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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新  正しい情報を偏りなく Q18 そもそも、なぜ新型コロナウイルスは蔓延したのか? A 第一の説  この問題を巡って、にわかに2つの説が改めて注目を集めています。そのひとつが「コウモリ原因説」です。 従来からあった、風邪などを引き起こすコロナウイルスは、中国・雲南省の大洞窟に生息するキクガシラ・コウモリが、ホストとして抱え込んでいる数千種類の微生物のひとつでした。それが突然変異を起こし、「新型コロナ」になったとする説です。 このコウモリは人間社会と隔絶された地域に生息しており、長い間、「野生生物-人間社会バランス」が保たれていました。では、なぜ今回、このバランスが崩れたのか? そのシナリオは以下のように考えられます。  大洞窟に生息するコウモリ→ 赤や緑の光を好む性質があり、強い照明に  引き寄せられ1000kmを飛び越えた→ 浙江省・舟山市の食用ネズミに感染→  同時に湖北省・武漢市にある海鮮市場の小動物や虫の死骸にコウモリが  集まり→ その糞などから人間に感染した つまり人間の傲慢さが自然界の掟を破った、・・・ということです。 次の2枚の写真(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/bukan.jpg )は、浙江省・舟山市と河北省・武漢市を流れる大河・長江(その下流が揚子江)にかかる橋の夜景です。コウモリが好む「赤」と「緑」の照明に煌々と照らし出されていました。 この説が正しいとすれば、大洞窟に生息するコウモリを絶滅させればよいことになります。ただし世界のメディアには、「コウモリに罪はないので殺さないで!」という論調の記事が少なくありません。コウモリが500種類以上の植物の授粉に寄与しているからとか、デング熱など恐ろしいウイルス病を媒介する蚊を食べてくれるからだというのです。 実は、この項の記載は1年ほど前に行ったものです。しかし、いまになって考えてみると、なぜ1千キロも離れた武漢市だったのかが不思議です。もっと近くにも大都市があり、河川があり、生きた動物を売る市場があり、赤や青の照明もあるからです。(地図参照⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/bat.gif ) 第二の説  突然、ひとりの女性が世界の注目を集めました。名前はシー・ジェンリー(Shi Zhengli)、57歳の中国人です。中国武漢市のウイルス研究所に勤める主任科学者で、フランスで博士号を取得したのち、研究者として頭角を現し、以前から国際舞台で名を馳せていた人です。 研究テーマは、中国・雲南省の洞窟に生息するコウモリからコロナウイルスを採取し、ヒトに感染するメカニズムを解明すること。実験では、(新型ではない普通の)コロナウイルスの遺伝子組み換えなどを行っていました。 ことの発端は昨年始めでした。当時、発表されたばかりの新型コロナウイルスの遺伝子配列を眺めていた米国のウイルス研究者が、「突然変異と自然淘汰(Q8参照)ではあり得ない組み合わせ」があることに気づきました。早速、仲間の研究者にメールしたものの同意が得られず放置されてしまったのですが、最近、その全文が明かされました。 そこ書かれていたのは、誰かが、コロナウイルスに新たな能力を持たせるための遺伝子改造を行ったのではないか、という疑惑でした。 その犯人の疑いをかけられたのが、彼女でした。このような実験はGOF(遺伝子能力改造)と呼ばれ、ウイルスが対象の場合、リスクがきわめて高いことから、厳しい規制がかけられています。特別な許可を得た上で、レベル4と呼ばれる超厳密な感染防御を施した研究室で実験がなされなければならないのですが、彼女はレベル2という簡単な設備の部屋で行っていた、らしいのです。 人工的な改造が疑われているのは、「トゲトゲ蛋白」がヒトの細胞表面にある「受け皿」に取りつく部分です。ここもたんぱく質なのですが、接着面で大切なのは6つのアミノ酸です。そのうち5つが、以前からあった風邪コロナウイルスと違っていました。 ただし人工改造説には疑問を抱く研究者も多く、5つのアミノ酸の並び方が完璧でなく、少し隙間ができてしまう。もし人工的に改造したのであれば、そのような手抜かりはするはずがないというのが、その主張です。 「あなたが造ったコロナの新型ウイルスが研究所から漏れ出たのでは?」とのメディアの問いに、彼女は上ずった声で否定の言葉を繰り返したとのことです。 【(Q8参照)⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2307#2308 】 第三の説 「消された遺伝子配列」と題する論文の発表がありました。昨年の3月、武漢市の研究者グループが、新型コロナウイルス241種類の遺伝子配列の分析に成功し、米国国立衛生研究所(NIH)のデータベースに登録していました。数が多いのは、ウイルスにもそれぞれ個人差があるからです。 ところが今年6月、米国のあるウイルス学者がそれを検索したところ「該当なし(not found)」という結果が返ってきました。データがそっくり消えてしまっていたのです。しかし、グーグル・クラウドを徹底的に調べ、13の配列を復元することができました。