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キック・アス
マシュー・ヴォーン 投稿日:2018年12月16日 13:14 No.115



キック・アス(原題: Kick-Ass 米国) 2010年 全米興行収入ランキング50 ランク外

コミックオタクでスーパーヒーローにあこがれる高校生デイヴは、ある日、インターネットで買ったスーツとマスクで、ヒーローとして街で活動を始める。何の能力も持たない彼はあっさり犯罪者にやられるも、捨て身の活動がネット上に動画で流され、“キック・アス”の名で一躍有名になってしまう・・・

監督 マシュー・ヴォーン
脚本 ジェーン・ゴールドマン、マシュー・ヴォーン
音楽 ジョン・マーフィ、ヘンリー・ジャックマン
主演 アーロン・ジョンソン(キック・アス)
原作 マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr 『キック・アス』

上映時間 117分

登場人物

デイヴ・リゼウスキ: アメリカン・コミックのスーパーヒーローに憧れるギーク少年。 ”キック・アス”  

ケイティ・ドーマ: 学校一の美少女。

デイモン・マクレイディ: 元警官。フランクによって濡れ衣を着せらた事への復讐に燃える。”ビッグ・ダディ”
ミンディ・マクレイディ: デイモンの娘 ”ヒット・ガール”

マーカス・ウィリアムズ: デイモン・マクレイディの元同僚の警官。
ヴィック・ジガンテ: 汚職警官。

フランク・ダミーコ: 犯罪組織のボス。
クリス・ダミーコ: フランク・ダミーコの息子の高校生。”レッド・ミスト”


【起】
ある日、高いビルの上で、一人のスーパーヒーローが翼を広げ、人々の喝采を受けながら飛び降りました。しかし、彼はそのまま地面に墜落してしまいます。スーパーヒーローではなく、単なるコスプレオタクだったのです。

そしてこの物語の主人公、デイヴ・リゼウスキもまた同じくスーパーヒーローに憧れながらも目立たない、平凡な少年でした。彼は欲求不満でセクシーな女性教師にムラムラしつつも、同級生のケイティに憧れる日々を送っていました。

ある日、彼の母親が突然動脈瘤で死んでしまいます。それでもデイヴの平凡な日々は変わらず、やがて一年が経ちました。いつものようにダイナーでオタク仲間たちとだべっていたデイヴは、同級生のクリス・ダミーコが店に入ってきたのに気づきます。クリスはマフィアの息子で、学校でも浮いた存在です。クリスと友達になれば皆に一目置かれると思い、話しかけようとしたデイヴですが、ボディガードに凄まれ、近づくことができませんでした。
友達と店を出たデイヴは、チンピラのカツアゲに遭います。近くのアパートで見ていた男が顔を背けるのに気づいたデイヴは、スーパーヒーローへの憧れを強くするのでした。そして遂に彼は通販でヒーローの衣装を購入してしまいます。部屋の中でこっそりヒーローの衣装を着てなりきるデイヴでした。

その頃、ミンディという少女が人気のない場所で拳銃を持った父親デイモンと向き合っていました。デイモンは防弾着を着た彼女の胸に銃弾を撃ちこみました。彼らは銃をもった敵と戦う訓練をしていたのです。ミンディは可愛らしい顔に似合わず、誕生日のプレゼントにバタフライナイフを欲しがるような変わった少女でした。

一方、スーパーヒーローの衣装を着たデイヴは、路地裏で密かに訓練をしていました。といっても、建物の屋上から屋上へ飛び移る度胸もなく、訓練をしたつもりになっただけです。その帰り、この間のチンピラが車泥棒をしている現場に居合わせてしまったデイヴは、勇気を振り絞って彼らに立ち向かいました。しかし何の能力もないデイヴです。うかつに武器を使ったせいでナイフで刺され、しかもひき逃げにあってしまいました。救急車で運ばれた彼は、コスプレのことを父親には黙っているよう救急隊員に頼んだのでした。

【承】
クリスと父親のダミーコが食事中、部下がマフィアの仕事のことでやってきます。父親に憧れているクリスは打ち合わせに参加しようとしますが、ダミーコは彼を追い出しました。部下は最近、麻薬ビジネスを妨害する者がいるという報告をします。ダミーコは邪魔者の抹殺を命じました。

しばらく後、入院していたデイヴは手術で体に金属を埋め込まれたことを知りました。しかし彼は「ウルヴァリンみたいだ」と喜びます。
退院し、久しぶりに登校したデイヴは、珍しくケイティに話しかけられました。舞い上がったデイヴですが、オタク友達から真相を聞かされます。血まみれで倒れていたことで、デイヴがゲイだとの噂が立っていて、それで女の子に警戒されなくなったという事でした。

