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投稿者:労農運動指導者 フェリシア・ウリヤノフ
男爵閣下、「今後与党になる可能性が最も高い政党」「使い様がある」…… 過分な評価、痛み入りますわ。このフェリシア・ウリヤノフ、素直に誉め言葉と受け取らせていただきましょう。 ですが、貴方のその類まれなる陰謀の才を持って、国家を操ることが出来るとは、このフェリシア、同意いたしかねます。 一つの政府、一人の王を倒すならば、陰謀という名の一つの弾丸があれば十分かもしれません。 しかし、例えば陰謀をもってフランスの首脳を皆殺しにしたとして、フランスという概念が屈服する可能性は万に一つもないでしょう。 国家というのは、一人の生命でもなく、十人の生命でもなく…… 無学な人民から見ても明らかな、大いなる力によって打倒されることによってのみ、屈服するのです。 それが我々のもたらすべき地上の福音です。 それと…… 男爵閣下は、フランス人のお粗末な台所事情に随分お詳しいようですが…… ですが、残念ながら我々、労農運動のことはそこまでお詳しいわけではないようです。 エレオノーラさんも……まだまだですね。 どうやら、私のことをリンドブロムさんと政党組織に守られているだけの人形とでも思われているようですが…… 嗚呼…… (鉄でできたテーブルに指をかける) この労農運動で、最も強いのは…… (鉄が切り裂かれる音が部屋に響く) リンドブロムさんでもなく、父でもなく…… (そのまま、テーブルを絹のように引き裂く) 地上に理想を顕現させるために遣わされた正義の御手である、このフェリシア・ウリヤノフです。 (ボロクズのようになった鉄のテーブルが、音を立てて倒れる) この鍵がかけられた密室、男爵様の御首にも、手を伸ばせば届く距離…… 仮に最近流行りの麻薬の力を借りたとしても、今、この瞬間に、貴方の首を胴から切り離すことなど、造作もございません。 ええ、「首を取る」とは文字通りの意味です。 この私、フェリシア・ウリヤノフが、貴方、キルナ男爵閣下の首を、たとえこの地上のどこに居ようとも、この手を持ってねじ取ろうというのです。 さらに我々には理想のために、殉教をむしろ求める万人の同志が居る。 この私、そこに居る二人、さらに万人の死をもって、この憂き世の空気を浄化するのもまた悪くないでしょう。
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