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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新  正しい情報を偏りなく (2023.1.9) Q 繰り返しのワクチン接種が免疫機能を破壊する?  第3回 敗者は抹殺せよ!  新型インフルエンザ(H1N1)と呼ばれた感染症が、2009年に大流行したのをご記憶でしょうか。そのとき、1957年生まれの人たち(52歳)を中心に、感染して死亡した人の割合が異常に高くなっていました。この人たちが生まれた1957年は、新型インフルエンザとは別のタイプのインフルエンザ(H2N2)が流行した年でした。 H○N○はインフルエンザウイルスの変異を表わす記号ですが、2つの異なる時代に流行したウイルスの間には、互いによく似てはいるものの、少しだけ違うという特徴がありました。 インフルエンザに罹ったことがある人は、免疫がついて、あとで再び感染しても軽くすむはずです。しかし「むしろ致死率が高まった」という、この不思議な逆転現象は、インフルエンザ以外の感染症でも昔から認められていて、一部の免疫学者は、とくにワクチンを作る際に気をつけなければならないと、警告を発していました。 コロナ禍の時代となり、研究も進み、その理由が徐々にわかってきました。 ウイルスに対抗する抗体を作る役割を果たしているのが、「B細胞」と呼ばれる免疫細胞です。以下、その仕組みを図解します。 (画像1⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/antigensin.jpg ) (画像2⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/antigensin2.jpg ) 抗原と抗体との闘いは、1対1のピンポイントでなければなりません。抗体が手当たりしだい暴れてしまっては、健康な細胞まで傷ついてしまうからです。この選抜の記録は、別の免疫細胞によって、ずっとあとまで保存されます。 実は、この大切な機能が、免疫システムの最大の弱点でもありました。 ウイルスに最初に感染すると、その記録が免疫細胞に残されますが、あとで少しだけ形の異なるウイルス(変異株)に感染した際、「少しだけ違うこと」を理由に、その抗体を作るB細胞が、過去の記録に従って抹殺されてしまうのです。冒頭に述べた、インフルエンザのH1N1株とH2N2株の関係が、まさにその実例でした。 いま最大の懸念は、新型コロナワクチンで同じことが起こっているのではないか、ということです。ワクチンによって体内の免疫システムに記憶された「抹殺の記録」に従って、少しだけ変異したウイルス(たとえばオミクロン株)に感染すると、その抗体を作るB細胞が破壊されてしまう危険性があるのです。 新型コロナワクチンとの関係を調べた研究も、すでに行われています。「コロナワクチンで、そんなことは起こっていない」と結論した研究もあるのですが、対象人数が極端に少なく、存在を否定したことにはなっていないようです。一方、「すでに起こっている」と結論した研究はいくつかあり、いずれも科学的な方法論に従ったものとなっています。ただし、直接的な証明にはまだ至っていません(参考文献7,8)。 この「敗者は抹殺せよ」理論は、ワクチンを受けた人ほど感染しやすいという事実を説明する上で説得力があり、記憶に留めておく必要があります。正確なメカニズムはまだ不明のため、研究の進展があれば直ちに当ホームページで取り上げるつもりです。 【脚注】  この概念は、60年以上も前の1960年に提唱され、original antigen sin(諸悪の根源は抗原にあり)と名づけられた。聖書からとった言葉であるが、メカニズムがあきらかになってきた現在、現象を正しく表していないと考え、あえて当記事では用いていない。 【参考文献】 1) Gagnon A, et al., Pandemic paradox: early life H2N2 pandemic influenza infection enhanced susceptibility to death during 2009 H1N1 pandemic. mBio, Jan 16, 2018. 2) Cobey S, et al., Poor immunogenicity, not vaccine strain egg adaptation, may explain the low H3N2 influenza vaccine effectiveness in 2012-2013. Clin Infect Dis, Feb 20, 2018. 3) Zhang A, et al., Original antigenic sin: how first exposure shapes lifelong anti-influenza virus immune responses. J Immunol, Jan 15, 2019. 4) Brown E, et al., Original antigenic sin: the downside of immunological memory and implications for COVID-19. mSphere, Mar 10, 2021. 5) Christopher T, et al., What are the primary limitations in B-cell affinity maturation, and how much affinity maturation can we drive with vaccine? Cold Spring Harb Perspect Biol, Jun 19, 2017. 6) Azuma H, et al., Vaccination with the Omicron spike RBD boosts broadly neutralizing antibody levels and confers sustained protection even after acquiring immunity to the original antigen. Int Immunol, Nov 22, 2022. 7) Reynolds, et al., Immune boosting by B.1.1.529 (Omicron) depends on previous SARS-CoV-2 exposure. Science, Jul 15, 2022. 8) Park Y-J, et al., Imprinting antibody responses against SARS-CoV-2 Omicron sublineages. Science, Nov 11, 2022.        
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