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心の揺れについて。
リワキーノ 投稿日:2023年01月24日 15:37 No.215
正しいことを履行する際にそれが金銭的、物質的損失を伴う場合、迷いが生じることは
人生において多々ありますよね。

私もそんな心の揺れを感じたとき、いつも思い起こすのは中国の歴史書『史記』に描か
れている季札(きさつ)の逸話です。

季札は春秋時代の呉の国の王子です。
君命を受けて遠い国に使者として赴く途中、ある小国を通るとき、そこの王を儀礼訪問
するのですが、その王が季札の剣を見て欲しそうな表情をしているのに季札は気がつく
のです。
旅するのに剣は必要であり、季札は帰路のときに再びこの国を通り、剣を王に贈呈する
ことに決めました。
ところが使命を終えてその国に着いたら王は既に亡くなっていました。
季札は王の墓に詣で、そばの木の枝にその剣をつるして帰国するのです。
家来が「王は亡くなっているのに誰に渡すつもりですか」と言うと、季札は「王に贈る
と私が心に決めたことなのでそれを実行するだけだ」と答えるのです。

私はこの逸話に深く感銘を受け、これは良いことである、これは正しい決断である、と
思って心に決めたことは利害損得抜きで貫きたいと思ったものでした。
でも現実の世の中を生きて行くうえで、理想どおりにはいかないことは多くありました
が、この季札の高潔さだけはいつも仰ぎ見ていました。

息子が高校時代に漢文の授業でこのエピソードを知ったとき、この逸話を知っている
か、と私に尋ねたことがあったのですが、息子も強い感銘を受けたことを知って私は嬉
しい気持ちになりました。

もっとも、こう言う話はあまり女性には受けないかもしれません。
木に吊された季札の剣は、結局、高潔とは縁の無いくだらない人間が盗んでいくに違い
ないのに、もったいないではないか、と私の家内だったら言うと思います。




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