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市民ケーン
オーソン・ウェルズ 投稿日:2022年12月25日 15:32 No.1019



市民ケーン(原題: Citizen Kane) 1941年 全世界年間興行収入ランキング14位

荒廃した壮大な邸宅の内で、片手に雪景色の一軒家のあるガラス玉を握り、“バラのつぼみ”という最後の言葉を残し新聞王ケーンは死んだ。死後のケーンに与えられた賛否の声は数多かったが、ニュース記者トムスンは“バラのつぼみ”の中にケーンの真の人間性を解く鍵があると信じ彼の生涯に関係のある人々に会うことになった……

監督 オーソン・ウェルズ 代表作 『偉大なるアンバーソン家の人々』『上海から来た女』『黒い罠』
脚本 ハーマン・J・マンキーウィッツ、オーソン・ウェルズ
音楽 バーナード・ハーマン 代表作 『悪魔の金』『ジェーン・エア(1943)』『タクシードライバー』
主演 オーソン・ウェルズ(ケーン) 代表作 『第三の男』『白鯨(1956)』『わが命つきるとも』

上映時間 119分


登場人物

チャールズ・フォスター・ケーン: 新聞王の大富豪。

スーザン・アレクサンダー: ケーンの2番目の妻。歌手。(ドロシー・カミンゴア) 代表作 『大いなる夜』
バーンステイン: ケーンのビジネスパートナー。( エヴェレット・スローン) 代表作 『上海から来た女(1947)』

メアリ―・ケーン: ケーンの母。(アグネス・ムーアヘッド) 代表作 『偉大なるアンバーソン家の人々』『パーキントン夫人』

ジェデッドアイア・リーランド: ケーンの親友でビジネスパートナー。(ジョゼフ・コットン) 代表作 『第三の男』『オーソン・ウェルズのフェイク』

ジェリー・トンプソン: ニュース記者。(ウィリアム・アランド) 代表作 『マクベス』



【起】
「立入禁止」と書かれた柵の中にある巨大な豪邸。庭には湖や動物を飼うためのオリなどがあるが、荒れ果てている。豪邸の大きなベッドルームで横になった1人の男が、「バラのつぼみ」とつぶやき、亡くなる。

「ザナドゥの城主が死去」というニュース映画が流される。フロリダに作られた豪邸ザナドゥの豪華さについて、集められた美術品や動物について、ザナドゥを作ったチャールズ・フォスター・ケーンの葬儀が行われたこと、ケーンがニューヨークの小さな新聞社を全国規模の大新聞社に育て上げたこと、母親が遺産として残した鉱山がスタートだったこと、財産管理人だったサッチャー氏がケーンを共産主義者だとコメントしたこと、敵も味方も多かったこと、2回の結婚と2回の離婚をしたこと、2人目の妻スーザンのために莫大な費用をかけてオペラハウスやザナドゥを作ったこと、知事選に出馬したがスキャンダルで敗北したこと、新聞事業の失敗で破産したことなどを報じる。

ニュース映画を見終えた編集長は物足りなさを感じる。ケーンの最後の言葉「バラのつぼみ」に注目し、ニュース映画の上映を延期して、「バラのつぼみ」の意味を調べるように、記者のトンプソンに命じる。

【承】
アトランティック・シティにあるケーンの2番目の妻スーザン・アレキサンダー・ケーンが経営するナイトクラブ。スーザンはテーブルで酔いつぶれている。ニュース映画の記者のトンプソンが訪れ、ケーンについて話を聞こうとする。だが、スーザンは怒鳴ってトンプソンを追い返す。

トンプソンはフィラデルフィアにあるサッチャー図書館を訪れ、ケーンの財産管理人だったサッチャーのメモを閲読する。1871年、ケーンの母親は、鉱山の権利を少年だったケーンに渡し、ケーンが全財産をもらえる25歳までの管理を銀行に任せた。ソリで遊んでいたケーンは、財産管理人として迎えに来たサッチャーに連れて行かれた。25歳になったケーンは全財産を受け取ったが、金鉱などには興味を持たず、ニューヨークの新聞社(インクワイア紙)の経営だけに興味を持った。ケーンは、自身が株主の会社を含めた資本家を告発する記事などを掲載。新聞経営は大赤字だったが、それでも60年は続けられる資産を持っているはずだった。だが、1929年の大恐慌で新聞社の経営は悪化し、ケーンは全権を手放した。メモには「バラのつぼみ」については書かれていなかった。

