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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新  正しい情報を偏りなく (2022.1.31) NEW! (11) マスクは要らないって本当?  「マスクは無意味」と主張する人たちがいます。そうでしょうか。昔からテレビなどでウイルスの専門家が語っていたのは、「ウイルスは超微小でマスクの織り目をすり抜けてしまうため意味がない」という説明でした。 しかしウイルスは、基本的にヒトや動物の細胞の中でしか生きられません。人から人へ感染するのは、患者のくしゃみや咳とともに空中に放出される霧滴に、ウイルスに侵された細胞片が混じっているためであり、ウイルスが感染力を保ったまま、単独で空中を浮遊しているわけではありません。 事実、米国で行われた実験によれば、インフルエンザに感染した患者から咳とともに排出されるウイルスの58パーセントは、直径1ミクロンより大きな霧滴の中に含まれていました。ちなみに1ミクロンとは、毛髪の直径の80分の1ほどです。 等身大のマネキンに人間と同じように呼吸をする装置を組み込んでおき、ヒトの咳を再現した装置で霧状の微粒子を吹きかけるという実験も行われています。マネキンにはマスクを着けましたが、このとき「普通に着ける」「完全に隙間を塞ぐ」など、条件をいくつかに分けて実験が行われました。 結果は明快で、マスクの隙間を粘着テープで塞いだ場合は100パーセントの霧滴をブロックできましたが、普通にマスクを着けただけでは34パーセントに留まっていました。 もっとわかりやすい実験も行われています。インフルエンザ感染が確認された407人の患者に協力を求め、2つのグループに分けた上で、一方には本人とその家族にマスクと手洗いを励行してもらい、他方には何もしないで生活をしてもらいました。その後、7日間にわたって同居の家族にインフルンザが感染したかどうかを追跡調査したのです。 実験後、マスクと手洗いをした家庭では、何もしなかった家庭に比べて家族間感染の割合が3分の1になっていました。また手洗いだけでは効果が不十分であることもわかりました。 気をつけたいのは、マスクの周囲にできる隙間からの「横もれ」です。次の写真(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/facemask.jpg )は、私がガーゼで作ったマスク(左)と、市販の不織布マスク(右)とを比べたものです。市販の不織布マスクは横もれしやすい点に、まずご注目ください。 また私が行った実験によれば、ガーゼを2枚重ねるだけで空中に浮遊する霧滴をほぼブロックできるのですが、写真のマスクは念のため12枚重ねにしています。さらに米国での実験によれば、ガーゼは、繰り返し洗うにつれ線維が毛羽たち、織り目がいっそう密になっていきます。つまり繰り返し洗濯ができるのです。 布きれ1枚など薄すぎる素材のマスクは論外ですが、逆にビニールのような空気を通さない素材では、横もれが100パーセント起こってしまいます。満員電車に乗るときなどはガーゼマスク(市販品でも可)を内側に、不織布マスクを外側につけるのが私のお勧めです。これは、私が10年近く前からインフルエンザ・シーズンに実行してきたことです。もちろん今も。 【参考文献】 1) Neil DG Jr, Mask hoarders may raise risk of a coronavirus outbreak in the U.S., New York Times, Jan 29, 2020. 2) Lindsley WG, et al., Measurements of airborne influenza virus in aerosol particles from human coughs. PLoS One 5(11): e15100, 2010. 3) Lai AC, Effectiveness of facemasks to reduce exposure hazards for airborne infections among general populations. J R Soc Interface 9(70): 938-948, 2012. 4) Cowling BJ, Facemasks and hand hygiene to prevent influenza transmission in households. Ann Intern Med 151(7): 437-446, 2009.        
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