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投稿者:マリア
[YouTube:8EdFHBOwMOE:R] サウンドオブミュージックのモデル、トラップ一家の物語 1911年 ゲオルグ、最初の妻アガーテと結婚 トラップ大佐こと、ゲオルク・フォン・トラップはアガーテ・ホワイトヘッドさんと結婚します。 1914年~1918年の第一次世界大戦を挟みつつも(ゲオルクはオーストリア海軍の英雄として大活躍した)、11年の結婚生活の間で7人の子供に恵まれます。 ゲオルクさんすごいな…。 映画とは子供の順番や名前が違っています。 マリアと再婚した時点で 長男: ルーペルト 16歳 長女: アガーテ 14歳 次女: マリア 13歳 次男: ウェルナー 12歳 三女: ヘートウィク 10歳 四女: ヨハンナ 8歳 五女: マルティーナ 6歳 一番上が男の子だったんですねー。 なお、長女が今の奥さんと一緒の名前、次女が次の奥さんと一緒の名前です。ややこしいな! 映画で名前変えちゃったのも仕方ないですねー。 1919年 ゲオルク、海軍退役。 ゲオルクは数々の戦功をあげ、魚雷鑑の艦長→潜水艦艦長→潜水艦基地の指揮官と出世を重ねます。 装甲巡洋艦とか撃沈してたりガチでオーストリア海軍の英雄だったようです。 もらった勲章も以下の通り。 マリア・テレジア軍事勲章騎士十字章 レオポルト勲章騎士十字章 プロイセンの一級鉄十字章 オットー戦功章 カール勇猛章 しかし、彼は海軍を退役します。それはなぜか? 第一次大戦で領土を失い、オーストリアに海がなくなったからです。 ちなみに退役時は小佐です。史実では「トラップ小佐」です。なんで大佐にしたんだろ、箔をつけたかったのかな? 退役した彼はドナウ川沿岸の水運会社を共同設立したそうです。 1922年 妻アガーテ死去 長女アガーテの猩紅熱を看病していた妻は、直後に同じ病気にかかり32歳の若さで命を落とします。 なお猩紅熱とは、いわゆる溶レン菌(溶血性連鎖球菌)による病気の一種です。 今ではペニシリンなどの抗生物質で治療できるのですが、ペニシリンの発明は1928年。当時は手だてがありませんでした。 1926年 マリアが家庭教師としてトラップ家へ赴く。 映画ではここから始まりますね。史実ではいくつか違いがあります。 マリアはおてんばが原因で派遣されたのではなく、修道院の暮らしになじめず体調を崩し、辞めたあとに紹介された。 七人全員の家庭教師ではなく、体が弱く学校を休みがちだった次女と幼い四女のため。 映画前半ゲオルクは非常に厳格に描かれているが、実際はとても優しい人格者だった。 亡命するのは結婚の11年後。 けっこう違いがありますねー。 特にゲオルクの描かれ方には家族から大きな反発があったそうで、実際のトラップ一家は映画に否定的なイメージを持っているそうです…。 亡命時期が結婚直後になってるのは、映画の展開上の都合でしょう。 なお、マリアが元々歌が大好きで、子供たちと歌や遊びを通じて仲良くなったのは史実と同じだそうです。 1927年 ゲオルクとマリアが結婚。 結婚は史実でも早いんだね!! ゲオルクは当時47歳、一方マリアは修道院出の22歳…。 その後、二人の間にはさらに3人の子供に恵まれます。 1933年 オーストリアを金融恐慌が襲う オーストリアを金融恐慌が襲い、ゲオルクの友人が経営する銀行もピンチに陥ってしまいました。 また、その銀行の共同設立者は亡妻の兄弟でもありました。 友情か義理人情か、ゲオルクは、イギリスの銀行に預けていたトラップ家の資産をほとんどその銀行に投入します。 しかし、あえなく銀行は倒産してしまい、トラップ家は破産してしまいます。 意気消沈したゲオルクに代わって精力的に動き出します。 屋敷の空き部屋を神学生に貸し出したり、生計の足しにと各地の催しで家族の歌を披露したりします。 なるほど!史実ではこんな風にトラップ合唱団が出来上がっていったのですね。 それにしてもマリア、頼りになる奥さんです。 幸運にも、宿舎つきの神父フランツさんがローマで教会音楽を学んだ聖歌のプロフェッショナルでした。 兄弟は彼の歌の指導を受けることでどんどん実力を付けていきます。 1935年 ザルツブルグ音楽祭で優勝。 トラップ家はとうとう、ザルツブルグ音楽祭の大衆歌手コンテストで優勝しちゃいます。メンバーはマリアと兄弟姉妹。 1938年 オーストリアがドイツ併合。トラップ一家亡命。 よう~やく、映画の山場にあたるトラップ一家の亡命ですね。 でも実際には 長男ルーペルト 27歳 長女アガーテ 25歳 次女マリア 24歳 次男ウェルナー 23歳 三女ヘートウィク 21歳 四女ヨハンナ 19歳 五女マルティーナ 17歳 さらにこれにマリアが産んだ2人の子供もいて、さらにもう一人妊娠中です。 ドイツに併合されたものの、ゲオルクはナチスの旗を飾ることを拒否し、またドイツ海軍からの召集も拒否します。