トンプソンは、ニューヨークのバーンスティンの元を訪れて、ケーンや「バラのつぼみ」について話を聞く。バーンスティンは、ケーンとリーランドと一緒に、インクワイア紙の経営に乗り出した人物だった。新聞社のオーナーになったケーンは、ゴシップ記事を積極的に掲載するように編集方針を変更。市民のための新聞とする宣言を紙に書き、新聞の一面に掲載する。宣言を書いた紙はリーランドがもらった。ケーンはライバル紙のスター記者を全員引き抜き、発行部数でもニューヨークでトップになり、記念パーティが開かれた。その後、ケーンはヨーロッパ旅行をし、旅行中に知り合った大統領の姪エミリーと婚約をして帰ってきた。これらのことを話したバーンスティンは、エミリーは「バラのつぼみ」ではなく、失った何かではないかと推測する。バーンスティンは、ケーンの学生時代からの友人であるリーランドに会うように勧める。

トンプソンは、ニューヨークのバーンスティンの元を訪れて、ケーンや「バラのつぼみ」について話を聞く。バーンスティンは、ケーンとリーランドと一緒に、インクワイア紙の経営に乗り出した人物だった。新聞社のオーナーになったケーンは、ゴシップ記事を積極的に掲載するように編集方針を変更。市民のための新聞とする宣言を紙に書き、新聞の一面に掲載する。宣言を書いた紙はリーランドがもらった。ケーンはライバル紙のスター記者を全員引き抜き、発行部数でもニューヨークでトップになり、記念パーティが開かれた。その後、ケーンはヨーロッパ旅行をし、旅行中に知り合った大統領の姪エミリーと婚約をして帰ってきた。これらのことを話したバーンスティンは、エミリーは「バラのつぼみ」ではなく、失った何かではないかと推測する。バーンスティンは、ケーンの学生時代からの友人であるリーランドに会うように勧める。

トンプソンは入院しているリーランドを訪れて、ケーンや「バラのつぼみ」について話を聞く。ケーンとは親友だったが、ケーンは誰も信じなかったと語り、さらに詳しくケーンについて語り出す。ケーンとエミリーの結婚生活は、ケーンが新聞の仕事を優先することや、エミリーのおじでもある大統領を批判する記事を掲載したことなどから、すぐにうまくいかなくなった。ケーンと2番目の妻となるスーザンは、道端で偶然に知り合った。馬車が跳ねた泥をかぶったケーンをきれいにしてあげようと、スーザンがケーンを部屋に入れたことがきっかけで親しくなった。ケーンは何度も足を運び、歌手を目指していたというスーザンの歌声を聞くなどして過ごした。

ケーンは知事に立候補した。現知事のゲティスの腐敗を訴え、世論調査でも優勢で、演説集会でも喝采を浴びた。だが妻のエミリーの元にある手紙が届いていた。差し出し人はスーザンだった。エミリーがケーンをスーザンのアパートに連れていくと、そこには現知事のゲティスがいた。ゲティスがスーザンを脅してエミリーに手紙を書かせたのだった。ゲティスはケーンが選挙から降りなければ、新聞にケーンとスーザンの密会を書かせるという。だが、ケーンは選挙から降りることを拒否し、密会を新聞で報道された結果、ケーンは落選した。落選した朝、酔っ払ったリーランドはケーンと新聞社で話をした。リーランドはケーンが民衆を奴隷のように考えていると批判し、シカゴへの転属を希望した。

ケーンとスーザンは結婚した。ケーンはかつてオペラ歌手を目指していたスーザンのためにシカゴにオペラハウスを建設し、主役を演じさせた。だが、スーザンは実力不足だった。幕が下りた後、ケーンはインクワイア紙のシカゴ支社にやって来た。酔って寝ていたリーランドが書いた、スーザンを酷評する劇評を読んだケーンは、自らタイプライターを打ってリーランドの原稿の続きを書き、リーランドを解雇したのだった。

【転】
リーランドから話を聞き終えたトンプソンは、再びスーザンの元を訪れ、ケーンについて聞く。スーザンはケーンについて語りだす。再婚した後のケーンは、スーザンに歌の先生をつけたが、うまくならなかった。歌の先生もスーザンも続けることを望んでいなかったが、ケーンはやめることを許さなかった。オペラの初舞台のスーザンのできは良くなかったが、観客の拍手が鳴り止んだ後もケーンは拍手をやめなかった。酷評されたスーザンは歌うことを拒否したが、ケーンは認めなかった。スーザンは全国で歌い続け、各地のインクワイア紙はスーザンを称賛する記事を掲載した。耐えられなくなったスーザンは自殺を試み、ついにケーンも諦めたのだった。

