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能登半島地震に伴う点検測量について  part2
北海道調査士 投稿日:2024年02月22日 08:13 No.3529
風来坊さん ご回答有難う御座います。

電子基準点の座標値(公開されている値)を用いてスタティックの解析、観測等を行ったことがなく全くの無知でお恥ずかしい限り、初歩的ですみません。

私が数年前から始めたVRS観測では、電子基準点を与点にして配信業者が補正データを基に仮想点を作成し、その仮想点からのベクトルを求めて新点の座標値を得ていると理解しています。

その際、私が使用している解析ソフトでは何も設定を行わなければ得られる座標値は今期座標です。
市内の基準点を点検観測しても数十センチの座標差が出ます。

そこでセミダイナミック補正をかけることで、数㎝の誤差内に入ってきます。

そんな訳で、電子基準点の成果は今期なのだと思っていました。

今期で計算はするけれど、それでは測地成果2011や2000と整合しないので、解析、計算の仮定でセミダイナミック補正を掛けて元期にしているのだと思っていました。

昨日初めて電子基準点の座標値をサイトで閲覧しました。経度緯度で表示されておりましたが、その座標値自体元期座標で公表されているということでしょうか。

配信業者さんに技術的な仕組みを聞いてみましたが、どうも専門的で私の理解が追い付きません。

VRSをやるうえでは、生じる誤差量を理解したうえでお上から出されているマニュアルを遵守して現地近傍の与点チェックなどをしっかり行ったうえで、基本とおり現地の石を数多く探し押さえることで相対的な整合性をチェックすることで事故らない様にしたいと思います。

今のところ弊所でスタティック観測を導入する予定はありませんが、電子基準点やGNSSの勉強の一環として余力があれば勉強してみたいと思います。


みら 投稿日:2024年02月22日 19:45 No.3531
>今のところ弊所でスタティック観測を導入する予定はありませんが、電子基準点やGNSSの勉強の一環として余力があれば勉強してみたいと思います。

私は実務で、作業規程の準則に準じたスタティック測量は、数回しかやったことはなく、偉そうなことは言えないのですが、わかる範囲で説明します。
日本測量協会の図書「作業規程の準則(1つ前のH28版) 基準点測量記載要領」の電子基準点のみを既知点とした1級及び2級基準点測量の項目の概要は次のA、Bの通りです。(現在は3級も可)

A.電子基準点の成果表には測地成果2011と記載あります。
B.セミダイナミック補正方法の流れ
 ①基線解析は元期座標(成果表値)で計算
 ②既知点成果を「元期座標」から「今期座標」に補正
 ③今期座標で点検計算
 ④今期座標で三次元網平均計算
 ⑤新点座標を「今期座標」から「元期座標」に補正
 ※基線解析は今期座標で行ってもよい。
図書の内容は以上です。

スタティックは既知点が電子基準点以外の基準点でも上位の級であれば可能です。
電子基準点であれば、大震災のあった地域でも利用再開されていればPatchJGDの補正はスタティック測量の前に必要ありませんが、電子基準点以外の基準点はPatchJGDの補正がスタティック測量の前に必要です。(震災補正はスタティック測量の前に行う)
東日本大震災の例でいえば、役所の基準点成果に「震災補正により測地成果2011に変換済」等の記載があれば大丈夫と思います。

三次元網平均計算を簡単に説明すると・・・
それぞれの既知点から三次元的な開放計算で求めた新点の三次元空間の位置は微妙にずれて一致しません。それでは困るので何らかの方法で新点座標を1つにする必要があります。それを解決するために観測値の基線ベクトルに合理的な重みをつけて、観測値の補正量の二乗和を最小にするという条件をつけて計算(網平均)します。水準測量も水準網平均により高さ(Z)を計算しますが、三次元網はXYZの3成分を独立して水準網平均するようなイメージです。意外と簡素な計算をしています。


