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投稿者:小心者
17.〔構造特性係数:Ds (1)〕 構造特性係数について紹介します。 層せん断力と層変位との関係は、建物に損傷が起こらなければ比例関係にあります。 このような建物を弾性応答構造物と言います(上の左側の図)。 一方、実際の建物は、層せん断力が大きくなると次第に損傷を起こしていきます。このときねばりのある構造物であれば、上の右側の図に示すように、層せん断力を保持しながら、層変位が伸びていきます。 このとき、弾性応答構造物では上の左側の図に示すような三角形で囲まれる面積や、ねばりのある構造物では上の右側の図に示すような台形の面積は、地震時の入力エネルギーを発散(消費)する能力を表していると考えられています。そこで、もし両者の面積が同じであれば、同じ耐震性を持っている構造物であるとみなすことができます※3。 大地震動時に、弾性構造物が受ける最大応答層せん断力を基準にして、ねばりのある構造物が受ける最大応答層せん断力の比を構造特性係数と称し、通常Ds値と呼んでいます。 <※3 ここでの「同じ耐震性を持っている構造物であるとみなすことができる」とは、大地震動に対して建物が危険な崩壊を招かず人命を確保できることに於いては同じであるということです。外力が0になったとき、弾性応答構造物は無損傷ですが、ねばりのある構造物は終局状態(崩壊寸前)です。これが現行建築基準法通りの建物(後者)の宿命です。>
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