巨大な屋敷ザナドゥの中で、スーザンはジグソーパズルをして過ごしていた。退屈していたスーザンは、ケーンにニューヨークに行きたいとせがむが、ケーンは拒否。スーザンのジグソーパズルの日々は続いた。ある日、ケーンの発案で、ケーンとスーザンは金持ち連中を連れてピクニックに出かけた。テントの中で、ケーンとスーザンは口論となった。スーザンに「金で愛を買おうとしている」と言われたケーンは、頭に血が上り、スーザンの頬をたたいた。離婚を決意して出ていこうとするスーザンを、ケーンは止めようとした。だが、「私を傷つけるな」と言われたスーザンは、ケーンが大事なのは自分自身とあらためて気づき、ザナドゥを去ったのだった。

【結】
スーザンの話を聞いたトンプソンは、「ケーンをかわいそうに感じる」と感想を述べ、スーザンは同意する。ザナドゥにやって来たトンプソンは、スーザンに話を聞くように勧められていた執事のレイモンドに、「バラのつぼみ」について聞く。スーザンが出ていった時、ケーンはスーザンの部屋の物を投げつけ、テーブルをひっくり返し、物を壊しまくった。だが、テーブルの上にあるスノードームを手に取ると、「バラのつぼみ」とつぶやき、静かに部屋を出てどこかに向かっていったのだった。レイモンドの話でも「バラのつぼみ」については分からなかった。

トンプソンはザナドゥの倉庫に置かれた、膨大な数の貴重なケーンの収集品を眺める。トンプソンは「バラのつぼみ」の意味にたどり着くことはできなかった。膨大な収集品のうち、価値がないとされたものを、作業員が焼却炉に投げ込んでいる。1人の男がソリを投げ入れる。そのソリは、ケーンが幼少期に母親と別れる時に遊んでいたもので、そこには「バラのつぼみ」と書かれている。ザナドゥの煙突からは黒い煙が立ち上り、ザナドゥを囲う柵には「立入禁止」と書かれている。

The End _映画スクエア

第14回アカデミー賞 脚本賞 受賞


みんなの評価 3.56/5.0

最高 (^0^)

この作品の最大の魅力は演出の良さでしょう。シナリオに関しては、好き嫌いが分かれるかと思われますが、私は十分楽しめました。
最初に主人公の人生を大雑把に紹介した後、場面を重ねていくことで、主人公の人生の孤独、というか悲劇性が明らかになってくるという構成が斬新でした。
映画としては名作に違いないでしょう。

最低 ( ` 3´)

さすがに退屈
時を経ても古くならない部分と、時と共に古くなって行く部分と‥。


解説

バラのつぼみとはなんだったのか?

具体的には、少年ケーンが持っていた橇に描かれていたのが、バラのつぼみの絵と文字であった。
これとセットになって登場しているのがスノーグローブ。
これらから導かれるのは、彼の故郷であり、母親との別れ。
親元を離れたクリスマスで、プレゼントにケーンはそれまで持っていたのと同じバラのつぼみの橇をもらっている。
思うに、雪の積もらない都会で、橇なんてもらってもしょうがなかったのではないか。
欲しいのは橇じゃなくて、橇で遊んでいたあの頃なんじゃないか。
欲しいのはこれじゃない感、お金では与えてもらえないもの、母の愛、ではないか。
そういったものの象徴なのかなと思った。

そして、スーザンが出て行ったとき、すなわちどん底の状況で、荒らした部屋の中でスノーグローブを見つけた彼は、自分がいままで与えてきたもの、買ってきたもの、がまさにバラのつぼみの橇であったと気付いたのかもしれない。
愛されたくて、愛したけれど、欲しい愛は手に入らず。
それが自分にとってどういうものなのか。
それに気付いたからこそ、今わの際までスノーグローブを持っていたのではないだろうか。


描かれている構図を抽象化してみる

主人公は、幼少のころに「ギフト」を得たがその代償に「ロスト」した欠落がある。
ギフトによって力を得るが、その力ではロストは埋められない。
ついには多すぎるギフトの中で、ロストを求めても得られず、孤独に死ぬ。

ロストを象徴しているキーワードがある。
映画では、このキーワードを鍵にして、第三者が主人公の人物像を探っていく。各人の証言によって、人物像とギフトとロストが明らかになっていく。

このお話において、ギフトは自分で求めたわけではないものであり、母から子へと受け渡されたものであるところ。
そして母は子を思ったからこそ別れる選択をしたが、結果それが子側にとっての大きなロストになってしまった。








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