投稿者:社会部記者
暴動から一夜明けて
昨日夕方、ドイツ人経営者互助協会へ投石したアラブ人少年がドイツ人に射殺された事により、大規模なアラブ人による暴動が首都・イスタンブールにおいて発生した。
暴動は瞬く間に伝播し、首都各地で外国人商店や外国人向け施設への投石・放火・略奪等が行われ、多数の建築物が破壊・火災の被害にあった。
暴徒によって割られ、路上に散乱するガラス片が月光を受け光り輝くさまは、まるで地面が水晶によって舗装されたかと錯覚する程であった。
特に射殺事件が発生したドイツ人経営者互助協会周辺での被害が酷く、協会事務所に立て籠もり反撃するドイツ人や鎮圧の警官隊からの発砲から身を守る為に、暴徒によって協会の対面にあるフォードディーラーから車両が引きずり出され盾として使用された為に多数破壊され、店舗も放火か失火かは現在不明であるが火災で炎上、店舗で保管されていたガソリンやエンジンオイルなどに引火し消化が難航している為、朝五時現在未だ消火活動が行われている。
また、トルコ民主進歩党やオスマン科学・技術協会等も暴動の被害に合うなど、労働者階級が多いアラブ人から『ドイツ贔屓』と見られた欧州型民主主義政党や知識階級層もその攻撃の対象になった。
暴動自体は夜九時頃警察隊の一斉攻撃により沈静化したが、逮捕者は現在報告されておらず、また死者は射殺された少年以外に現在は報告されては居ないが、重軽傷者が多数首都の病院に搬送され、日が明けた現在においても医療関係者による処置が追いつかないでいる。
この非常事態に対し、政府は「何であれ、破壊活動を行う者・扇動する者には軍隊を差し向ける事も辞さない」と強硬な声明を発表すると共に、首都各地に警察・憲兵を配置して更なる暴動の発生を防ごうとしている。
なお、現在においても事件の発端となったアラブ少年を射殺したドイツ人の行方は不明である。
写真:火災で炎上するフォードディーラー