北海道調査士 投稿日:2024年02月22日 22:15 No.3532
みらさん、詳細な説明有難う御座います。

私自身、前からスタティック観測の勉強をしたいと思いつつも、民間の測量案件が99%を占める弊所ではVRSで事が足りるため、なかなか学ぶ機会な無いというか、学ぼうとせず今に至ります。

ですが、VRSではどうしても都合が悪い現場もありますので、あと15年はこの仕事をする予定ですので、これを機にもう1台受信機を導入して勉強するのも有ですよね。

今はドロガー関連で無料の解析ソフトもあるそうで、同業者の方は結構使用しているそうです。

電子基準点の公表されている座標値は元期なのですね、元期で基線解析を行ったあとに、今期に補正し、そこで点検計算、網計算、そして再度元期に補正、、、

やはり私の頭ではすぐには理解できないので、順を追って学んでいきたいと思います。


有難う御座います。


風来坊 投稿日:2024年02月23日 00:12 No.3533
公共測量をするなら別ですが調査士業務でのスタティック測量は効率が悪いですよ。
基線長が10km以内であれば1時間(実際は70分程度)の観測ですが、10kmを超えれば2時間の観測が必要になります。
必ず1基線は10kmを超えます。
点検測量も必要になりますので同じ時間観測しなければなりません。
スタティックで2時間観測した成果とネットワーク型RTKでの10秒の観測で得られた成果の較差がワンコインの範囲です。
どちらを選びます?


みら 投稿日:2024年02月23日 08:09 No.3534
北海道調査士様

>今はドロガー関連で無料の解析ソフトもあるそうで、同業者の方は結構使用しているそうです。

私はDroggerを1台趣味で購入しました。1台≒10万円の機種ですが、地理院の1級?GNSSアンテナ登録も受けているようですので公共測量にも使えるようです。

私は北海道調査士さんとは逆で、VRSの使用方法はわからず(最大のネックは通信契約と通信料金)、Droggerではスタティック測量しかわかりません。

スマホのソフトとパソコンの基線解析と三次元網平均ソフトが無料だったと思います。スマホのソフトで1時間観測して、そのデータをのパソコンのソフトに取り込みます。
近所で観測するので待っている間は家に戻って好きなことをしています。新点1点の計算だと、1点当たり5分程度で観測データ取込~基線解析~点検計算~網平均まで終了します。セミダイナミック補正も含めて、チェック入れるだけで全部ソフトが自動でやってくれます。電子基準点の観測データは地理院のデータを自動取得するため観測必要ありません。計算に必要な電子基準点が新点から近い順に表示されるので使用するものをクリックするだけです。通常新点を囲む3点選択。点検計算も自動で、全ての路線(環も)が計算されるので不要な路線は削除するだけです。

作業規程にないかもしれませんが上記の通り新点1点でも網平均でのスタティック測量は可能です。電子基準点と新点、又は新点間の基線ベクトルを使って網平均するのは新点1点でも複数点でも同じです。

以下は精度的なことです。
①スタティック測量
上記のように1点毎に別々に三次元網平均で新点2点を作った場合の、座標計算距離とTS点検距離(縮尺と投影補正後の平面距離)の差は5~10mm程度でした。もし1度の三次元網平均で2点求めた場合はもう少し小さくなるかもしれません。

②VRS単点観測法
風来坊様がおっしゃるように1点当たり1コインなので±3センチ程度でしょうか。TSで測ると2点間ですと0~6センチの差になりますね。でも1点10秒なのでとても早く便利です。通信料がネックと思います。

①②良し悪しあるので、現場の必要精度等に合せて選択すればよいと思います。
風来坊様はよくご存じと思いますが、②の欠点はTSの自由網平均(究極技)を使うことで解決できると思います。


