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スパイの妻
黒沢清 投稿日:2022年04月24日 15:50 No.917



スパイの妻(邦画) 2020年 邦画年間興行収入ランキング21 ランク外   *邦画ランキングは興行収入10億円以上

1940年、神戸。瀟洒な洋館に住み、貿易会社を営む夫の福原優作と何不自由ない生活を送っていた聡子。ある日、仕事で満州に渡った優作は、同地で衝撃的な国家機密を目にしてしまう。正義感に突き動かされ、その事実を世界に公表しようと秘密裏に準備を進めていく優作。そんな中、聡子の幼なじみでもある憲兵隊の津森泰治が優作への疑いを強めていく。一方、聡子は、優作がたとえ反逆者と疑われようとも、彼を信じてどこまでもついていこうと固く決意する……

監督 黒沢清 代表作 『CURE』『アカルイミライ』『散歩する侵略者』
脚本 濱口竜介、野原位、黒沢清
音楽 長岡亮介 *ロックバンド・東京事変のメンバー。
主演 蒼井優(聡子) 代表作 『リリイ・シュシュのすべて』『百万円と苦虫女』『 彼女がその名を知らない鳥たち』


上映時間 115分


登場人物

福原聡子: 福原物産社長の妻。

福原優作: 聡子の夫。貿易商経営者。(高橋一生) 代表作 『シン・ゴジラ』『嘘を愛する女』『億男』
竹下文雄: 優作の甥で、福原物産社員。(坂東龍汰) 代表作 『十二人の死にたい子どもたち』『犬鳴村』『弱虫ペダル』

津森泰治: 福原夫妻の幼馴染で神戸憲兵本部分隊長。(東出昌大) 代表作 『桐島、部活やめるってよ』『寄生獣』『菊とギロチン』

野崎医師: 福原家の主治医で多くの病院を経営。(笹野高史) 代表作 『武士の一分』『おくりびと』『グレイトフルデッド』




【起】
1940年.神戸生糸検査所にやってきた憲兵たちが、イギリス人のドラモンドを軍機保護法違反容疑で逮捕する。その日、津森泰治は軍服を着て、幼なじみの聡子の夫、福原優作を彼の経営する福原物産のオフィスを訪れる。神戸憲兵分隊に分隊長として赴任した挨拶のためだけでなく、ドラモンドの友人である優作に注意を促すためでもあった。しかし優作は、ただの商人にすぎないドラモンドへのスパイであるという嫌疑を笑い飛ばす。

横浜から神戸に引っ越し、今は洋館に妻と暮らす優作。妻に仮面の女スパイの役をさせたアマチュア映画を甥で福原物産に勤める竹下文雄と作って楽しみながらも、優作はドラモンド釈放のために手を尽くし、ドラモンドは福原家に挨拶に来てから上海へと去った。

本当に危なくなる前に大陸を見ておきたい。優作は聡子の心配をよそに、文雄をともなって満州へ出張する。撮影機材も一緒だった。夫の留守中、聡子は女中の駒子を連れて山に自然薯を掘りに行った時に偶然、天然の氷を取りにきた泰治と会う。福原邸に通された泰治は、聡子も女中も執事も洋装、ウィスキーも舶来ものという福原家の暮らしぶりに、世間の目が厳しくなると心配する。

予定より二週間遅れて優作と文雄が帰国する。港に出迎えた聡子は、しかし、二人が一人の女を日本に連れてきたことに気づかなかった。

【承】
その年の福原物産忘年会。社員たちに優作が聡子や文雄と作った映画が披露される。その後、文雄は社員たちを前に退社することを告げる。いつ軍隊に入れられるかもわからない、その前に有馬温泉の旅館たちばなにこもって小説を執筆することにしたと言うのだった。

聡子は泰治に神戸憲兵分隊本部へ呼び出される。旅館たちばなの草壁弘子という仲居が殺された。嫌疑がかかっているのは文雄だが彼女を満州から連れてきて仲居の仕事を世話したのは優作だと言われる。帰宅した優作は自分を信じてほしいと聡子に言う。そして自分は聡子に嘘をつけないようにできているから問い詰めないでくれと頼む。

夫と弘子の仲について疑惑の消えない聡子は旅館たちばなに文雄を訪れる。快活さの消えた文雄は聡子に対して「あなたは何も見ていない」と言って多くを語らない。そして、ある包みを優作に渡すように頼む。中身は見ないように、「英訳が終わった」とだけ伝えるようにと言う。旅館の外には文雄を監視する男たちがいた。

