投稿画像
投稿者:小心者
●再劣化のメカニズム  供試体の試験結果から、再劣化のメカニズムは図9のように考えられます。  ①コンクリートの中性化の進行および塩化物イオンにより鉄筋が腐食する、腐食により生成した鉄筋の錆は、体積膨張するので、経年により錆が累積するとコンクリートのはく離・はく落がおこる。  ②コンクリートのはく離・はく落箇所を部分断面補修すると、この箇所がカソード部となり、補修境界周辺の未補修箇所がアノード部になって、マクロセル腐食が生じる。この箇所では鉄筋の腐食速度が全面腐食(ミクロセル腐食)の最大2倍程度まで腐食が促進する。  ③補修境界周辺の未補修箇所で全面腐食とマクロセル腐食による錆が経年により累積してはく離・はく落などの再劣化を生じる。 ●効率的な部分断面補修  部分断面補修を実施すると、特にコンクリート中の塩化物イオン量が多い時にその周囲の未補修箇所側にマクロセル腐食が生じます。  そこで、部分断面補修後に再劣化を生じるまでの期間を試算してみました。  コンクリートの補修条件は図10の3ケースで、鉄筋が面錆状態の部分のみを補修した場合、点錆が認められる部分まで補修した場合、腐食していない部分まで補修した場合のそれぞれについて検討しました。劣化予測の算出条件は図10に示す値を用いました。  算出した部分断面補修後の補修箇所周辺の供用年数と鉄筋の腐食減量の関係は、図10に示すとおりです。部分断面補修箇所周辺がケース1(面錆状態)のときは、補修後に鉄筋腐食が進行して、短い時間でコンクリートのはく離が生じると推測されますが、ケース2(点錆状態)、ケース3(腐食なし)になるにつれてはく離に達する時期が長くなることが推測されます。  したがって、部分断面補修後に、補修部周辺の再劣化を抑制するためには、補修箇所と未補修箇所の境界部を点錆以下にする必要があると考えています。 ●施工の留意点  部分断面補修の施工にあたり、補修部周辺に生じるマクロセル腐食以外にも、補修境界に欠陥部があると、未補修箇所の状態が点錆以下であっても、鉄筋に水分や酸素が供給され、腐食が著しく速くなることが考えられます。特に、コンクリート中の塩化物イオン量が多い箇所についてはこの影響が大きくなるため、留意する必要があります。 5月から始まる「施工不良箇所の部分断面補修」工事・・・、(A組)大丈夫でしょうか!? 元記事:https://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2012/0004005629.pdf
投稿記事
画像を拡大