であったことが判明し、話はややこしくなっていきます。「実はホルムズ氏は中国から研究費の助成を受けていた」と一部メディアが報じ、一方、ホルムズ氏が所属するシドニー大学は、「そのような事実はない」と否定するなどゴタゴタが続いています。 <パート3> まとめ  そんな具合で、いまだ話は混とんとしているのですが、マレーシアと米国の研究チームが行った冷静な研究報告も含めて、ここまでの情報をまとめてみます。 新型コロナウイルスの発生源としてもっとも有力な説は、武漢市の海鮮市場、あるいは武漢市を流れる長江の下流(揚子江)にある浙江省舟山市の市場で売られていた野生動物が最初から新型コロナウイルスを持っていて、それらが複数の市民に同時多発的に感染したというものです。 当時、揚子江河口にある浙江省では、タケネズミと呼ばれる動物が食用として流行していました。「華寧兄弟」という人気のユーチューバーが流行らせたもので、最初は自家繁殖でしたが、人気に便乗して野生のタケネズミも売られていたようなのです。 これまで多くの研究者が主張してきたのは、すでに紹介したとおり雲南省の大洞窟に生息するコウモリから感染が広がったとする説です。しかし前出のホルムズ氏の分析では、コウモリの体内にいるウイルスの遺伝子配列は、新型コロナウイルスとはかなり異なっていて、直接の原因ではなさそうです。 米国のトランプが最初に主張した「武漢市のウイルス研究所で生物兵器として作られたウイルス」との説も、物語としては興味深いものの、あり得ないと思われます。なぜなら、炭素菌やサリンに代表される生物化学兵器は、戦闘現場でのみ殺傷力をもたらしますが、ウイルスはパンデミックを起こしてしまうため、使った側にも甚大な被害が及ぶからです。 いずれにしても中国当局は、武漢市の海鮮市場も、また武漢市のウイルス研究所も、発生源としては認めたくないのです。その一方で、中国の一部医師とウイルス研究者たちが、驚くべき早業で、かつ非常に高いレベルで遺伝子解析の結果や患者の病状を専門誌に発表しており、この点は称賛に値するものです。 私がまだ大学の研究室に在籍していた1980年ころのことです。同僚の一人が突然、高熱を発し、急性腎不全の状態になりました。その後、複数のスタッフが同じ症状を呈し大騒ぎとなったのですが、全国の研究施設でも同様の事例が多発していることがわかり、死者も出ていました。原因は、海外から輸入したラットなど実験動物の体内に生息するウイルスでした。鳥インフルエンザもそうですが、ウイルスの脅威は身近にあります。 次回の第2回は、人々を狂わせた「ワクチン神話」が生まれたターニングポイントを考えます。 【参考文献】 1) Holmes E, Novel 2019 coronavirus genome. https://virological.org/t/novel-2019-coronavirus-genome/319, Jan 10, 2020. 2) Wu F, et al., A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature, Feb 3, 2020. 3) Pinghui Z, Chinese laboratory that first shared coronavirus genome with world orderd to close for 'rectification', hindering its Covid-19 research. South China Morning Post, Feb 28, 2020. 4) Sun Z, et al., Potential factors influencing repeated SARS outbreaks in China. Int J Environ Res Public Health, Mar 3, 2020. 5) Andersen KG, et al., The proximal origin of SARS-CoV-2. Nature Med, Mar 17, 2020. 6) Lam T T-Y, et al., Identifying SARS-CoV-2-related coronaviruses in Malayan pangolins. Nature, Mar 26, 2020. 7) Zhang Y-Z, et al., A genomic perspective on the origin and emergence of SARS-CoV-2. Cell, Apr 16, 2020. 8) Markson S, The Covid files: how the red army oversaw coronavirus reesearch. The Daily Telegraph, May 11, 2020 9) Zimmer C, New Research points to Wuhan market as pandemic origin. New York Times, Feb 27, 2022. 10) Zimmer C, 'He goes where the fire is': a virus hunter in the Wuhan market. New York Times, Mar 21, 2022. (2022.4.4) NEW! ―第2回― 人々を狂わせたワクチン神話 <パート1> 製薬企業の事情  ドイツのベンチャー企業ビオンテック社は、以前からファイザー社と共同で、インフルエンザなどのワクチン開発を新技術のmRNA法で取り組んでいました。その会社を経営する二人の技術者(夫婦)は、パンデミックが明らかになった2020年3月1日、ファイザー社の取締役に「コロナワクチンを一緒にやらないか」と持ちかけます。 オファーを受けた取締役は、獣医の資格をもち家畜用の医薬品開発を担当していた人ですが、同時に9万人の社員の生活を守る責任も負っていたことから、一瞬のためらいを感じました。いまだ誰も実用化に成功していない技術だったからです。しかし決断は早く、ビオンテック社と利益を折半するという条件で、臨床試験や販売戦略を担当することに合意しました。 早速、社用ジェットをドイツに飛ばしてmRNAワクチンのサンプルを受け取ったファイザー社スタッフは、ニューヨーク州にある同社の研究所に持ち込み、動物実験に取りかかりました。 