しかし、聡子は包みの中身を見ずにはいられなかった。包みの中のノートについて問いただされた優作は真実を話す。満州で彼と文雄は死体の山を目撃する。それは関東軍の細菌戦研究の犠牲者の死体だった。それを告発しようとした医師は殺害され、草壁弘子は看護婦で彼の恋人だった。優作は細菌戦研究の証拠をもちかえり文雄に英訳をさせた。それをアメリカで公表すればアメリカとの間で戦争が始まり日本は負けるだろう。それは売国奴のすることではと問う聡子。自分はコスモポリタンだと優作は答えるのだった。

優作が帝大で野崎医師と会うために出張したとき、聡子は会社の倉庫にある金庫から文雄から託されたノート、そしてその側にあったフィルム缶を盗み出す。そして和装で憲兵分隊本部に泰治を訪れる。弘子殺しの犯人は横恋慕した旅館主人であったことを知るが、それでも文雄から託されたノートを泰治に渡す。

優作は会社で金庫からノート等が持ち去られたことに気づくが、すぐに憲兵に参考人として連行される。逮捕された文雄が爪をはぎ取られる拷問を受けてスパイ活動を自白したことを知る。通報者は聡子しか考えられない。帰宅した優作は妻を密告者とののしるが、聡子は、文雄が夫を売らないことをわかっていて、夫を守るために泰治にノートを渡したのだった。渡したのは日本語の原本だけで、英訳と、細菌研究の様子や原本のページが撮影されているフィルムはまだ手元にあった。

【転】
聡子と優作はアメリカ行きを考えるが、アメリカからの石油輸出が禁止される。もはや亡命以外にアメリカに行く方法はない。「あなたがスパイなら私はスパイの妻になります」と言い放つ聡子にとって今までになく人生が輝いているようだった。

結婚記念日にかこつけて二人は、監視の目をかいくぐりながら、現金を貴金属や高級腕時計に換えて出国の準備をする。優作は聡子に神戸港から貨物船でサンフランシスコまで行くように言う。一方、優作は上海に行ってからサンフランシスコに渡る。今彼らが隠しているフィルムは、オリジナルの鮮明な証拠フィルムが映写されたスクリーンを撮影したものであり、オリジナルのフィルムは上海のドラモンドに託されていた。そしてドラモンドが金を要求しているので優作は彼と会って交渉しなければならなかったのだ。聡子は優作と一緒に行きたかったが、優作は離れていても二人の絆は深まると説得する。

【結】
駒子と執事の金村に見送られて聡子と優作は屋敷を自動車で後にし、神戸港で聡子は優作と別れて貨物船のコンテナに身を隠す。ところが憲兵隊が貨物船にやってきて、聡子の身を託されていた船員ボブも聡子の隠れ場所を教えざるを得なかった。

憲兵分隊本部で泰治は、密航の通報があったが、密航者は優作だと思っていたと言う。そして聡子の容疑は死刑相当だとも。直ちに聡子がもっていたフィルムが映写される。聡子は泰治にフィルムに国家の機密が隠されていると言い、そう信じていた。だがスクリーンに映し出されたのは忘年会で上映した映画だった。優作は聡子を欺いたようだ。聡子はスクリーンの前に歩み出て「お見事です」と言って気を失う。

1945年3月。聡子は精神病院にいた。患者の女たちは東京や各地が空襲に遭っているといううわさ話をする。その日は野崎医師が聡子に面会に来た。野崎は優作をインドのボンベイで見た人がいるという情報を伝える。だが、彼が乗ったロサンゼルス行きの船が日本の潜水艦に沈められたとも。そしてそれも不確かな情報だった。聡子が退院できるように取り図ろうと言う野崎に聡子は「先生だから申しますが私は一切狂っていません。それが狂っているということなのです。この国では」と言う。

深夜目を覚ました聡子は机の上のものが不思議な振動をするのを見る。間もなく病院付近も空襲にみまわれたことがわかり、患者たちは逃げ出す。最後に大部屋の病室を出た聡子は廊下の先が既に焼け野原となっているのを見る。これで日本は負ける。戦争も終わる。お見事。聡子はひとり海辺へと逃げて嗚咽する。

1945年8月、終戦。翌年優作の死亡が確認されるが、報告書には偽造の疑いがあった。数年後、聡子はアメリカに渡った。

The End_映画ウォッチ

第77回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門銀獅子賞(最優秀監督賞)受賞

みんなの評価 3.4/5.0

最高 (^0^)

観ている時もストーリーにぐいぐい惹きこまれたし、観終わった後の余韻、いろいろな想像を巡らせてくれる、良い映画でした。

最低 ( ` 3´)

日本国民の受信料でとんでもないスカスカの駄作が作られており、国民による会計監査が必要な作品でした。




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