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投稿者:やっぱりセルが好き!
66年12月8の定期公演のプログラムは ①ストラヴィンスキー プルチネッラ組曲 ②モーツアルト ピアノ協奏曲21番 ③ファリャ スペインの庭の夜  ピアノはロベール・カサドシュ ④ワーグナー タンホイザー序曲 カサドシュの演奏活動何十周年?記念だったので、この様な変則的なプログラムになった様です。 この日の演奏モーツアルトとファリャは合わせてCD化されており、プルチネッラ組曲も音源を所有していましたが、タンホイザー序曲は未聴でした。 実際手持ちの資料でもNo Recordingとなっており録音は存在しないものと思っていました。 ところが‥ 一月程前に浅野様の御好意でAppleMusicが提供している当日の録音を頂いたのですが、何とタンホイザー序曲が含まれておりました! そして100回近く聴きましたが、これこそ究極・至高のタンホイザー序曲ではとの思いを強くしています。 ワグネリアンとまではいきませんがワーグナーの楽劇、特にタンホイザーはお気に入りでセルのメトとの42年・54年を含め、全曲盤ではコンヴィチュニーやショルティ等々 序曲だけなら数え切れないほどの演奏を聴いて来ましたが、それらを全て凌駕するのがこの演奏だと思っています。 以前セルの音楽が素晴らしいのは「全ての音があるべき場所に立体的に収まっているから」と投稿した事がありますが、それを正しく実感出来るのがこの演奏です。 テンポ感・微妙な強弱・弦楽器の厚みとうねり・管楽器の力強さと安定感・後半最強奏部でも音が潰れず立体的に迫って来る様 等々‥ この演奏の素晴らしさを上手く表現する事が出来ずもどかしいのですが、以前エッシェンバッハがインタビューの中で影響を受けた指揮者としてセルとカラヤンを上げ 曰く「カラヤンは油絵画家・セルは建築家」と答えたのを思い出しました。 このタンホイザー序曲はセルとクリーヴランド管弦楽団の演奏芸術の頂点を示すひとつではないかと考えています。 セルを聴いた事が無い人から「セルとクリーヴランド管弦楽団の凄さ・素晴らしさを30分位で」と聞かれれば「ベートーヴェン交響曲第2番の第一楽章とヴルタヴァそしてこのタンホイザー序曲を」と答える事になるでしょう。 (一時間位でと聞かれれば、これに67年英雄の第二楽章を加えますが) これを聴いてセルとクリーヴランド管弦楽団の凄さ・素晴らしさを感じる事が出来ない方とは残念ながらお友達には‥あくまで私見です(笑) ノイシュバンシュタイン城がローエングリンの城ならば、リンダーホーフ城はタンホイザーの城と言えるでしょう。 ルートヴィッヒ2世は城の庭園の裏山に《タンホイザー》の情景を模した洞窟を造らせ、その中の池に船を浮かべてワーグナーの世界にひとり耽ったそうです。 残念ながら私には築城するだけの権力と財力がありませんが、ルートヴィッヒ2世と同じ世界に浸らせてくれるのがセルのこの演奏です。
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