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投稿者:滝 敏美
ゴム動力飛行機の運動解析を続けています. プロペラが空気流に対して傾いている場合に作用する力とモーメント(パワー効果)の影響が出てくることがわかりました. プロペラ軸にダウンスラスト角がついている場合の図を示します.ラダー中立,エルロン中立,サイドスラスト角はゼロとします. 主翼の取付角が大きく,ダウンスラスト角がある程度大きい場合には空気流はプロペラ回転面に対して上から当たります.このとき,機体にはプロペラ推力とゴムのトルクの他に,プロペラが空気流に対して傾いていることによる力とモーメントが作用します. ゴムのトルクは機体を左翼下げの方向に傾けるため,上反角効果と垂直尾翼の働きにより機体を左に向けようとします. 逆に,プロペラの傾きによるモーメントは機体を右に向けようとします.どちらの作用が大きいかにより機体の旋回方向が決まると考えられます.ダウンスラストの大きさ,プロペラの直径,ゴムのトルク等が影響すると考えられるので,どちらに旋回するかは簡単には言えないように思います. これまでの解析によると,一概には言えませんが,サイドスラストが無く,パワーストールを起こさない条件では,高翼機は右旋回,低翼機は左旋回の傾向にあるようです.(解析ではプロペラの旋回流が尾翼に当たる影響は考慮していません.) スラストラインの上下角度は機体重心の高さとプロペラ軸位置の高さの位置関係で決まる(スラストラインがほぼ重心位置を通る)と思われますので,低翼機のダウンスラストは小さいか,アップスラストになります. この解析結果は実際に合っているでしょうか. 飛行試験を行って確かめようとしているのですが,まだ結論は得ていません. ラダー中立,サイドスラストをつけない状態で,左旋回もあるのでしょうか. 低翼機は右旋回上昇で調整すると米国の資料(Don Deloach)に載っていましたが,このパワー効果の影響でしょうか.
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