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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.6.5) Q 因果関係を証明するには、どうすればよいのか? A 「年齢や性別、病歴、生活習慣など多くの背景因子を調べ、それらの影響を取り除く統計処理を行っていたので、因果関係は正しく示されたと判断される」との表現を、当ホームページでは繰り返し用いてきました。影響を取り除くとは、どういう意味なのか、考えてみることにします。 次の図(グラフ①⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/coreration.jpg )は、2つの出来事xとyの関係を4通りの場合に分けてグラフにしたものです。 一目瞭然ですが、(4)のグラフは説明が必要かもしれません。横軸(x)の値が何であっても、縦軸(y)の値がほぼ同じですから、両者はほぼ無関係なのです。では、(2)や(3)のようなグラフを見たとき、両者に原因と結果の関係、つまり因果関係があると言えるでしょうか? 次のグラフ(グラフ②⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/BMIvsBP.jpg )は、健康な10人で調べた肥満度と血圧との関係を示したものです。倫理審査委員会の承諾を得て、私が集めた実際のデータの一部です。想像通り、太っている人ほど血圧も高いことを示しているように見えます。 肥満度と血圧の間には、いろいろな背景因子が絡んでいるはずです。まず思いつくのは「年齢」です。誰でも、年をとれば体重が増え、血圧も上がっていきそうな気がします。そこで、まず血圧が年齢と関係しているかどうかを知らべるため、このデータをもとに、肥満度(横軸)を年齢に置き換えたグラフを作成(グラフ③⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/BPvsAge.jpg )し、眺めてみます。 次に、血圧の値から年齢のせいで変動する分を引き算をする、という処理を行います。具体的な計算をしてみましょう。たとえばグラフの右端から3つ目の点で表示されている人は、「年齢が60歳で血圧が138mmHg」です。この人は、直線の式から、  年齢から予測される血圧 = 0.98 × 60(歳) + 72.5 ≒ 131(mmHg) と計算されます。実際の血圧は138mmHgでしたから、その差7mmHgは、年のせいではなく、何かほかの因子、たとえば肥満や運動不足など生活習慣上の問題、あるいは動脈硬化症などの病気によるものかもしれません。つまり、高血圧の原因を考える上で対象となる因子を、ひとつ絞ることができたのです。 次のアニメ(GIF動画⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/multivariate.gif )は、一連のややこしい操作をわかりやすく図解したものです。  [YouTube:1HrUkKgaKM4:R]  (元ファイル⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/multivariate.gif を変換)    さて、同じ処理を肥満度についても行い、「年齢の影響を取り除いた肥満度」と「年齢の影響を取り除いた血圧」の関係を、改めてグラフにしてみました。その結果は以下(グラフ④⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/adjusted.jpg )のようになり、意外なことに肥満と血圧はほとんど関係がなかったのです。最初に示したグラフだけで判断していたら、間違いを犯していたことになります。 人間は、体の仕組みも社会での行動も複雑ですから、実際にはもっと多くの背景因子が絡んでいます。そのため引き算の操作は、高度な数学的技法を要し、「多変量調整」と呼ばれています。研究データの信頼性を見分けるポイントのひとつは、背景因子がたくさん収集され、多変量調整がなされているかどうかです。 ちなみに『コロナワクチンの有効率は95パーセント』と発表した、あのファイザー社論文(当ホームページのQ10参照※1)には、背景因子の処理に関する記載がいっさいありませんでした。 (※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ10 ) 【参考文献】 1) 岡田正彦, 医学・生物学のためのデータ解析入門―統計学からわかる現代医療の問題点―, コロナ社, 2004.        
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