さらにアドルフ・ヒトラーの誕生日パーティーで歌えって言われて激怒します。 …でも「だが断る」って言うのもさすがにそろそろやばい。彼らは一家で亡命することにしたそうです。 映画では山越えでスイスに亡命していましたが、実際には汽車による亡命でした。 その後、イタリア→スイス→フランス→イギリス→アメリカと移動します。 各国を転々となにしろ亡命ですから、5~6週間くらいしか滞在ビザをだしてもらえなかったんですねー。 1940年 大手プロダクションがプロデュース。 しかし今回も彼らは自分たちの歌によって道を切り開きました。 アメリカでも徐々に歌で人気を得ることができ、1940年には大手プロダクショがプロデュースを引き受けてくれました。 1947年 ゲオルク死去 コンサートツアーの途中、ゲオルクは体調を崩してニューヨークで入院。 その後バーモント州の自宅で静養するが、肺ガンのため67歳で亡くなりました。 映画では軍隊式で厳格な父として描かれていましたが、むしろ勝ち気なマリアを優しくなだめたり、トラップ合唱団の本当のまとめ役は彼でした。 マリアは、自分たちが映画化される際に、事実を脚色することには拘りませんでしたが、彼が横暴に描かれたことだけは強く抗議しました。 この時マリアはまだ42歳。 年の差はわかっていたこととは言え、この年で伴侶を亡くすのはつらかったろうなあ… 1949年 自伝出版 マリアが1949年に自伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』を出版し、これがベストセラーになります。 さらにマリアは続けざまに 1952年に『ある家庭の聖書研究』 1955年に『トラップ一家の一年』 などを出版します。 1956年 映画化 自伝の人気も手伝い、ドイツの映画会社が映画化権とそれに関する権利を9000ドル(現在の100万ドルくらい)で買い取ります。 そして制作された映画が、「菩提樹」です。 実はトラップ一家をモデルにした映画はドイツで作られたこの映画が最初なんです。サウンドオブミュージックではないんですね…。 ドイツ語だし、ミュージカル調でもありません。 再び映画化 そしてトラップ一家は1958年、再び映画化されます。 『続・菩提樹』です。 なお、『菩提樹』はアメリカに亡命するまで、『続・菩提樹』はサウンドオブミュージックでは描かれなかった亡命後のアメリカでの困窮と苦難との戦いを描いております。 アメリカのプロダクションがその映画の権利をさらに買い取ってミュージカルをつくることにしました。 1959年 ミュージカル『サウンドオブミュージック』です。 1965年 ミュージカルのヒットを受けて、ついに映画 『サウンドオブミュージック』 がつくられました。 その後… その後のトラップ一家はどうなったのでしょうか。 マリアが産んだ二人目の子供(家族の9番目の子供)ヨハネスは、アメリカ・バーモント州のトラップ一家が暮らした家を「トラップ・ファミリー・ロッジ」として経営しています。 今でも数多くの観光客が宿泊し、映画やトラップ一家の思い出を楽しんでいます。     次男ウェルナーの娘(マリアとゲオルクの孫)であるエリザベス・トラップ(Elisabeth von Trapp)はフォークシンガーとして活動しています。 彼女が産まれて2年ほどで「トラップ一家合唱団」は活動を終えていましたが、父親の歌とギターに親しみ、トラップ一家の歌と音楽に囲まれながら育った彼女は、自然と音楽を生業とするようになりました。 若い頃は結婚式や教会のゴスペル演奏、タウンホールでの演奏などをして暮らしていましたが、今ではCDを出すなど立派なアーティストとして活躍しています。 映画を越える激動の人生を終えたマリアは、1987年3月28日、静かに息を引き取りました。 ゲオルクに先立たれて40年後、82歳でした。 年表 1911年 ゲオルグ、最初の妻アガーテと結婚 1919年 ゲオルグ、海軍退役。 1922年 妻アガーテ死去 1926年 マリアが家庭教師としてトラップ家へ赴く。 1927年 ゲオルクとマリアが結婚。 1933年 金融恐慌により破産。生活のために歌を披露しだす。 1935年 ザルツブルグ音楽祭で優勝。 1938年 オーストリアがドイツ併合。トラップ一家亡命。 1940年 大手プロダクションがプロデュース開始。全米でも人気を博す。 1947年 ゲオルク死去 1949年 『トラップ・ファミリー合唱団物語』出版。ベストセラーに。 1955年 『トラップ一家の一年』を出版。 1956年 映画化権を映画会社に売却。『菩提樹』公開 1958年 『続・菩提樹』公開 1959年 ミュージカル『サウンドオブミュージック』公開 1965年 映画『サウンドオブミュージック』公開 1987年 マリア死去 1991年 世界名作劇場にて『トラップ一家物語』放映
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