ひろば
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アグルーカの行方
雪谷旅人 投稿日:2023年10月22日 13:27 No.1926
角幡雄介著「アグルーカの行方」(2012年刊,集英社)

北極航路の開拓は今も昔も国家の大事業だ。1845年,ジョン・フランクリン率いるイギリスの北極探検隊は,195人の仲間とともに消え去った。以後,何回かの探索でその動向が明らかになってきた。角幡唯介は先輩荻田とともに徒歩千キロにも及ぶ検証の旅に出る。このとき角幡は北極に関しては初心者で,多くのことを荻田から学ぶ。北極の旅はこの旅で始まった。

フランクリン隊は当時でいうと豪華船だったが,航路を間違え2漕とも氷に閉ざされて動けなくなる。隊員たちは何組かに分かれて氷上をさまよう。イヌイットは彼らのリーダーを「アグルーカ」と呼んでいた。時には空腹のあまりカンニバルさえあったという。最後に「餓死の入江」で数名が亡くなったという。しかし,ジョアヘブンというイヌイットの村に着いたとき,さらに南へ3人が向かったという話を聞く。その3人を追って南へ450キロ。季節は春から夏へ。ここではツンドラのぬかるみと渡渉に悩まされる。アグルーカはどこまで行ったのか。

10年前の本だが,角幡の哲学は一貫しており,持論が随所に展開される。GPSや六分儀を持たないのが彼のやり方だが,今回は先輩に従った。以後,極地での旅行は繰り返され,その度に読む方はハラハラするし,それが彼の著書の面白いところだ。


お宮さん 投稿日:2023年10月24日 11:48 No.1927
この本に興味をもったので横浜市図書館サイトで検索したらありました。
徒歩3分で行ける地元の図書館の書架には無く取り寄せになり、届くまで数日ほどかかりそうです。
本に触れる機会がめっきり減った昨今、雪谷さんの投稿に読んでみたい気持ちが湧き出ました。


雪谷旅人 投稿日:2023年10月24日 19:39 No.1928
角幡雄介の本は,読み出したら止まらない。「空白の五マイル」「極夜行」「狩の思考法」など,数冊を読んだが,どれもとても面白い。彼は冒険家であり文筆家であり,その筆は冴えている。冒険家としての彼は50歳になり,一歩引いて犬橇を始めた。今は最新刊の「犬橇事始」を図書館に予約しており,来るのを待っています。お宮さん,楽しんで下さい。