北海道調査士 投稿日:2024年02月23日 11:25 No.3536
みらさん、ご説明有難う御座います。

私は精度的にはもちろんスタティック観測が良いと思っておりますが、観測時間がネックで主にVRSを使用しています。

通信料は使用分のみで毎月2千円前後だったと思います。

オープンスカイであればスタティック観測の成果とほぼ遜色ありません、数ミリの誤差しか出ませんし、点間距離も5mm前後で入ります。
近くに大きな建物がある場合などは2㎝前後の誤差が生じる場合があるので時間置いたりして状況に応じて観測してます。

10秒で現地に落とせるので、そのまま継続して作業できるのが強みだと思います。

公共測量では色んな縛りやルールがありますが、民間では精度管理だけしていれば全く問題なく使用できています。


スタティックの解析、計算がそこまでオートに出来る様になっているのであれば、勉強して利用するのも有なんですよね。

2点作りたいとなれば、受信機2台と端末(スマホ)も2台必要ということになりますよね。

安価なので機材だけでも近々購入しようと思います。

近い将来スタティックデビューも夢じゃないということでワクワクしますねw


みら 投稿日:2024年02月23日 11:39 No.3537
北海道調査士様

>スタティックの解析、計算がそこまでオートに出来る様になっているのであれば、勉強して利用するのも有なんですよね。

私も難しいという先入観があったので利用が超簡単でびっくりしました。

>2点作りたいとなれば、受信機2台と端末(スマホ)も2台必要ということになりますよね。

そうです。私は趣味なのでDroggerの受信機1台とスマホ1台までです。私の勤務(諸事情により勤務予定)会社は別のメーカーのGNSS測量機とソフトを複数台所持していますので覚えなければ(泣)。

>オープンスカイであればスタティック観測の成果とほぼ遜色ありません、数ミリの誤差しか出ませんし、点間距離も5mm前後で入ります。

そんなに精度が良いのですね。驚きです。私は長野県の田舎なので、現場によっては木とかの上空視界の障害で条件の厳しい場合はそうはいかず、数センチの誤差になる場合もあります。TSでの点検観測は必要ですね。

>近くに大きな建物がある場合などは2㎝前後の誤差が生じる場合があるので時間置いたりして状況に応じて観測してます。

工夫が必要になるということですね。


北海道調査士 投稿日:2024年02月23日 14:25 No.3541
そんなに簡単に計算してくれるんですね、利用者の口コミを見ても「非常に便利」

「非常に簡単」の様な口コミを見掛けます。

測量も大きな転換期を迎えたのですね、数年後はスマホで数㎝単位の位置確認が出来るでしょう。それを以て境界杭を打てるかは無理でしょうが、安請けする業者が更に増えるでしょうね。
杭1本、1万円で入れます~


>>そんなに精度が良いのですね。

オープンスカイであれば数ミリの精度で観測出来ます。
スタティックと遜色ありません。
ただ、マルチパスに弱いのは事実ですので場所によってはみらさんの仰るとおり精度確認の工夫が必要です。


みら 投稿日:2024年02月23日 17:06 No.3542
北海道調査士様

>通信料は使用分のみで毎月2千円前後だったと思います。

教えて頂き誠にありがとうございました。

興味があったので、プレート運動を補正するセミダイナミック補正量の変動を先ほどエクセルで計算してみました。(パラメータ2009~2023の全てで日本全体の代表点を10点計算し点毎に比較グラフ作成して検証)2009は地理院の最初のパラメータです。
日本全体の2009~2023(東日本大震災補正地域は2011~2023)のセミダイナミック補正量の変動は、大まかに地域で4タイプに分かれます。変動の移動速度はほぼ一定でした。

①北海道・・Xは0.25で変化なし、Yは0.1で変化なし

②東北地域の東日本大震災地域付近・・2011がXYともに0、Xは地域により0.5~0.8に増加、Yは地域により0.9~1.5に増加

③中部の東日本大震災影響地域・・2011がXYともに0、Xは0.2に増加、Yは0.4に増加

④西日本・・Xは地域により0.2~0.3で一定、Yは0.3~0.7に増加

プレートの位置関係のせいか②~④はY方向の変動が大きいです。




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