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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.4.24) Q チャイナ・バイラス(ウイルス)? A 新型コロナウイルスが最初に発生した国の責任について、改めて考えさせられる論評や出来事がいくつかありましたので、公平な評価をまとめてみました。ちなみにチャイナ・バイラスは、トランプ前大統領が、敵対心をむき出しに考えた造語です。 2023年3月25日、有名な医学専門誌に、中国杭州市の外科医が投稿した論文が掲載されました(文献1)。内容は「命を賭してコロナと戦った医療関係者に対し、報酬金が届いていない。それを請求したところ、患者が確かに感染していたことの証明や診療記録、勤務していた日時と時刻など膨大な記録の提出を求められた。病院によっては、自費で購入したマスクなどの必需品についても、証拠を出さなければ支給しないと言われている。あとになってから、そんなことを言われても無理・・・」というものでした。 ところが、この論文は、2週間後、著者らが自ら取り下げてしまいました。現在、この論文にアクセスすると、大きな赤字で「RETRACTED(撤回)」と刻印が押された状態で表示されます。同じような出来事が、2020年にもありました(文献2)。理由は、いっさい説明されていませんが、背景に何があったかは推して知るべしです。 新型コロナウイルス感染症が世界で最初に確認されたのは、中国の武漢市で、大騒ぎになったのが2020年が明けたころでした。その都市に住むある女性作家が、恐怖の日々を自身のブログで日記風に綴り始めました。都市封鎖によって市民生活が激変したことや、コロナと闘って命を落とした医師が迫害されたこと、当局によって情報が隠ぺいされたこと等などを、赤裸々に綴ったものでした。ブログの存在は瞬く間に中国全土に知れ渡り、絶賛するコメントが殺到、最終的に延べ3億8千万回を超えるアクセスがあったと言われています。 この騒ぎとほぼ並行する形で、ブログの内容は『武漢日記』という本になりました(文献3)。世界各国の言葉で翻訳・出版されたのですが、ちょうどそのころ突然、風向きが変わり、中国政府を批判したとの理由で作家が激しいバッシングを浴びるようになり、ブログも閉鎖されました。その後、2023年、騒動の顛末を記した本が出版され、その中で「陰で組織的な扇動があった」と断じていました(文献4)。 遡ること100年ほど前、スペイン風邪が世界中で猛威を振い、現在の人口に換算して1.8億人が命を落としたと記録されています。名前こそ「スペイン風邪」でしたが、実は発生源は中国だったとする説が有力です(当ホームページQ17「第6回」参照)。 時代が進み、2002年、世界中が戦慄した重症呼吸器感染症(SARS)の大流行がありましたが、これも発生源は中国でした。その後の研究も含めて明らかになったのは、原因ウイルスがタヌキ、ハクビシン、タケネズミ、オオサンショウウオなどの野生動物の体内に潜んでいたことでした(文献5)。中国政府は、市場での野生動物の販売を禁止したと発表しました。 この問題の調査を続けてきたオーストラリアのウイルス学者エドワード・ホルムズ氏は、2014年に武漢市の海鮮市場を訪れ、ショックを受けました。ヘビ、アナグマ、ネズミ、鳥など、禁止されたはずの野生動物が、生きたままカゴに入れられ、食用として売られていたのです。文献6には、監視役でつき添っていた公安当局者の目を盗んで同氏が撮影した、実際の写真が掲載されています。 そして、この度の新型コロナウイルスの発生です。以上は、私見を交えず、公表された情報・事実だけをまとめたものです。その裏で、どのような力が働いてきたのかは、自ずと明らかでしょう。 当時、『武漢日記』を読んだ私は、「大事件に遭遇した中国の市民たちには、他人を思いやる熱い気持ちが芽生えていた」という事実を知り、むしろ感銘を受けたほどでした。また、中国からやってきた多くの留学生の研究指導を行ってきましたが、彼らは常に礼儀正しく、常識をわきまえた人たちだった、という私の経験談もつけ加えておかなければなりません。 矛盾を孕んだこの大国とどう向き合えばよいのか・・・、今後の世界の安全を考える上で最重要課題です。 【参考文献】 1) Sun L, et al., RETRACTED: Chinese medical personnel after the COVID-19 pandemic. Lancet, Mar 25, 2023. 2) Zeng Y, et al., RETRACTED: Chinese medical staff request international medical assistance in fighting against COVID-19. Lancet Glob Health, Feb 24, 2020. 3) 方方, 武漢日記_封鎖下の60日の魂の記録. 河出書房新社, 2020. 4) マイケル・ベリー, 「武漢日記」が消された日_中国から始まったある言論弾圧. 河出書房新社, 2023. 5) Liu WJ, et al., Surveillance of SARS-CoV-2 at the the Huanan seafood market. Nature, accepted: Apr 3, 2023. 6) Zhang Y-Z, et al., A genomic perspective on the origin and emergence of SARS-CoV-2. Cell, Apr 16, 2020. 【訂正】 2023.4.17付けの記載に誤りがあり、ご意見(9)の一部を削除・訂正しました。        
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