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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.6.12) Q コロナ後遺症を巡る議論とは? A 「コロナの後遺症は存在しない!!」との情報を、2023年5月8日付の当ホームページ※1で紹介しました。感染した人と感染しなかった人を対象に、78項目もの専門的検査を実施し、統計処理を駆使して比べたところ、症状の有無に差がなかったという研究データに基づいたものでした。 (※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4054#4172 ) その一方、コロナ後遺症についての記事が、今なお欧米の医学専門誌に相次いで掲載されています。たとえば、2023年5月30日に発行された専門誌には、コロナ後遺症を訴える、女性(53歳)の詳細な経過が載っていました(文献1)。ある日、37.9℃の発熱と咽の痛み、頭痛などがありましたが、翌日には症状も回復。数日後のPCR検査で陽性と判明した、という人です。 しばらくして迎えた朝、瞼が重く、開けていられないことに気づきました。その後、いろいろな異変が立て続けに起こります。ジムに通っていたことから体力には自信があったそうですが、突然、歩けなくなり、同時に激しい頭痛に襲われたのです。すぐに病院を受診し、抗生物質を処方してもらったことから、症状はほぼ消失しました。気分も上々で、延期していた簡単な手術を受け、職場にも復帰しました。 ところが、しばらくすると体調が再び悪化。手足のしびれ、全身の痛み、頭のもやもやなどが急速に出てきました。直ちに脳神経の専門病院を受診し、ありとあらゆる検査をしてもらいましたが、すべて異常なしでした。結果に安心すると、症状も劇的に改善し、数日間を平穏に過ごすことができました。 早速、仕事に再復帰したところ、またまた体調が悪化し、通い慣れたはずのジムにも、仕事にも行けなくなってしまった・・・。ジェットコースターのような体調の激変を訴えてきたこの人は、実は、クリニックに勤務する医師でした。 「後遺症ではないか」と心配する患者を専門的に診療してきた医師たちは、専門誌のインタビューに以下のようなコメントをしています(文献1, 2)。  ・多彩な症状が何の脈略もなく、突然、出現したり消えたりする  ・訴えている症状が平均して18種類と多く、中には50の症状を訴えた人もいる  ・息切れ、疲れやすい、筋肉痛、しびれ、動悸、血糖値異常などが代表的  ・コロナ後遺症に対しては、信頼できる検査も、治療も存在しない  ・対策の見当がつかず、お手上げ状態だ  (イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/sequelae.jpg ) コロナ後遺症には、定義らしきものもいくつか提案されていて、たとえば米国疾病予防管理センター(CDC)は、「コロナに感染したあと4ヵ月以上に渡って多様で新たな症状を認める場合」とし、世界保健機関(WHO)は、「感染後、3ヵ月以上にわたって新たな症状を認める場合」としています(文献3)。 WHOが制定する「国際疾病分類」というコード表があり、病気の統計や研究に広く使われています。その表に、コロナ後遺症が「U09.9」というコード名で加えられることも決まりました。しかし、だからといって、検査法も診断基準もなく、治療法も存在しないため、患者にとっても、診療に当たる医師にとっても、役立つことは何もなさそうです。 さて、これらの最新情報に接した感想はいかがでしょうか? 冒頭に述べたように「コロナ後遺症という名の身体的かつ固有の病気は存在しない」との判断が、やはり科学的に妥当ではないかと考えますが、ご意見や経験談をぜひ、お寄せください。 【参考文献】 1) Landhuis E W-Y, et al., How primary care physicians can recognize and treat long COVID. JAMA, May 23/30, 2023. 2) Dorfman D, et al., Approving workplace accomodations for patients with long COVID - advise for clinicians. N Engl J Med, Jun 8, 2023. 3) Nikolich JZ, et al., Toward comprehensive care for long Covid. N Engl J Med, Jun 8, 2023.        
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