ひろば
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無一文「人力」世界一周の旅
雪谷旅人 投稿日:2023年07月16日 16:48 No.1757
岩崎圭一著「無一文『人力』世界一周の旅」(幻冬舎,2023年6月刊)

本当に,本当に無一文の旅。普通,無一文と言っても交通費くらいは持っていそうなものだが,彼の場合は本当に無一文から始める。

第一話は東京からインド南端まで,3年かけて自転車とヒッチハイクで行った話。多くの人の協力でできた。韓国,中国,チベット,ネパール,インド….同じ国でも地方によって風景も風習も国民性も違う。その対応が面白い。

第二話はインド南端からエベレスト頂上まで。このときもスタートは無一文。途中手品で小銭を稼ぎ,食を繋ぐ。カトマンズからルクラまではふつう飛行機だが,彼は10日かけてトレッキング。エベレスト街道に入り,頂上を目指すには最低300ドルかかる。それを募金で集め,シェルパ付きの登山隊に入る。第2~第4ベースキャンプを何度も往復して高度慣れする。幸い,天候が不意に安定し,頂上を極めることができた。頂上に着いたときはすでに次の冒険を考えていた。

第三話はガンジス川下り。エベレストの氷河の一滴が大河ガンジスに流れ込むのをみて思いつく。次はイランの砂漠。ここでカスピ海横断を思いつく。と言ってもカスピ海は沿岸5カ国の管理で国境をまたぐのが難しいのでイラン沿岸を横断。意外に日本人の一人旅が多く,このときは女性を含めて5人のチームができた。みんな一人旅なので,横断を終えればまたばらばらに旅行する。ここからアゼルバイジャン,ジョージアを経て黒海に入る。

その後ヨーロッパ各国を巡り,最後のロカ岬についたのは東京出発から9年後だ。無一文でここまで来られたのは多くの人の助けによる。最後にイギリスのゴット・タレントという番組に出演。賞金は出なかったがそのおかげでスポンサーがついた。今はその金で買った手漕ぎボートで大西洋を横断中。

面白い!とても面白い。今年のベスト10に入るのは間違いない。夏休みの読み物として絶好。