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羅生門
黒澤明 投稿日:2022年11月06日 16:46 No.995



羅生門(邦画) 1950年 邦画年間興行収入ランキング---   *邦画ランキングは興行収入10億円以上

平安時代、羅生門の下で雨宿りをする下男相手に、旅法師と杣売りが奇妙な話を語り始める。京の都で悪名高き盗賊多襄丸が山中で侍夫婦の妻を襲い、夫を殺害したという。だが、検非違使による調査が始まると、盗賊と妻の証言はまったく異なっていた……


監督 黒澤明 代表作 『醉いどれ天使』『七人の侍』『天国と地獄』
脚本 黒澤明、橋本忍
音楽 早坂文雄 代表作 『海軍爆撃隊』『生きる』『あすなろ物語』
主演 ---

上映時間 88分


登場人物

多襄丸: 悪名高い女好きの盗賊。(三船敏郎) 代表作 『銀嶺の果て』『七人の侍』『赤ひげ』

金沢武弘: 旅をしている武士。(森雅之) 代表作 『安城家の舞踏会』『雨月物語』『浮雲』
真砂: 金沢の妻。(京マチ子) 代表作 『地獄門』『雨月物語』『源氏物語』

杣売り: 遺体の発見者。(志村喬) 代表作 『醉いどれ天使』『生きる』『七人の侍』
旅法師: 生前の金沢夫妻の目撃者。(千秋実) 代表作 『白痴』『隠し砦の三悪人』『花いちもんめ。』
下人: 事件の聞き手。(上田吉二郎) 代表作 『生きものの記録』『どん底』


【起】
雨が降りしきる中、羅生門の下で杣売りと旅法師が考え込んでいる。雨宿りをしにきた下人が訳を尋ねると、2人は不思議な話をし始めた。

森の中で、とある夫婦と悪名高い盗賊の多襄丸が出会った。多襄丸は夫の金沢を縛り上げ、妻の真砂を手籠めにする。その後、金沢は死体で見つかり、真砂が所持していた短刀は持ち去られていた。検非違使による取り調べで、多襄丸と真砂、そして巫女の口を借りることで金沢がそれぞれ証言を行った。だが、その証言は3人の間で大きく食い違っているのだった。

多襄丸は、金沢を殺したのは自分だと得意げに言い放った。真砂を手籠めにしたあと、多襄丸はその場から去ろうとした。すると後ろから真砂が追いかけてきて、このようなことになったからにはどちらかに死んでほしい、生き残った方に連れ添うと言った。多襄丸と金沢の太刀打ちが始まり、多襄丸が勝利した。しかし、恐れをなしたのか真砂は馬を残していなくなっていた。真砂の気性の激しさを気に入っていた多襄丸はそれに落胆し、探そうともしなかった。短刀の行方はわからないという。

【承】
次に証言をしたのは真砂だった。多襄丸は真砂を手籠めにすると、自分が悪名高い多襄丸であることを明かし、金沢を嘲るように笑った。真砂はすぐに金沢のところへ駆け寄ろうとしたが、多襄丸に張り倒される。そして、多襄丸は狂ったように笑いながら去っていった。

真砂は起き上がり、泣きながら金沢に抱きついた。それから金沢の目を見ると、真砂への蔑みで満ちていた。その目に恐ろしさを覚えた真砂は、短刀で金沢の縄を切り、殺してほしいと頼んだ。金沢は尚も真砂に軽蔑の眼差しを向けている。錯乱した真砂は、その場で気を失った。
目を覚ますと金沢の胸に倒れ込んでいて、そこには短刀が刺さっていた。恐怖のあまり、真砂は無我夢中で森から逃げた。気が付くと池のほとりに立っていた。真砂は池に身を投げて自殺を図ったが、失敗に終わる。それ以外にも試したが、死に切れなかった。