モデルナ社のほうも、すでにmRNAワクチンの研究を進めていたことから、早くも2020年1月13日に開発に着手し、2日後には最初のサンプルが出来上がっていた、と報じられています。ウイルスの遺伝子配列をコンピュータに入力さえすれば、どんなワクチンもつくれる準備ができていたからです。 <パート2> 大統領と米軍の関与 米国食品医薬品局(FDA)ワクチン部門の責任者は、感染者が急増する中、一刻も猶予がならない事態と考え、国が資金を出し、軍が指揮を執る形で製薬企業にワクチンを作らせるという計画を考え出しました。その名はオペレーション・ワープ・スピード(光速ワープ作戦)、人気テレビドラマに出てくる言葉です。 2020年3月2日、当時のトランプ大統領は、主だった製薬企業のトップを集め、「今年の10月までに完成させるように」と指示を出しました。その年の11月には自らの再選がかかる大統領選挙を控えていたからでした。 同年5月、トランプ大統領は、オペレーション・ワープ・スピードの発足を、メディアに向けて声高らかに宣言しました。実務者の会合は、官民一体というよりも官僚と軍人が一体になったもので、FDAトップと製薬企業の担当者、それに統計学の専門家、予算担当者などが招集されました。 会合は、毎朝8時きっかりに始まっていました。米軍が得意とする「4日間リズム戦略」、つまり4日ごとにやり方を変えていくという方式(意味不明)が取られ、「少佐」と称する軍人が指示を出していました。ある参加者は、軍人の名も知らされず、「まるで軍隊で秘密作戦に従事しているようだった」と、のちに語っています。 当初、ファイザー社の計画では、ワクチン群とプラセボ群を合わせて32人のコロナ感染者が確認された時点で臨床試験をいったん終わり、まとめをすることになっていました。しかし、会合の席上、感染者数をもっと増やす必要があるとの指摘がなされました。また対象者全体の人数も少なく、黒人などマイノリティをもっと加えるようにとの指示も出されました。 同社は、この指示に従って、臨床試験の途中で計画を変更してしまいます。 <パート3> 永遠の謎  大統領選が終わった5日後、ファイザー社の取締役は、役員会の席で臨床試験の統計担当者からのリモート報告を待っていました。「やりました! 感染者が94人いて、そのうち90人はプラセボ群からでした」。英語で90と19は発音が似ています。「いま19って言った? それとも90?」と、取締役が聞き返したほどでした。彼らはソーシャルディスタンスも忘れ、互いに抱き合って喜びを分かち合いました。 この結果は、直ちにバイデン新政権発足チームに報告されました。あと回しにされ怒り狂ったのは、政権末期のトランプでした。 さかのぼること数か月前、オペレーション・ワープ・スピードによって、政府は、ワクチンが完成したらファイザー社から1億回分を1,900億円(1ドル100円換算)で買い上げるという契約を結んでいます。開発に失敗した場合、経費がどうなるのかは明らかにされていません。一方、モデルナ社のほうは、買い取りではなく、原材料の調達や工場の拡張費用として2,500億ドルを国から受け取るという契約をしています。 トランプ前大統領が業績を焦るあまり、「ワクチン」という甘い言葉に自ら酔い、製薬企業に脅しをかけるような手段で開発を急がせた、というのが、そもそも神話が醸成される素地となったのでしょう。 その年の暮れに発表された臨床試験の報告論文で「有効率95パーセント」が報じられたわけですが、この数字に意図的な操作がなされていたのは、当ホームページで繰り返し指摘してきたとおりです※1。報告を受けた製薬企業の重役たちが歓声を上げた、という話がもし本当であれば、彼ら自身もデータの操作を知らなかったことになります。一方、これらは当事者しか知らない話ですから、作り話であった可能性も否定できないわけです。 もし製薬企業の役員たちが本当に知らなかったのだとすれば、裏で誰かがデータの操作をしていたことになります。トランプが何を指示したのか? 名も明かさない軍人が一連の計画で何をしていたのか? 臨床試験がスタートしていたにもかかわらず、途中で都合よく計画を変更するという「禁じ手」を打ってしまったことを、製薬企業はどう釈明するのか? そして、その道のプロたる製薬企業の役員たちが、出来過ぎのデータを見て何も疑問を感じなかったのか?・・・など、多くの謎が残ります。 <パート4> まとめ  「有効率95パーセント」・・・このマジックワードが、専門家・医師たちを狂わせた「ワクチン神話」の始まりでした。 かりに製薬企業の発表したデータにねつ造がなかったとしても、この数字にはトリックが仕組まれているのも、知っておく必要があります。この数字をどのように理解しましたか? 「100人のうち95人でワクチンは有効だ」と思ったのではありませんか? 論文には、計算前の調査データは以下のようであったと記載されていました。  ワクチン群18,198人, うち感染したのは 8人  プラセボ群18,325人, うち感染したのは162人 プラセボ群とは、ワクチンの代わりに食塩水を打った人たちのことです。この数字を全部つかって、有効率を計算し直してみます。  ワクチン群の感染率: 8/18198×100≒0.04(%)  プラセボ群の感染率:162/18325×100≒0.88(%) 引き算をすると、0.84パーセントとなります。つまり「ワクチンを接種したら100人当たり1人弱の感染が予防できた」ということです。残りの99人以上は、ワクチンを打っても感染するか、あるいは感染リスクがないにもかかわらずワクチンを打って、副作用で損をするだけかもしれない、ということなのです。 一方、論文で強調された有効率95パーセントは、(1.0 - 8/162)×100と計算したものです。公認の算出法のひとつではありますが、製薬企業の宣伝に悪用されてきたという歴史があります。公表される情報には、巧妙な罠が十重二十重に仕組まれています。 次回の第3回は、「メディアのプロパガンダ」です。 【参考文献】 1) "What is Operation Warp Speed?", NIAID, Jul 1, 2020. 2) Weise E, US cuts $1.95 billion deal with Pfeizer for 100 million doses of COVID-19 vaccine. USA TODAY, Jul 22,2020. 3) LaFraniere S, et al., Politics, science and the remarkable race for a coronavirus vaccine. New York Times, Nov 30, 2020. 