投稿者:小心者
12.〔偏心率 (2)〕
地震力(層せん断力)は、建物の質量とそこに働く加速度との積の和になります。
建物の質量が床位置レベルに集まっているとすれば、その床位置での加速度はどの部分でも同じと考えて良いので、地震力(層せん断力)はその層の全質量と加速度との積になります。
また、この地震力(層せん断力)の作用点は、建物の質量中心位置になります。
この建物の質量中心位置を重心と言います。
一方、地震力(層せん断力)に対して、各耐震要素は反力を生じます。
その層内のすべての耐震要素に生じる反力の合力が作用する点を剛心と言います。
従って、剛心には、層せん断力と同じ大きさで反対向きの反力が作用します。
建物の重心位置と剛心位置との距離を偏心距離と言います。
ねじれ振動は、建物の重心位置と剛心位置が離れていると起こりやすくなります。
☑ 当マンションはセットバック形状ですが、大丈夫ですかね!?(構造上のバランスが悪いマンション ( No.53 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page53)
〔偏心率 (3)〕
偏心率は、耐震要素の配置について、平面的なバランスを示す指標を表しています。
偏心率は、0に近いほど耐震要素の平面的なバランスが良いことになります。
設計では、各階の偏心率が0.15以下であることを確認しなければなりません。
ここまでが『一次設計』です。
剛性率・偏心率が規定値内の場合には、これで耐震設計は終わりです。この場合『一次設計』の弾性域から、塑性域に移行した後のこと(大地震動時に建物が危険な崩壊を招かず、人命を確保できるかどうか)は成り行き任せということになります。