映画同好会
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赤ひげ
組長 投稿日:2021年09月18日 19:52 No.174
《巨匠・黒澤明監督の名作。江戸時代、“赤ひげ”と呼ばれ、庶民のために働くベテラン医と、医師見習いとしてそばで働く青年の交流を通じ、ヒューマニズムを問うた人間賛歌。
本作の他にも「静かなる決闘」「酔いどれ天使」など、医師を主人公にした傑作を次々と手がけた黒澤監督だが、本作はその集大成という声も。
医学を通じて人間とその生命とは何なのかというシンプルなテーマに迫る手法はオーソドックスだが、本作でも物語の中心に生命とその尊さを中心に据えた骨太ぶりは、さすが“世界のクロサワ”で、A級の力強い作品。
中でも“病気の原因は社会の貧困と無知による物で、これには治療法はない”という“赤ひげ”の口ぐせは、今なお説得力がある名ゼリフ。
俳優陣の名演もすばらしい。》

なぜなんでしょう、黒澤明監督の作品を観るときには尋常でない緊張感が伴います。
上映が開始されたら、その緊張感のままラストまで引っ張っていかれます。
ですから、かなり体力を奪われます。
そうかといって、観たくないということじゃなく、逆に何度でも観たい気持ちです。

その原因はどこにあるのでしょうか。
それは完璧さにあるかもしれません。
セットにしろ、衣装にしろ、風景にしろ、一部の隙もありません。
その場面場面がすべて綿密に計算され、妥協が一切ないのです。

本作ももちろんその例外ではなく、中身の映らない薬棚に薬を入れていたというほどです。
完璧なセットの汚れ等の制作に2週間かけたとか。

さて、本作は長回しの多い演劇的な作品です。
セリフでの表現が多い作品です。
画面設定もそういう風に作られています。

名セリフを少し。

「まずい食べ物でもよく噛んでおれば味が出てくる。
ここの仕事も打ち込んでみれば捨てたものではない」

「この病気に限らずあらゆる病気に対して治療法などない。
医術などと言っても情けないものだ。
医者にはその病状と経過は分かるし、生命力の強い固体には多少の助力をすることができる。
だがそれだけのことだ。
現在我々にできることは貧困と無知に対する戦いだ。
それによって医術の不足を補うほかはない」

「人間の一生で、臨終ほど荘厳なものはない。
それをよく見ておけ」

3時間を超える長尺で、途中休憩もある大作ですが、あっという間です。
黒澤ヒューマニズムの集大成です。
原作者の山本周五郎が原作を超えていると絶賛した作品です。
日本映画の傑作の一本です。

1965年。185分。大阪ステーションシティシネマ。4.1。




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