4) Kollewe J, From Pfeizer to Moderna: who's making billions from Covid-19 vaccines? Guardian, Mar 6, 2021. 5) Tinari S, The EMA covid-19 data leak, and what it tells us about mRNA instability. BMJ, Mar 10, 2021. **************************************************************************************************** ※1 ・Q10 ワクチンは本当に効いているのか?⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2172#2173 ・ファイザー社論文>治験データ画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/effect.jpg ・「有効率」の本当の意味とは⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2172#2435 (2022.4.11) NEW! ―第3回― メディアのプロパガンダ? <パート1> 週刊誌、新聞、そしてテレビ  「プロパガンダ」という言葉をよく聞くようになりました。広辞苑によれば、「特定の思想によって個人や集団に影響を与え、その行動を意図した方向に仕向けようとする宣伝活動」のことです。コロナワクチンに関するメディアの一方的な報道も、プロパガンダではないか、という疑問について今回は検証します。 2021年の初め、日本国内でもワクチン接種が始まろうとしていたころのことです。いくつかの週刊誌から意見を求められました。そのひとつは、誰でも知っている有名な週刊誌で、私のコメントは「試験期間があまりに短く、どんな副作用があるのかわかっていない」、「だから私は受けない」という主旨のものでした。 ところが、発売された週刊誌の見出しが「医師が打ちたくないわけ」という主旨のものだったことから、同記事内で技術解説を行った別の研究者から編集部あてに「自分はそんな発言をしていない」とクレームが寄せられ、また同誌に連載中の某作家が出版社に抗議文を送る、というゴタゴタに発展しました。同社は、「読者の誤解を招く恐れがあった」との理由で、ネット上のデジタル版を丸ごと削除してしまいました。 同じような出来事がもうひとつ。別の有名週刊誌から意見を求められたときのことです。ワクチンを推進する立場の識者と、副作用を懸念する私のコメントがいっしょに掲載されたのですが、発売直後、前者(推進派識者)から編集部に対し、後者(岡田)のコメントは間違っている、とのクレームがあったのです。編集部は、同記事のデジタル版を掲載する際、私のコメントだけを削除という処置をとりました。 ネット上では、この記事を読んだ読者から「ワクチンを否定するような記事を載せたのは許せない」との書き込みが相次ぎました。いわゆる炎上です。出版社に直接、抗議の声を寄せる人たちも多かったようです。 その前後、いくつかの新聞が私のコメントを記事にしてくれたのですが、しばらくして、それぞれの担当記者からメールが届き、「会社を辞めることになった」、「社内で配置転換させられた」との知らせでした。 しばらくして、ワクチンの副作用としての「心筋炎」が世間で話題になり始めたころ、NHKの記者から電話があり、コメントを求められました。解説めいたことを縷々述べたあと、「心筋炎は、無数にある副作用のひとつでしかない。頻度が少ないとの報道で終わりにしないでほしい」とつけ加えました。しばらくして、NHKニュースで「心筋炎はきわめて稀なので、ワクチンを控える理由にならない」と報じていました。 <パート2> 自己規制  拙著『本当に大丈夫か、新型ワクチン:明かされるコロナワクチンの真実』の中で、対談相手となってくださった、科学ジャーナリストの倉澤治雄氏の言葉をここで引用します。テレビ局に役員として勤務したご経験のある方で、局内の実情について以下のように述べておられます。「日々、ワイドショーやニュースを作っている記者に、科学や医療の専門知識はありません。つまりテレビ局の記者に期待するのは最初から無理なんです」。 テレビ局には、ワクチン報道に関して政治的圧力があったりするのかという私の問いに、氏は「少なくとも、民放ではありえない」と断言しておられました。つまりNHKなら、ありそうだということです。 真実を伝えるというジャーナリズムの役割を、メディアが果たしていないのはあきらかです。しかし、その背景は意外と単純なのかもしれません。新聞社や出版社、あるいはテレビ局では、政治の圧力を受けているわけではなく、社員一人一人がワクチン神話を信じて疑わない、という異常事態に陥っているだけなのです。 ワクチン批判をテーマとして取り上げても、読者や視聴者からクレームが殺到するため、どのメディアも保身のために自己規制せざるをえなくなっている、という状況もあります。テレビのバラエティ番組では、出演者に批判的な発言は許さず、意識的にワクチン接種を勧める発言を促しているようにも見えます。あたかも視聴者に媚びを売っているかのようです。 <パート3> まとめ  以上が、私自身の実体験を中心にまとめたメディアの裏事情です。メディアを巡る議論では、エビデンスと呼べるような客観的データが存在しないため、このような論考になってしまうことをお許しいただきます。 10年ほど前の出来事です。イタリアのある地方で弱い地震が頻発していました。6名の地震学者が「大きな地震にはならない」と予測し、テレビで安全宣言をしたのですが、その6日後、大地震が同地方を襲い、宣言を信じて逃げ遅れた300人余りが犠牲となりました。6人の科学者は過失致死罪で告発され、裁判で禁固刑の判決を受けてしまいます。のちに無罪にはなるのですが、科学者と政治との関わりについて大きな議論が巻き起こったのは言うまでもありません。しかし、簡単に答えが出る問題でもありませんでした。 一連のワクチン報道に重大な偏りがあるのはあきらかですが、日本国内に限って言えば、誰かが特定の意図をもって仕組んだことではないため、プロパガンダとも言えません。責任の所在を追及しても、意味はないでしょう。