微妙な気分になったデイヴですが、懲りない彼は回復してからも改めてスーパーヒーローの衣装を着て街に出ます。最初は平和的に迷い猫の捜索をしていた彼ですが、ギャングの抗争で一人のチンピラが3人に叩きのめされてる現場に遭遇してしまいます。見かねたデイヴは一人の男を庇って戦います。ボロボロになりなからも男を守る彼の姿に、次第に人々の自然が集まり、さらにその姿を撮影した映像がネットやテレビで紹介されました。「キック・アス」と名乗った彼はたちまち人気者になってしまいます。

その報道をミンディとデイモンの親子も観ていました。デイモンは一方的にやられるキック・アスに批判的でしたが、ミンディは殴られても立ち上がる不屈の精神に感心している様子でした。

また同じニュースをクリスとダミーコの家族も観ていました。ダミーコはあいつはすぐに殺されると鼻で笑ったのでした。
数日後、ケイティとお茶していたデイヴは、彼女が麻薬中毒者の奉仕活動をしていることや、そのことでラズールという男に付きまとわれて困っているという相談を受けました。ケイティはデイヴをゲイだと思い込んでいて、なんでも相談できる友達になって欲しいと言いました。

内心複雑なデイヴでしたが、ヒーローとしてケイティの悩みを解決しようと決意します。彼はキック・アスのコスチュームに身を包み、ラズールのアパートを尋ねました。しかし相手は本物の悪党で、デイヴは逆に殺されそうになってしまいます。その危機を救ったのは、ヒットガールというマスクの美少女でした。彼女は圧倒的な戦闘力でラズールの仲間たち次々に殺していくと金を奪い、ビッグダディというバットマン風のマスクの男とともに去っていきました。

自宅に戻ったデイヴは、あの二人が本物のヒーローであり、自分とは違う存在だと劣等感を抱くのでした。
しかし、ラズールの仲間が殺される前に残していた写真から、キックアスの存在がマフィアに知られてしまいます。商売を邪魔されたと思ったダミーコは、キック・アスの抹殺指令を出しました。

実際にダミーコたち組織の邪魔をしているのは、ヒットガールとビッグダディです。二人はダミーコの部下を次々と抹殺していました。
ビッグダディの正体はデイモンでした。彼は昔、腕利きの警官でしたが、ダミーコに麻薬密売の濡れ衣を着せられて失職した過去があったのです。彼の妻は自殺し、ミンディだけが残されました。出所した彼はミンディに戦闘訓練をしてヒットガールと名乗らせ、自分はビッグダディとしてダミーコへの復讐を始めたのでした。

そのことに気づいた警官時代の同僚マーカスは、汚職警官のジガンテがダミーコに雇われ、デイモンたちを狙っているとデイモンに伝えます。そしてミンディを復讐に巻き込むなと忠告しました。しかしデイモンは耳を貸しません。

【転】
そんなある日、車で移動していたダミーコは街を歩いていたキックアスに気づき、目撃者ごと彼を射殺します。しかしそれはキック・アスのコスプレをしただけの一般人でした。苛立つダミーコの姿を見たクリスは、父親にある提案をします。それは自分もスーパーヒーローのコスプレをして、キック・アスを誘い出すというものでした。

さっそく「レッドミスト」という新たなヒーローが出現し、手配中の麻薬ディーラーを逮捕したというニュースがテレビで報道されます。ケイティがレッドミストに興味津々な素振りを見せたことで、デイヴは心穏やかではありません。自宅に戻ったデイヴは、さっそくレッドミストのホームページから連絡をとり、彼と会うことになりました。
レッドミストはキック・アスに憧れてヒーローになったと言い、彼をいかにも高価そうな専用車両「レッドモービル」に同乗させました。運転しながら麻薬をやるレッドミストに、キック・アスは戸惑います。

マフィアの倉庫では、ダミーコの部下たちがレッドミストに扮したクリスがキック・アスを連れてくるのを待ちわびていました。そんなことに気づかず、キック・アスとレッドミストはご機嫌な音楽を聴きながら倉庫へと向かいます。

ふたりが到着すると倉庫は炎に包まれていました。慌てて倉庫に駆け込んだレッドミストを追い、キック・アスも炎の中に飛び込んでいきます。そこは待ち伏せていたマフィアの手下たちの死体が転がっていました。レッドミストは隠しカメラを仕込んでいたぬいぐるみの熊を手にして、キック・アスとともに倉庫から脱出します。

