投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/
岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)
テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新
正しい情報を偏りなく
Q12 ワクチン接種が進んだ国の現状から見えてくること?
A 英国は、ワクチン接種が順調に進んでいる国として知られています。NHKテレビでは、「英国で感染者数が急速に減少したのはワクチンのお陰」との報道が繰り返しなされています。
このQ12は4月下旬に作成したものですが、NHK報道が正しいのかを検証するため、改めてデータを集め、より厳密な分析を行ってみることにしました。
次【左】のグラフは、英国における「新規感染者数の推移(青)」と「ワクチン接種率」との関係を示したものです。ワクチン接種のグラフは、昨年12月1日~本年7月18日までの間に1回受けた人をピンクで、2回受けた人をグレイでそれぞれで表しています。どちらも全国民に対する割合(%)です。
新規感染者数のデータは、NHKが使っているジョンズホプキンス大学ではなく、英国政府公式サイトから引用したものです。「陽性が判明し報道された日」と「そのサンプルを採取した日」の両方が日々発表されていますので、グラフでは後者を使いました。NHK報道では、どちらであるのか説明がありません。
さて、1月(網掛け部分)に新規感染者数が激減したことがよくわかります。英国でワクチン接種が始まったのは昨年12月13日でしたが、効果が出るとすれば2~4週後のはずです。上の図は、接種のグラフを2週間だけ右にずらしたときの関係もわかるように工夫してあります。
着目すべきは、1月5日に「ロックダウン」が始まっていたことです。外出が禁止され、大学などの学校も閉鎖されるなど、日本とは比べものにならないほど厳しい行動制限でした。
これらのデータは2つの事実を示しています。ひとつは、ワクチン接種がわずか1~2パーセントしか実施されていなかった時期に、新規感染者数が激減していたこと、もうひとつは、その時期、2回接種を受けた人がほとんどいなかったことです。
つまり、もしNHK報道が正しいのなら2つの新事実が判明したことになります。
① 国民の1~2パーセントが接種すれば、集団免疫ができ感染が終息する
② ワクチン接種は1回で十分
これはあきらかな矛盾です。
【参考文献】
1) Vasileiou E, aet al., Interim findings from first-dose mass COVID-19 vaccination roll-out and COVID-19 hospital admissions in Scotland: a national prospective cohort study. Lancet, Apr 23, 2021.
2) Coronavirus (COVID-19) in the UK, GOV.UK, May 2, 2021.
3) Holder J, Tracking coronavirus vaccinations around the world. New York Times, May 11, 2021.