そのメカニズムを考えるとき、過去の戦争責任や現代のウクライナで起こっている悲劇など、どれとも共通点がないことに気づきます。専門家や政治家も含む大多数の国民が洗脳され、群集心理に陥ってしまったという、有史以来、前代未聞の事態がいま進行しているのです。 時が流れ、現代人よりも賢くなっているであろう後世の人たちが、この「コロナワクチン狂騒」をどのように読み解いてくれるか、聞いてみたい気がします。 次回の第4回は、「法律家の出番」です。 (2022.4.18) NEW! ―第4回― そろそろ法律家の出番! <パート1> 海外の事情  今回は、ワクチンによる健康被害をどのように解決していけばよいのか考えます。行き詰った感のある現状を打破するには、最後の手段として裁判を起こすしかなさそうです。 まず米国での現状を見ておきましょう。 米国オハイオ州では、ある小児病院の従業員66人が接種を拒否して解雇され、集団訴訟を起こす準備を始めています。訴えは、「いかなる理由も認めず強要したのは、表現や宗教の自由を定めた米国憲法に反する」というものでした。 彼らの弁護人は、「解雇された従業員の復職と未払い分賃金の弁済を要求する」としています。一方の病院側は、「従業員のワクチン接種は、入院している子供たちの健康を守る最良の手段だ」と主張して譲りません。この騒動に対し、ある大学の教授は「雇用主は従業員に対し、検査を受けたりワクチンを打ったりすることを、雇用の条件とすることができる。また国が接種を勧めている以上、裁判は難航するだろう」とコメントしています。 ほかにも、米国の保険会社の従業員250人が同じ理由で解雇され、うち185人が集団訴訟を起こすなど、同様の動きが広がりをみせています。一方、私あてのメールで多いのは、解雇されたというよりは、「接種を迫られて自ら退職せざるをえなかった」、「接種を受けないと大学などで実習をさせてもらえない」、「強制されて仕方なく接種を受けたが、その後、体調が悪い」などというものです。 <パート2> 日本での裁判は?  日本で裁判を起こすとすれば、その目的は大きく2つに大別できそうです。ひとつは、ワクチンの副作用によって死亡したり、重大な健康被害を被ったことに対する賠償の請求ですが、副作用の説明をしなかった国家責任を問うてもよいのかもしれません。もうひとつは職場や学校で接種を強制され、著しく権利を損ねられたことに対する地位の保全です。 私あてに届いたお便りの中に、「家族が健康被害を受けたため、救済を申請する証拠書類を役所に提出したところ、手続きに1年以上かかると言われた」というものがありました。こんな現状を打開するには、集団で訴訟を起こしてメディアで話題にしてもらうなど何らかの舞台設定が必要でしょう。もちろん、因果関係を証明する医学データの確保は必須条件です。 2022年3月12日付けでネット上に、ある重要な記事が写真とともに公開されました。以下は、ネット上に発表された顕微鏡写真を私がイラスト(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/spikeprotein.jpg )にしたものです。 図中、中央の丸い構造物が血管の断面です。茶色の部分が、血管の内皮細胞に残る無数の「トゲトゲ蛋白」の塊りを特殊な方法で染めたものです。青い点々は細胞の核です。その記事には、心臓の筋肉細胞などの顕微鏡写真も一緒に掲載されていて、トゲトゲ蛋白によって激しい炎症が起こっている様子が見事に映像化されています(参考文献4[URL⇒ https://www.transcend.org/tms/2022/03/covid-vaccine-injuries-the-german-pathologists-findings/ ] で実際の写真を見ることができる)。 この検査は「免疫組織染色法」といい、コロナワクチンが深刻な副作用を起こした「決定的な証拠」となるものです。病理医がいる病院であれば、どこでも簡単にできます(すべての検査材料はネットで購入できる)。ただし現状では、どの病院の医師も「コロナワクチンで重大な副作用は起こらない」と決め込んでいるため、患者の立場で要求しても拒否されてしまうに違いありません。 そこで、たとえばバイオプシー検査を受けた人は、まず弁護士に相談し、検査材料(サンプル)について「証拠保全申し立て」を行うことです。バイオプシーは、腎臓などに針を刺し、細胞の一部を取って顕微鏡で調べる検査ですが、採取したサンプルは「ホルマリン固定」という方法で処理すると長期保存が可能になります。亡くなった場合に行われる病理解剖についても同じことが言えます。 <パート3> 職場の圧力  日本では、法律で「接種を受けるよう努めなければならない」とされているのですが、これを補足する形で「接種していない者に対して、差別、いじめ、職場や学校等における不利益な扱いは許されない」との決議も国会でなされています。したがって、職場や学校での強制は、表向き、国の方針に反し、また国民の「健康権」を定めた憲法にも反することになります。 しかし簡単にはいかないでしょう。たとえば居酒屋チェーンの経営者がワクチンの効果を信じ切っていて、「お客様の安全を守るためのやむを得ない判断だった」と主張したとします。当然、裁判官も人の子であり、ワクチンの効果を信じ切っているでしょうから、被告に同調してしまいそうです。 したがって、この目的で裁判を起こす場合も、「ワクチンの効果は限定的であること」、「パンデミックを抑える効果はないこと」、「副作用が深刻であること」を原告側が証明し、主張しなければならないのです。 <パート4> まとめ  弁護士の多くもワクチンの効果を信じ切っているため、このような訴訟を引き受けてくれる人を探すのが、まず大変です。私に寄せられる情報の中に、「ある地方の弁護士グループが立ち上がったようだ」というのも、ときどきあるのですが、実際に裁判が始まったという話はまだ聞こえてきません。 単なる「お悩み相談」では、問題は解決しません。日本弁護士連合会は「新型コロナウイルスワクチン接種に関する提言書」を発表していますが、提言だけで世の中が変わることもありません。「行動する弁護士の先生方」が、早く名乗りを上げてくれるよう願うばかりです。 (なお、顕微鏡写真を報じた記事はまだ正式な論文になっておらず、また私が転載許諾を求めるメールをドイツの発表者に送っても返信がありませんでした。真偽に関して疑問もありますが、検査の方法は正当なものです) 次回の第5回は「新しいワクチンと治療薬は期待できるか?」