最後に、巫女に憑依した金沢が話し始めた。真砂を手籠めにし、多襄丸は自分と一緒にならないかと誘った。すると真砂はうっとりとした目で多襄丸を見つめた。その顔は金沢が今まで見たことがない程美しかった。真砂は承諾するも、夫を殺してもらわなければ一緒には行けないと述べた。これには多襄丸も唖然とし、真砂を地面に倒して足で踏みつける。多襄丸は、真砂を殺すか助けるかを金沢に選ばせようとした。このとき金沢は多襄丸を許してもいいと思った。

真砂は隙をついて逃げ出し、多襄丸もそれを追っていった。しばらくして多襄丸だけが戻ってきて、金沢の縄を切って解放した。多襄丸が去ってからも、金沢はそのまま留まっていた。気が付けば涙を流していた。真砂が置いていった短刀を手に取ると、自分の胸に刺した。薄れゆく意識の中で、誰かが近付いてきて短刀を引き抜くのがわかった。

【転】
以上が検非違使の庭で旅法師と杣売りの2人が見聞きしたことであった。実は杣売りも一連の流れを目撃していたが、関わり合いになるのを避けるため証言していなかった。下人に詰め寄られ、杣売りも自分の見たことを話し始める。

森の中を歩いていた杣売りは、市女笠を見つける。もう少し進むと女の泣き声が聞こえてきて、木々の間から覗くと、縛られた金沢と泣いている真砂と多襄丸が見えた。多襄丸は地面に手をついて、妻になってほしいと真砂に頼み込んでいた。自分からは何も言えないと答えると、真砂は夫の縄を解いた。多襄丸は男同士で対決して決めようと、金沢に太刀打ちを申し込む。しかし、金沢はこんな女に命を賭けたくない、望むならくれてやると言った。

しばらく黙っていた多襄丸がその場から去ろうとすると、真砂が追い縋った。多襄丸は拒絶し、真砂は突っ伏して泣き続けた。それから急に笑い出し、男たちの意気地のなさを詰った。そして、多襄丸と金沢は太刀打ちを始めた。いざ対決が始まると、真砂は怯えだした。金沢は徐々に多襄丸に追い詰められていき、太刀で胸を刺された。勝利した多襄丸は真砂に手を差し伸べる。しかし、恐れをなした真砂は逃げていった。不本意そうな多襄丸も、太刀を2本持って去っていった。

【結】
自分に都合の良いことを真実とする人間の恐ろしさに、杣売りと旅法師は打ちひしがれていた。すると、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。門の裏側に回ると捨てられた赤ん坊がいた。下人は赤ん坊に駆け寄り、肌着だけを残して着物を剥ぎ取る。杣売りがそれを非難すると、下人は杣売りが短刀を盗んだのに隠していることを指摘し、盗人呼ばわりするなと憤慨した。旅法師は赤ん坊を胸に抱き、さめざめと泣いていた。下人は土砂降りの中へ飛び出していった。

残された2人はしばらく立ち尽くしていた。ふいに杣売りが赤ん坊に手を伸ばすと、旅法師は肌着まで剥ぐつもりかと責めた。杣売りは、自身に6人の子供がいて、1人増えるくらいでは負担が変わらないため引き取るつもりだったと弁明する。旅法師は疑心暗鬼になっていた自分を恥じた。今日という日はそうなっても仕方がないと、杣売りが慰める。おかげで人間への信頼を取り戻した旅法師は、羅生門を去っていく杣売りの後ろ姿を見守った。

The End_MIHOシネマ

第12回ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞
第24回アカデミー賞 名誉賞


みんなの評価 3.9/5.0

最高 (^0^)

光と影をこんなにも美しく撮影できるとは!
これぞ映画と思わせてくれた名作。

最低 ( ` 3´)

女の扱いがひどい。
ただ男が動物のように欲情して罪を犯す話。



黒澤明 談

人間は、自分自身について、正直な事は云えない。虚飾なしには、自分について、話せない。この脚本は、そういう人間というもの、虚飾なしには生きていけない人間というものを描いているのだ。いや、死んでも、そういう虚飾を捨てきれない人間の罪の深さを描いているのだ。これは、人間の持って生れた罪業、人間の度し難い性質、利己心が繰り広げる奇怪な絵巻なのだ。




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