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投稿者:CB
ヒューマンエラーを減らすのに機械化、IT化が有効なのだろうと思います。もちろんその設計、プログラミングを誤ってしまっては何もならないけれど、そのデバッグを慎重に行うことに依って、以後予測されるヒューマンエラーを防げるのだろうと思う。 さて一方、どれだけ機械化・IT化が進んでも、最終的にはヒトが手で操作すべき仕事はなくならない。 医療事故が急激に糾弾され訴訟沙汰になり警察が介入して医療者を刑事訴追する事案が急増した時期があった。小松秀樹氏は著書「医療崩壊」の中で東武線の踏切事故の例を取り上げていた。あまりに踏切が開かない時間が長く歩行者などのためを思い、当時半自動だった踏切操作者が操作して一時的に遮断機を上げたりしていたとのこと。ところが事故が起きてしまった。東武鉄道は彼を懲戒解雇とした。企業としての東武鉄道は質量のある社員の人生を斬り捨て、その反作用で企業イメージのダウンを避けようとしたのだと小松は述べる。 ヒューマンエラーを減らすためにすべきもう一つの事項。これを刑事罰で処理してはならないと考えている。日本の刑法には業務上過失致死/致傷罪がある。故意で人を殺したり傷つけたら殺人罪・傷害罪で罰するのは了解可能である。しかしミスで他の人間の命を奪ったりケガを負わせたりしまった時に果たして当該人物を加害者として刑事罰を与えることが正しいのだろうか。 運転免許を取る時に事故発生時の責任を「刑事」「行政」「民事」と教わる。何の疑問もなくドライバーはそれを受け容れてしまう。民事は当然必要であり、被害者に補償する必要があり、そのために自動車保険に加入する必要がある。行政処分=免許停止・免許取消もある程度了解可能である。しかし刑事処分=懲役刑・罰金刑が必要だろうか。 事故を起こしたドライバーを数年間交通刑務所に閉じ込めると、被害者にとって、社会にとってどういういいことがあるのだろうか。 そう考えて予てから刑法から業務上過失致死/致傷罪の廃止を唱えてきた。とてもその考え方が広がる気配はない。むしろ何か事件がある時に、バカの一つ覚え(と言わせてもらう)のように厳罰化ばかりが言われ、それが現実化してしまう。不毛ではないか。 今回の事故で海保の機長を懲戒免職とし、業過致死罪で数年の懲役刑を科したら、いったいどういう利益が被害者や社会にもたらされるのだろう。現行法では検察は「遺族感情」「被害者感情」を利用しようとする。こうした応報感情が堂々と法廷に持ち込まれる。マスゴミも被害者や遺族をお涙頂戴、浪花節で取り上げて、国民は「加害者」に与えられる罰に疑問を持たない。自分が「加害者」になってしまったら、という想像力は働いていないのだ。 医療においてはこうして産婦人科や外科を目指す者が一時激減した。幸い医療訴訟では原告勝訴も減り、訴訟自体が減少していて、大規模な医療崩壊は避けられている。 しかしあらゆる事故では警察が「捜査」に訪れる。誰かを業過致死傷罪に陥れるために‥。
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