です。 【参考文献】 1) Davis K, Six employees and one student of Southern California community college allege civil rights violations. San Diego Union-Tribune, Apr 9, 2022 2) Jarvis J, Class-action lawsuit filed against Akron Children's Hospital over vaccine mandate firings. News 5 Cleveland, Apr 1, 2022. 3) Spencer D, et al., Fired Blue Cross workers who refused COVID-19 vaccine mandate may file lawsuit. Fox 2 Detroit, Jan 25, 2022. 4) Covid vaccine injuries: the German pathologists' findings. Swiss Policy reaserch, Mar 12, 2022.⇒ https://www.transcend.org/tms/2022/03/covid-vaccine-injuries-the-german-pathologists-findings/ **************************************************************************************************** 4) Covid vaccine injuries: the German pathologists' findings. Swiss Policy reaserch, Mar 12, 2022.⇒ https://www.transcend.org/tms/2022/03/covid-vaccine-injuries-the-german-pathologists-findings/ Covidワクチン傷害:ドイツの病理学者の発見 COVIDに関する議論 - ワクチン、14 Mar 2022.⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3089 (2022.4.25) NEW! ―第5回― 新しいワクチンや治療薬は期待できるか? <パート1> 海外の事情  「最初の49週、米国では感染者が28,816人に達していた。翌年の同じ時期、感染者数はおよそ半減したが、この年、ワクチンの集団接種が始まっていた。同年、英国では、ワクチン接種はほとんど進んでいなかったが、それにもかかわらず感染者数が前年に比べ、やはり大きく減少していた。この減少が、果たしてワクチンの恩恵だったのか、それとも自然の増減だったのか、判断は困難」 この文章、実は、いまから65年ほど前、ポリオ(小児麻痺)が世界的に大流行していたころの記録です。 インフルエンザ・ワクチンの歴史も見ておきましょう。医薬品の信頼性を確認できる唯一の科学的方法が「ランダム化比較試験」であることは、当ホームページで繰り返し述べてきたとおりです。しかしインフルエンザ・ワクチンに関して、そのような調査は日本で一度も行われたことがありません。「ワクチンだから」効果があるに決まってる、という思い込みだけで接種が続けられてきたのです。 さすがに海外では、不十分ながらも調査データがあり、それらを集めて再評価をした、という研究発表が最近ありました。結論は、接種すれば感染を半分くらいに減らせる(かもしれない)ということと、重症化を防ぐ効果はいっさいないというものでした。日本で集団接種が始まってすでに60余年、今さら言われても・・・、という話なのです。 ランダム化比較試験は、ボランティアを偏りなく2群に分け、一方に本物の医薬品を、他方にプラセボ(偽薬)を割り当てて、追跡するという調査法です。誰がどちらの群に割り当てられたかは、本人にも、また医師にも内緒にし、コンピュータだけが知っているという状態で行われます。この一見、明快な調査法も、誤りの入り込む隙が無数にあり、それだけ製薬企業による隠ぺい、ねつ造の温床ともなってきました。 <パート2> 裏切られた新薬  インフルエンザの特効薬として有名なタミフルはどうでしょうか? 米国の当局が認可したのがおよそ20年前。私もこの薬をしばしば処方してきましたが、患者さんからは「お陰様で、あのあとすぐ熱が下がりました。よく効く薬ですね!」という言葉が返ってきます。権威あるWHOやCDCも推薦していて、世界中で使われている薬です。 数年前、イタリア、オーストラリア、米国、それに英国の共同研究チームが、タミフルの試験結果を報じた論文をすべて集め、総合評価を下したという研究発表をしました。なんとかランダム化比較試験らしきものが世界中で83件行われていましたが、まともなものは23件しかなく、分析結果も、がっかりするものでした。つまり、「インフルエンザに感染すると7日間ほど発熱などの症状が続くが、タミフルを服用すると、それが6.3日に短縮される」というもので、重症化を防ぐ効果も、まったく認められませんでした。 「薬を飲んだらすぐ熱が下がった」という人は、薬を飲まなくても治る時期だったのです。WHOもCDCも、そして専門家の言うことも、あてにはなりません。 <パート3> コロナワクチンの宿命  インフルエンザなどのワクチンは、その製造法から「不活化・・・」とも呼ばれます。文字通り、ウイルスをバラバラにして、病原菌としての活性をなくしたものという意味です。しかしコロナウイルスには、他のウイルスと決定的に異なる点があります。コロナのトゲトゲ蛋白自体が強い毒性を持っていて、致命的な副作用の元凶になっているということです。不活化してもそのまま残るため、リスクは同じなのです。 <パート4> まとめ  感染症に限らず、どの新薬も、発売当初は製薬企業の巧みな宣伝戦略に医師が踊らされ、ヒット商品のようにもてはやされます。その後、10年以上の歳月をかけた再評価(市販後調査)がなされるようになると、最初はだれも気づかなかった副作用が浮き彫りになってきます。これは、高血圧、糖尿病、高脂血症など、あらゆる病気の治療薬で一般的に認められる事象です。 医薬品は、体内の特定の細胞、特定の部位(作用点と呼ばれる)に結びつくことによって効果が発揮されるよう設計されています。