マンションの自宅に戻ったレッドミスト=クリスは、ダミーコに隠しカメラの映像を見せました。そこに映っていたのは、ビッグダディが次々とマフィアの手下を殺して、倉庫に火を付ける映像でした。ダミーコはキック・アス以外に本当の敵がいることに気づき、改めて抹殺指令を出したのでした。
その情報はマーカスを通じて、デイモンにもたらされました。彼はいままでキック・アスの存在を隠れ蓑にして密かにダミーコの組織を潰していたのですが、自分の存在が知られたことで、本格的にダミーコと対決することを決意しました。

一方、大量の死体を目撃したことで、デイヴは自分のヒーローへの想いがただの夢だったと気づいていました。キック・アスを引退することに決めた彼は、その前にケイティの部屋を訪れ、自分がキック・アスだということと、ゲイではないことを告白します。最初は怒ったケイティでしたが、すぐに彼を受け入れ、キスをします。いつの間にか彼女はデイヴに惹かれていたのでした。

その頃、デイモンとミンディの親子はマーカスと戦う計画を立てていました。ミンディは強力な武器をネットで見つけ、注文します。

【結】
ヒーローを辞めることをケイティと約束したデイヴでしたが、ネットを通じてレッドミストからの連絡を受けます。これがキック・アスとしての最後の任務と決め、デイヴは呼び出されていきました。彼を待っていたレッドミストは、自分がマフィアに脅されていると話し、助けを請うため本物のヒーローに会わせて欲しいと言いました。

さっそくデイヴはビッグダディに連絡を取り、レッドミストとともに彼らのアジトに向かいます。その後を一台の車がつけていました。
ビッグダディとヒットガールが二人を出迎えた途端、レッドミストは隠し持っていた拳銃でヒットガールを撃ちました。ヒットガールは窓から外に落ち、後をつけていたマフィアの男たちが部屋に押しかけてきてビッグダディとキック・アスを捕らえたのでした。

キック・アスに友情を感じていたレッドミストは、彼だけは見逃すようダミーコと約束していましたが、ダミーコはその約束を破ります。マフィアとしては名の知れたヒーローを見逃す気はなかったのです。キック・アスとビッグダディは拘束され、痛めつけられる姿をネットで生中継されました。体に灯油をかけられた二人が火を付けられそうになった寸前、ヒットガールが現れました。防弾着で助かった助かっていた彼女によって、マフィアの手下たちは皆殺しにされました。しかしキック・アスは助かったものの、ビッグダディは間に合わずに火を付けられ、死亡してしまいました。

命を助けられたデイヴは、ヒットガールのことを気にかけますが、彼女は父親の死を無駄にしないためにもダミーコの組織と戦うことを決意していました。デイヴは彼女を見捨てることができず、協力を約束するしかありません。ヒットガールは彼に届いたばかりの新兵器を託したのでした。

ダミーコのビルに乗り込んでいくヒットガールの姿を見ながら、デイヴは改めてヒーローになることを決意し、再びキック・アスのマスクを被りました。
一方、ヒットガールはダミーコの部下たちを次々と殺して行きましたが、ついに弾切れで追いつめられてしまいます。しかも敵はバズーカ砲まで持ち出してきました。そこにガトリングガン搭載のフライトユニットを装着したキック・アスが到着し、敵を皆殺しにしてしまいました。

残るはダミーコとレッドミスト=クリスの二人だけです。ヒットガールとダミーコ、キックアスとレッドミストの対決が始まりました。武道の達人だったダミーコは強敵で、さしものヒットガールも敗北します。彼女が射殺されそうになった途端、レッドミストを倒したキック・アスが駆けつけてきました。彼はバズーカ砲でダミーコを倒すと、ヒットガールを抱えて窓から飛び去ります。

無事、隠れ処に到着した二人は、マスクをとって改めて互いの本名を名乗り、握手をするのでした。
その後、ミンディはマーカスに引き取られてデイヴと同じ学校に通うことになりました。デイヴはキック・アスを引退し、ケイティやオタク仲間たちと充実した日々を送っています。

しかし父親を失ったクリスは組織を受け継ぎ、バットマンに対するジョーカーのような悪役になることを決意するのでした。

The End _hmhm


*ギーク(geek)とは、卓越した知識があること、あるいはそうした者を指す米国の俗語。




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