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投稿者:浮浪雲
【図1】 一般にベランダ手摺に作用する風力Wは、外側に作用する風圧力P1と、内側に作用するP2との差圧によって表すことができます。 一方、ベランダ内側に作用する風圧力P2は、外壁面に作用する風圧力P3と高い正の相関があるため、P2の代わりにP3を用いてベランダ手摺に作用するピーク風力係数を推定できます。 【図2】 隅角部以外の中央部においては、平均風力はベランダの外側と内側で等圧となると考え、図2の式(3.2.2.1)で算定されるピーク風力係数が妥当だと考えられます。  隅角部以外の  ベランダ手摺のピーク風力係数Cf,b = Cpe × {(Gpe-1)/Gpe }   Cpe ・・・・・ 近接する外壁面のピーク外圧係数   Gpe ・・・・・ 平12建告第1458号で規定される帳壁の正圧部のGpe 下記1)表の数値や計算式から解かるように、CpeはMaxでも1.0ゆえに、仮にCpe=1.0として上式に代入し、 次に、地表面粗度区分Ⅲの当該地域※1でのGpeは下記2)表から3.1~2.3の範囲になるので、仮にGpe=3.1、Gpe=2.3を上式に代入した場合、  Cf,b = Cpe × {(Gpe-1)/Gpe }  Cf,b = 1.0 × {(3.1-1)/3.1 } ≒ 0.68 ・・・ (※2 Max値)  から、  Cf,b = 1.0 × {(2.3-1)/2.3 } ≒ 0.57  の範囲となります。  なお、Cpeが1.0未満となる中間階の場合は更にCf,bは小さくなります。  Hが5を超え且つZが5を超える場合のCpeは、Cpe=(Z/H)^2αで求めます。  仮に、Ⅱ番館のH:25m、6階帳壁のZ:19m、を上式に代入した場合、(なお当該地域※1は、α=0.2です。)  Cpe=(Z/H)^2α  Cpe=(19/25)^0.4 ≒ 0.89 となります。  この場合のCf,bを改めて求めますと、(ここでのGpe≒2.8は、下記2)表での補間値です。)  Cf,b = Cpe × {(Gpe-1)/Gpe }  Cf,b = 0.89 × {(2.8-1)/2.8 } ≒ 0.57  となります。 繰り返しますが、これは隅角部以外(中央部)のベランダ手摺の場合です。隅角部は別の計算で求めますが、当マンションに隅角部且つRC以外のベランダ手摺は存在しませんので省略します。 風圧力W(N/m2)は、W = 0.6×E^2×V^2×C で計算されます。  [W:風圧力、V:基準風速、C:風力係数、E:平均風速の鉛直分布を表す係数 ・・・ 当該地域※1で建物H≦31mならE≦1.0となる故、当建物ではE=1.0と設定。]  当該地域※1のV:34m/S、ベランダ手摺Cf,b:0.68 (※2 Max値)、E:1.0、で計算した場合のベランダ手摺風圧力W(N/m2)は、  W = 0.6×34^2×0.68 ≒ 472N/m2 ・・・・・ 設計風圧力(A) となります。一方、 先日の強風で固定ネジが破壊した際の日最大風速は17m/Sでしたので、この時の風圧力W(N/m2)は、  W = 0.6×17^2×0.68 ≒ 118N/m2 ・・・・・ 破壊時風圧力(B) と考えられます。 故に、当該ベランダ手摺の風荷重に対する安全率は(B)÷(A)=0.25 です。   ※なお、上式の通りに設計されたベランダ手摺の内側に作用するP2が突然無くなった場合(例:暴風でサッシガラスが大破した際など)には、当該ベランダ手摺は忽ち崩壊します。(これは、ベランダ手摺のピーク風力係数がCf,b = Cpe × {(Gpe-1)/Gpe } から(例:ピーク風力係数C=0.68などから)、Cf,b = Cpe × Gpe に(例:ピーク風力係数C=3.1~2.3などに)突然変わるからです。[当該地域※1で隅角部以外且つ正圧部の場合]) 1)■帳壁(正圧部)のピーク外圧係数Cpe 帳壁の正のCpe ・Hが5以下の場合:1.0 ・Hが5を超える場合:   Zが5以下の場合:(5/H)^2α   Zが5を超える場合:(Z/H)^2α この表において、H、Z及びαは、それぞれ次の数値を表すものとする。  H  建築物の高さと軒の高さとの平均(単位 m)  Z  帳壁の部分の地盤面からの高さ(単位 m)  α 平成12年建設省告示第1454号第1第3項に規定する数値(地表面粗度区分がⅣの場合にあっては、地表面粗度区分がⅢの場合における数値を用いるものとする。なお、当該地域※1[静岡県駿東郡 粗度区分Ⅲ]のαの値は0.2である。) 2)■帳壁(正圧部)の外圧ガスト影響係数Gpe           (1)    (2)    (3) 地表面粗度区分   Z≦5   5<Z<40   40≦Z           Ⅰ        2.2    (1)と(3)とに   1.9                掲げる数値を                直線的に補間                した数値        Ⅱ        2.6      同上      2.1  Ⅲ及びⅣ      3.1      同上      2.3  この表において、Zは、帳壁の部分の地盤面からの高さ(単位 m)を表すものとする。 【参照サイト】 ・[PDF]第3章 ベランダ手すりの風荷重算定:https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/data/142/08.pdf ・〔平成12年5月31日建設省告示第1458号〕 屋根ふき材及び屋外に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件:https://www.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h16/slide/06-1/ref/No1.htm  
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