しかし、人間の体は複雑ですから、ほかにも作用点がたくさんあって、予期せぬ反応が出ることになります。これが、短い時間では見つけることができない「副作用」なのです。 これまでお寄せいただいたお便りの中で多かったのは、「試験期間があまりに短く、安心できないと思った」というご意見でした。世の中には、そう思った人と、思わなかった人がいたことになります。 いまのところ、新型コロナのワクチンや治療薬で、安心して使えるものは、ただのひとつもありません。コロナの時代も、そろそろ終わりに近づいていますので、いまさら新薬に飛びつき、副作用の被害だけが残ったという愚は避けたいものです。 次回の第6回は、「新型コロナはこれからどうなる?」です。 【参考文献】 1) Rutstein DD, How good is the polio vaccine? The Atlantic, Feb, 1957. 2) Montedori A, et al., Modified versus standard intention-to-teat reporting: are there differences in methodological quality, sponsorship, and findings in randomized trials? A cross-sectional study. Trials, 12: 58, 2011. 3) Hammond J, et al., Oral nirmatrelvir for high-risk, nonhospitalized adults with Covid-19. N Engl J Med, Apr 14, 2022. 4) Demicheli V, et al., Vaccines for preventing influenza in healthy adults (Review). Cochrane Database Syst Rev, Feb, 2018. 5) Jefferson T, et al., Oseltamivir for influenza in adults and children: systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments. BMJ, Apr 9, 2014. **************************************************************************************************** Covidワクチン有害事象⇒元記事 https://swprs.org/covid-vaccine-adverse-events/ 重篤な新型コロナウイルスワクチン有害事象の概要⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3123            (2022.5.2) NEW! ―第6回― 新型コロナはこれからどうなる? <パート1> 過去に流行したウイルスからわかること  今から100年ほど前のこと、「スペイン風邪」と呼ばれる恐ろしい伝染病が大流行しました。肺炎などで死亡した人が多く、致命率10パーセント以上。世界で5千万人が命を落としたとされています。現代の人口に換算すれば1.8億人です。発生源は、スペインでなく中国との説が有力です。そのウイルスは3年後、消滅しました。 記憶に新しいのは、今から20年ほど前に流行したSARS(サーズ)です。重い肺炎を起こし、致命率がやはり10パーセントと報じられ、世界中がパニックに。原因は中国で発生したウイルスで、幸い、日本に上陸することなく、1年半ほどで終息しました。日本が流行から免れた理由は、海外からの入国者がまだ圧倒的に少ない時代だったからです。 いわゆる「普通のカゼ」は、その約3割がOC43という名のコロナウイルスによるものです。複数の研究者が、「このウイルスは130年前に世界的に大流行し、徐々に弱毒化しながら、今まで残ってきたもの」と報告しています。 <パート2> インフルエンザはなぜ季節性なのか?  毎年、冬になるとインフルエンザが流行りますが、なぜ夏にはないのでしょうか? 米国で行われた動物実験で、インフルエンザのウイルスは、高温・多湿の環境におかれると、分裂する頻度と感染する能力が極端に低下することがわかりました。 そのため、北半球が夏になると、高温・多湿の環境におかれたウイルスは、ほとんど死滅してしまいます。その間、季節が逆の南半球では、ウイルスが元気いっぱい増殖し、人から人へと感染を繰り返します。やがて、そこも夏になると、ウイルスは死滅します。 では季節が夏から冬に変わったとき、インフルンザ・ウイルスはどこから来るのか? 答えは簡単です。北半球と南半球を行ったり来たりする旅行者が持ち込んでくるのです。スペイン風邪が大流行した当時は第一世界大戦の真っただ中で、兵隊がウイルスをばらまいていました。新型コロナには、そんな「季節性」がなく、夏にもかかる「普通のカゼ」と似ています。 <パート3> ウイルスはどう変身していくのか?  ウイルスが分身を作る際、複製された遺伝コードに、たまたま「コピーミス」が生じることがあります。そのコピーミスによって作られたウイルスの分身では、たとえばトゲトゲ蛋白の形が少し違ったものになるかもしれません。 ほとんどのコピーミスは、些細なものですから、ウイルスにとっても、また感染した人間にとっても影響はありません。しかし、軽微なミスも、少しずつ溜まっていくうち、増殖する能力や病原性に強い影響を与えるものも出てきそうです。 ウイルスの立場になって考えてみましょう。コピーミスによって、もし病原性がすごく強くなったとすると、感染した人間は、すぐ重症になり、死亡するか、病院に隔離されてしまい、伝染を広げていくチャンスを失います。一方、伝染する力が高まれば、あっという間に多くの人間に移っていくことができますから、仲間を増やすチャンスです。 <パート4> まとめ  専門家がよく口にするのは、「感染者が増えると地域全体で免疫力が高まり、流行は収束する」という説です。いわゆる集団免疫です。米国でわかりやすい実験が行われました。15人の健康なボランティアに風邪のコロナウイルスを感染させ、1年後に再び同じことをしました。その結果、1年後も、やはり全員が発熱などの症状を示したということです。