消された配列の秘密は、まだ解明できていませんが、どうやら武漢市の海鮮市場を経由せずに感染が広がったことを示すものだったようです。 新型コロナに感染した患者が最初に確認されたのは、公式には「2019年12月8日、武漢市の海鮮市場で」とされています。しかし実際には、「すでにその年の9月29日に第1例目が確認されていた」と、武漢大学の教授が語っていた記録も見つかりました。同教授は、その後、「中国CDC」なる機関から叱責を受け、「12月8日以前に感染者はいない」ことにさせられてしまいました。 上記の論文が発表されてから1ヵ月半ほど経った7月5日、消されていた遺伝子配列が、中国バイオ情報センターなる組織が運営するサーバーに突然、アップロードされていることが判明。疑惑が再燃しています。 武漢大学の研究者が解析した遺伝子配列は、1年ほど前に米国NIHのデータベースに登録されましたが、ある日、「情報を全部消してほしい。配列を訂正するためだ」との連絡が武漢大学からあった、との担当者の新証言も同時にあきらかになりました。 しばらくして中国国内で開かれた記者会見で、「実は、あの遺伝子配列はドイツの専門誌にも投稿していたが、編集ミスがあって、NIHデータベースのアドレスを記載した一文が削除された状態で発刊されてしまった。そのため、NIHには取り消しを依頼し、中国が運営しているデータベースに登録し直しただけ」、と意味不明の釈明がなされました。 記者会見の最中、政府関係者が演壇に立ち、「ウイルスは武漢ウイルス研究所から漏れ出たものでは決してない」と、むきになって発言していたそうです。語るに落ちたとは、このことでしょう。 結局、謎はさらに深まった、と米国のメディアは伝えています。 【参考文献】 1) Wu F, et al.,A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature, Mar 20, 2020. 2) Zhou P, et al., A pneumonia outbreak associted with a new coronavirus of probable bat origin. Nature, Mar 12, 2020. 3) Sun Z, et al., Potential factors influencing repeated SARS outbreaks in China. Int J Environ Res Public Health 17: 1633, 2020. 4) Ma W, et al., The pig as a mixing vessel for influenza viruses: human and veterinary implications. J Mol Genet Med 3: 158-166, 2009. 5) Gorman J, U.S. and Chinese scientists trace evolution of coronaviruses in bats. New York Times, June 1, 2020. 6) Ives M, Scientists say new strain of swine flu virus is spreading to humans in China. New York Times, Jun 30, 2020. 7) Alagona P, It's wrong to blame bats for the coronavirus epidemic. The Conversation, online. 8) Qin A, Buckley, A top virologist in China, at center of a pandemic storm, speaks out. New York Times, Jun 14, 2021. 9) Gorman J, Zimmer C, Scientist opens up about his early Email to Fauci on virus origins. New York Times, Jun 14, 2021. 10) Andersen KG, et al., The proximal origin of SARS-CoV-2. Nat Med 26:450-455, 2020. 11) Sills J, Investigate the origins of COVID-19. Science, May 14, 2021. 12) Zimmer C, Scientist finds early virus that had been mysteriously deleted. New Yprk Times, Jun 23, 2021. 13) Bloom JD, Recovery of deleted deep sequencing data sheds more light on the early Wuhan SARS-CoV-2 epidemic. bioRxiv, Jun 18, 2021. 14) Zimmer C, Those virus sequences that were suddenly deleted? they're back. New York Times, Jul 31, 2021.        
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