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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新  正しい情報を偏りなく (2022.5.9) NEW! ―第7回― 専門家がだまされた統計学とは <パート1> 専門家たちの言い分  専門家と称する人たちによるワクチンの説明が、突然、変わりました。テレビを見ていてお気づきだったでしょうか? 「ワクチンは感染を予防するものでなく、重症化を防ぐ効果があるので、受けてほしい」と。ワクチンは感染予防のためだったはずなのですが、いつの間に・・・? この話が本当なのか検証してみましょう。何事も比べてみなければわからないものです。たとえばファイザー社が新型ワクチンを当局に申請するために行った調査は、ワクチン群をプラセボ群と比べるという(形だけは)正当なものでした。しかし数々の不正操作が行われていたのは、すでに紹介したとおりで、しかも、このスタイルの調査はその後いっさい行われていません。 <パート2> 根拠とされるデータの疑義  「ワクチンは重症化を防ぐ」との主張の根拠になっているのは、アラビア半島のカタールで行われた調査のデータです。対象はすべてPCR検査を受けに来た人たちで、陽性と判定された人のうち「ワクチン接種を2回受けていた人」の割合を調べたものでした。 問題は、比べた相手が公平なものだったか、どうかです。年齢や性別はもちろん、持病、服薬、検査データ、食習慣、運動習慣、職業、居住地、さらには学歴など、ありとあらゆる情報を調べ、完全にそろえたグループを準備して比べなければ、ワクチンの効果だったのか、あるいは単に体質や環境による違いだったのか、区別することができません。カタールで行われたこの調査では、PCR検査で感染なしと判定された人たちが比べた相手でした。 次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/testnegative.jpg )は、重症化した人たちと感染なしの人たちの接種率の違いから「ワクチンの有効率」を計算し、経時的に並べたものです。感染予防に対する有効率(青色のグラフ)は、4ヵ月目あたりから急速に低下していますが、重症化を防ぐ有効率(ピンクのグラフ)は半年くらいまで続いているように見えます。 <パート3> ウソを見抜く  論文には、「検査を受けに来た人たち」という共通項があるため、両群は似た者同士であり、比べることに問題はない、と書いてあります。読者からの批判を予め想定した言い訳ですが、専門家と称する人たちは、このひと言に騙されてしまいました。 この説明が誤っているのは明らかです。検査で陰性だった人たちは、たとえば普段からマスクをきちんと着け、会食も控えるなど慎重派だったかもしれません。だからこそ感染せず、だからこそワクチン接種も早々に済ませていただけ、なのではないでしょうか。比べ方が公平でなければ、接種率の違いは無意味となり、有効率も間違ったものになります。 この論文には、もうひとつ重大な問題があります。性別、年齢、人種、検査を受けた動機、それに検査を受けた日の5項目だけ調べ、それらが両群でそろうよう月ごとに人数を加減していたのです。そのため、論文の記述が非常にわかりにくく、専門家が読んでも正しく理解できなかったのではないかと想像されます。 このような操作は、間違いとまで言えないものの、これまで論文不正の温床となってきました。私が行なったコンピュータ実験によれば、患者データを一人分、「なかったことにする」だけで、差がないはずのデータも「両群で統計学的に明らかな差を認めた」という話にすり替えてしまうことができます。 <パート4> まとめ  この方法は、test-negative(検査陰性)デザインと呼ばれ、最近の流行となっています。コンピュータ上のデータを集計するだけで済むため、予算も人手もかかりません。研究者にとって業績を上げる格好のテーマであり、製薬企業にとっては、自社製品を思い通りに宣伝できる便利な手段になっています。 「ワクチンは重症化を防ぐ」との説明は間違っています。専門家をも騙してしまったこの統計学は、今後もワクチンを宣伝するための道具として使われていくものと思います。くれぐれも騙されることのないようお願いします。 次回の第8回は、「総括:コロナ社会のこれからを考える」です。 【参考文献】 1) Thomas SL, et al., Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine through 6 months. N Engl J Med, Sep 15, 2021. 2) Goldberg Y, et al., Waning immunity after the BNT162b2 vaccine in Israel. N Engl J Med, Oct 27, 2021. 3) Mizrahi B, et al., Correlation of SARS-CoV-2-breakthough infections to time-from-vaccine. Nature Commun, Nov 4, 2021. 4) Chemaitelly H, et al., Waning of BNT162b2 protection against SARS-CoV-2 infection in Qatar. N Engl J Med, Dec 9, 2021. 5) Accosi E, et al., Association between 3 doses of mRNA COVID-19 vaccine and symptomatic infection caused by the SARS-CoV-2 omicron and delta variants. JAMA, Jan 21, 2022.        
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