一度の感染で免疫がついても、短期間で効力が切れてしまい、感染は繰り返すのです。 では、なぜスペイン風邪やSARSは終息したのでしょうか? 多くの研究者が指摘するのは、やはり感染予防に対する人々の理解が深まったから、ということです。「マスク着用」、「手洗い励行」、「ソーシャルディスタンシング」という3つのフレーズは、実は100年前に作られたものです。加えて、時を経るごとにウイルスの病原性が弱まり、感染力は高まっていくという、自然の摂理も働らいたでしょう。この摂理が働くのは、大流行によってウイルスの分裂が激しく繰り返された場合に限ります。 ただし、反論もあります。「エボラ、ジカ、肝炎などのウイルスは、弱毒化せずに残り続けている」という反論です。エボラの場合、感染する人が圧倒的に少ないため、自然の摂理が働きません。ジカ熱は、何年か前に南米で大流行した感染症で、蚊がウイルスを媒介します。したがって、蚊を退治できたかどうかの問題でしかありません。肝炎ウイルスは、感染力が弱いことに加え、人間の体内にずっと残る性質があるため、そのまま変わることなく社会に居座ってしまったのです。 新型コロナウイルスは、「しだいに弱毒化して落ち着いたあと、やがて普通の風邪ウイルスとして残っていく」というのが最新エビデンスに基づく考察の結論です。 次回の第7回は、「誤った統計学が世界を狂わせた?」です。 【参考文献】 1) Holmes B, Why SARS disappeared in 2003 while the coronavirus keeps on spreading. Genetic Literacy Project, Aug 17, 2020. 2) Zelazko A, How long did the flue pandemic of 1918 last? Britannica, Mar 14, 2020. 3) Bamford C, The original Sars disappeared – here’s why coronavirus won’t do the same. The Conversation, Jun 5, 2020. 4) Spanish flu: the deadliest pandemic in history. All About History, Mar 13, 2020. 5) Flu virus trots globe during off season, mixes with other viral strains. ScienceDaily, Sep 21, 2007. 6) The reason for the season: why flu strikes in winter. Harvard University The Graduate School of Arts and Sciences, Blog, Dec 1, 2014. (2022.5.9) NEW! ―第7回― 専門家がだまされた統計学とは <パート1> 専門家たちの言い分  専門家と称する人たちによるワクチンの説明が、突然、変わりました。テレビを見ていてお気づきだったでしょうか? 「ワクチンは感染を予防するものでなく、重症化を防ぐ効果があるので、受けてほしい」と。ワクチンは感染予防のためだったはずなのですが、いつの間に・・・? この話が本当なのか検証してみましょう。何事も比べてみなければわからないものです。たとえばファイザー社が新型ワクチンを当局に申請するために行った調査は、ワクチン群をプラセボ群と比べるという(形だけは)正当なものでした。しかし数々の不正操作が行われていたのは、すでに紹介したとおりで、しかも、このスタイルの調査はその後いっさい行われていません。 <パート2> 根拠とされるデータの疑義  「ワクチンは重症化を防ぐ」との主張の根拠になっているのは、アラビア半島のカタールで行われた調査のデータです。対象はすべてPCR検査を受けに来た人たちで、陽性と判定された人のうち「ワクチン接種を2回受けていた人」の割合を調べたものでした。 問題は、比べた相手が公平なものだったか、どうかです。年齢や性別はもちろん、持病、服薬、検査データ、食習慣、運動習慣、職業、居住地、さらには学歴など、ありとあらゆる情報を調べ、完全にそろえたグループを準備して比べなければ、ワクチンの効果だったのか、あるいは単に体質や環境による違いだったのか、区別することができません。カタールで行われたこの調査では、PCR検査で感染なしと判定された人たちが比べた相手でした。 次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/testnegative.jpg )は、重症化した人たちと感染なしの人たちの接種率の違いから「ワクチンの有効率」を計算し、経時的に並べたものです。感染予防に対する有効率(青色のグラフ)は、4ヵ月目あたりから急速に低下していますが、重症化を防ぐ有効率(ピンクのグラフ)は半年くらいまで続いているように見えます。 <パート3> ウソを見抜く  論文には、「検査を受けに来た人たち」という共通項があるため、両群は似た者同士であり、比べることに問題はない、と書いてあります。読者からの批判を予め想定した言い訳ですが、専門家と称する人たちは、このひと言に騙されてしまいました。 この説明が誤っているのは明らかです。検査で陰性だった人たちは、たとえば普段からマスクをきちんと着け、会食も控えるなど慎重派だったかもしれません。だからこそ感染せず、だからこそワクチン接種も早々に済ませていただけ、なのではないでしょうか。比べ方が公平でなければ、接種率の違いは無意味となり、有効率も間違ったものになります。 この論文には、もうひとつ重大な問題があります。性別、年齢、人種、検査を受けた動機、それに検査を受けた日の5項目だけ調べ、それらが両群でそろうよう月ごとに人数を加減していたのです。そのため、論文の記述が非常にわかりにくく、専門家が読んでも正しく理解できなかったのではないかと想像されます。 このような操作は、間違いとまで言えないものの、これまで論文不正の温床となってきました。私が行なったコンピュータ実験によれば、患者データを一人分、「なかったことにする」だけで、差がないはずのデータも「両群で統計学的に明らかな差を認めた」という話にすり替えてしまうことができます。 <パート4> まとめ  この方法は、test-negative(検査陰性)デザインと呼ばれ、最近の流行となっています。