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投稿者:小心者
 前頁の図6で作製した供試体は、炭酸ガス濃度5%の促進中性化試験槽に入れて、経年による劣化を模擬しました。この時の鉄筋腐食状態は、例えば図7のように、塩化物イオン量が多いほど腐食が進行する傾向と同じでした。そこで、コンクリート構造物の補修と同様に、供試体の一部をはつり、鉄筋を露出させた後、鉄筋をケレンして、実際に使用されている市販のポリマーセメントモルタルを使用して部分断面補修を模擬しました。   ●部分断面補修後の状態  部分断面補修した後のマクロセル腐食の影響を調べるために、各供試体について分割した鉄筋間に流れる電流量を測定しました。図8に測定結果の一例を示します。この測定では、腐食電流量が大きいほど腐食が進行していることを示しています。また、腐食電流量が小さいと腐食は進行しませんが、周辺で腐食が進行している箇所に、腐食電流を送り込むため、周辺の腐食側(アノード側)ではマクロセル腐食が進行してさらに腐食量は大きくなります。また、いずれも補修境界から未補修側に80mm程度の範囲でアノード部になり、補修境界から補修側で若干カソード部(腐食電流量が小さい)になっている箇所も認められます。したがって、この箇所でマクロセル腐食を生じていることがわかります。このマクロセル腐食電流量は、塩化物イオン量が多いほど大きくなる傾向でした。  また、マクロセル腐食が生じると、腐食速度が最大でその箇所の全面腐食の2倍程度になることがわかりました。
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