投稿者:リンドホルム伯パウル
・!月?日
「それは本当か?」
「ええ、そうよ」
人の減った邸宅で、私とナディアは話をしていた。
ナディアは今日、ボロボロになって邸宅に逃げ込んできた。
彼女が言うには、探偵を名乗る男から付き纏われ、終いには刃物を持ち出されたという。
……探偵。
誰の手のものか?
決まっている!
「ウメオ子爵ヨハン」だ!!!
私はいい。
あいつが望むなら、私は資産の半分を投げ出したって構わない。
けれども、ナディアは。ナディアだけは!!
私は今まで人をロクに信用したことがない。
私が人を支配するには恐怖と金の二つを用いてきた。
しかし、莫大な資産を。
悪辣な会社組織を。
これらを守るのに恐怖と金は大いに役立つというのに、"たった女一人"守るのにこの二つは嫌というほど役立たずだ!!
「やらなければならない」
もはや私の手のみだ。
私のみが、それを行えるのだ……