コンピュータ上のデータを集計するだけで済むため、予算も人手もかかりません。研究者にとって業績を上げる格好のテーマであり、製薬企業にとっては、自社製品を思い通りに宣伝できる便利な手段になっています。 「ワクチンは重症化を防ぐ」との説明は間違っています。専門家をも騙してしまったこの統計学は、今後もワクチンを宣伝するための道具として使われていくものと思います。くれぐれも騙されることのないようお願いします。 次回の第8回は、「総括:コロナ社会のこれからを考える」です。 【参考文献】 1) Thomas SL, et al., Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine through 6 months. N Engl J Med, Sep 15, 2021. 2) Goldberg Y, et al., Waning immunity after the BNT162b2 vaccine in Israel. N Engl J Med, Oct 27, 2021. 3) Mizrahi B, et al., Correlation of SARS-CoV-2-breakthough infections to time-from-vaccine. Nature Commun, Nov 4, 2021. 4) Chemaitelly H, et al., Waning of BNT162b2 protection against SARS-CoV-2 infection in Qatar. N Engl J Med, Dec 9, 2021. 5) Accosi E, et al., Association between 3 doses of mRNA COVID-19 vaccine and symptomatic infection caused by the SARS-CoV-2 omicron and delta variants. JAMA, Jan 21, 2022.       (2022.5.16) NEW! ―第8回― コロナ社会のこれからを考える <パート1> ワクチンの総括  新型コロナのワクチンが、どれくらい有効で、どれくらい危険なのか、改めてエビデンスをまとめておきましょう。信頼できるデータから断言できるのは、(1) 高齢者はほとんど免疫がつかない、(2) 50歳以下では抗体ができるが、2ヵ月で効果が半減する(感染率が2倍になる)、(3) 接種しても感染する、(4) 重症化は防げない、の4点です。 副作用の実態は不明ですが、論文として報告されているだけでも、以下のようなものがあります。 ・血小板減少症(脳出血、性器出血、皮下出血、歯肉出血など)(倍率不明) ・心筋炎、心外膜炎、心不全(3.24倍) ・腎炎(倍率不明) ・多形滲出性紅斑(もっとも多いが倍率は不明) ・劇症型心筋炎(致命的、倍率不明) ・細菌感染症(蜂窩織炎、腎盂腎炎、肺炎など)(倍率不明) 他にも、眼疾患(強膜炎、網膜など)、虫垂炎(1.40倍)、帯状疱疹(1.43倍)など多数あり、全部合わせると、とても無視はできない数です。登録システムが日本にはなかったため、副作用で亡くなった方の人数は不明です。このことが国家としてはもっとも反省すべき点であり、国民にとっては最大の不幸でした。 <パート2> これからも、なすべきこと  日本は、亡くなった人の数が人口当たりに換算して世界でもっとも少なく(統計が発表されている国に限る)、米国の12分の1以下です。日本人に感染が少なかった理由として、「遺伝子が違う」、「かつてコロナの大流行があった」、「結核予防のBCGを受けていた」などが識者によって語られていますが、それらを証明するエビデンスはありません。 最大の要因は、日本人の生真面目さなのでしょう。挨拶代わりにハグやキス、握手などをする習慣がないことも、感染の爆発的な流行を抑えてきた要因のひとつです。エイズの流行を予測したシミューション研究によれば、日本人は「一人当たりの性的交際相手」が圧倒的に少なく、拡大を防いだ最大要因になっていたそうで、この点も見逃せません。 着目すべきは、「ワクチン接種率の高い国ほど、感染する人が多い」というデータがあることです。なぜかと言えば、個人のレベルでは心の油断が生まれるからであり、国家のレベルでは「ワクチンパスポート」に象徴されるように、愚かな緩和策がとられてしまうからです。 やはり基本はマスクなのです。人口密集地にある我が家では、吸気口のフィルタが、いくら取り換えても1か月後には真っ黒になってしまいます。そんな地に住む私は、ウイルスばかりでなく、大気汚染から身を守るためにも昔から外出時にマスクを使ってきました。 <パート3> これから止めるべきこと  大自然も、また人間の体も、悠久の時を経て最良のバランスを獲得し、現在に至っています。過去、人類が学んできたのは、人間の浅知恵で大自然や人体に手を加えると、必ず状況が悪化してしまうということです。コロナワクチンこそ、その典型で、ウイルスはそれに抗するよう変異を続けるようになり、終息が遅れてしまうだけです。 当ホームページの最終結論は、まず直ちにワクチン接種を止めること。もうひとつは、そろそろPCR検査も止めてよいのではないかということです。私の勤務先では、全職員が毎週PCR検査を受けてきましたが、集団感染を防ぐことができませんでした。 新型コロナに感染した高齢者は狭い部屋に10日ほど隔離されてしまうため、生活機能が著しく衰え、残りの人生を全うできなくなってしまいます。若い人が感染しても似たようなものです。無症状の感染者まで閉じ込めてしまうことに、医学的な意義を見出すことはできません。これからは発想を変えた取り組みが必要です。 <パート4> 総まとめ  さて、『過ちを繰り返さないために』と題して、8回にわたり総括を行ってきました。世界の医学専門誌や大手メディアは、新型コロナに関する記事を大幅に減らし始めています。残る心配事は、ワクチン接種を受けた人たちが、数年後、深刻な自己免疫病を起こさないかということと、妊娠中に接種を受けたお母さんから生まれた子供に、何か重大な障害が生じていないのかの2点です。 そこで当ホームページも、しばらく更新を休止とし、情報の整理をしながら今後の展開を待つことにしました。再開は、本年9月の第一月曜日を予定しています。        
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