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はじめまして。
ゆり 投稿日:2019年11月30日 07:04 No.916
いつも参考になるコンテンツを発信していただき、ありがとうございます。
私の現在の主症状は不潔恐怖で、発症から12年になります。
その対象は、地面と作業着を着た人が最も恐怖度が高く、それに付随して外の物を全て汚く感じ、家の中(聖域)と外の物をなるべく分けているため、行動が制限されることに強い苦痛を感じています。

矢野先生は、曝露にしろ他の行動療法にしろ、「その行動をしても恐れていることは起こらない」ということを実際に体験して学習し、記憶を上書きしていくことで改善していく、といった内容のことをおっしゃっていると思います(解釈が間違っていたらすみません)。

実際に、私も以前は確認強迫がありましたが、自己流の曝露で「何度も確認しなくても心配していることは起こらない」という経験を積むことにより、確認強迫に関してはほぼ寛解しました。

しかし、不潔恐怖に対しては、この考え方が当てはまらなくて困っています。
私は、強迫対象に触れたことで病気になるとか、何か最悪なことが起こるとか、菌が付くといったことは考えていません。
ただただ地面などが汚くて「気持ち悪い」という感覚なのです。
例えば、健常な人でも、地面に落ちて明らかに土が付いているおにぎりは「汚いから」食べたくないですよね?
私は、その「汚い」と同じような感覚で、目に見える汚れが付いていなくても、外の物がすべて汚く感じてしまいます。
このような「触っても何かが起こるわけじゃない、ただとても汚くて気持ち悪いだけ」という思考の場合、どういった考え方で行動療法に臨めばよいのでしょうか?

以前、不潔恐怖に対しても自己流の曝露をしたこともありますが、気持ち悪い思いだけが残り、後からその時触った物を捨てたり、過剰に洗浄して他のものと分けて密封して保存したりしてしまいました。
この汚さ、気持ち悪さをどう受け止めれば行動療法がうまくいくのでしょうか?


矢野 投稿日:2019年12月01日 02:04 No.919
「その行動をしても恐れることは起こらない」を体験して、確認強迫を克服したというのは、素晴らしいと思います。頑張っていらっしゃいますね。

洗浄強迫に関しては、「気持ち悪い」という感覚で、おっしゃるように理由がないということが多いです。これは、不思議な現象ではなく、よくあります。

「気持ち悪い」には、本来、あまり理由がありません。そして、この部分は曝露だけでは、改善しづらい部分ではあります。

「気持ち悪い」の根底には、好き・嫌いという感情があります。そして、この好き・嫌いは、後から作られる感情です。とても良い例が、「ゴキブリ」です。ゴキブリは、日本では多くの地域では、嫌悪の対象ですが、ゴキブリが生息しない北海道では、そこまで嫌悪の対象にならないのです。

月曜から夜ふかしで、このことを実証しているので、興味があれば見てみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=lzDlWRd6ZyU
これです。

さて、これをどうやって克服していくかですが、「納豆嫌い」「チーズ嫌い」をどう克服していくか?ということと似ている方法がよいです。

よく外国人が日本にきて、納豆が嫌いだけれど好きになったというエピソードの裏には何があるかというと、「自分が嫌いなはずのものを、好きだと言っている人がいる」というたくさんの経験であったり、情報なのです。

これは、曝露も必要ですが、楽しく・ポジティブな情報を入れていくことがよいです。

例えば、地面を裸足で歩く、「アーシング」という考え方があります。
https://www.youtube.com/watch?v=Ni8Q9pQaiuU

音楽が好きであれば、裸足で歌うアーティストも意外と多いんですよ。
https://matome.naver.jp/odai/2135728379082727801

作業着も好きな人が結構います。
https://girlschannel.net/topics/703468/
https://hitome.bo/column/article/1362-hitomebo-work-clothes.html

おしゃれな作業着もあります。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=51&v=HJxbTV3Msdw&feature=emb_title

作業着をきてかっこいいことを話す方もいます。
https://www.youtube.com/watch?v=gBumdOWWMhY&feature=emb_title

こんな情報を集めながら、「自分が嫌いなものを好きな人がいるんだなぁ」という経験を積み重ねていくといいですよ。

そして、曝露をするときも、ちょっと楽しい雰囲気でやってみたほうがよいです。音楽を聞きながらでもよいと思います。


ゆり 投稿日:2019年12月01日 13:52 No.921
お忙しい中、早々にご返信いただきありがとうございます。

理由なく気持ち悪いという方もたくさんいらっしゃるんですね。
不潔恐怖の話をすると、「トイレの便座より携帯電話の方が菌が多いのに」とか「衛生学や病理学を学べ」といったことを言われることがあり、菌や感染症が怖いわけではないのでこのようなアドバイスは全く響かず、私のように理由がないパターンは理解されないのかと思っていました。

私に必要なのは、曝露と同時に苦手な物を好きになる努力なのですね。
今は、地面に触れている人や置かれた物、その映像を見ただけでも気分が悪くなることもありますが、ご教示いただいた内容を拝見して少しずつ慣れていきたいと思います。

また、楽しい雰囲気で暴露を行ういうことは、曝露を行う際に好きなものと絡めて行う方が効果的なのでしょうか?
例えば、苺が好きだけど草花は苦手という場合に、苺狩りに行ってみるというような行動は、ただ草花を触る曝露より効果的だと考えられますか?


矢野 投稿日:2019年12月02日 01:24 No.924
「トイレの便座より携帯電話の方が菌が多いのに」などのアドバイスは、役に立たないと思います。嫌悪感は、理屈ではないからです。

例えば、ゴキブリの死骸を滅菌消毒してコップに入れ、水を注ぎ、この水を飲みたいですか?と聞く実験があります。この質問には、多くの人は「飲みたくない」と言うと思います。滅菌消毒をされているので、人畜無害なはずなのに嫌悪感が発生します。このように嫌悪感というのは、本来、強迫症のあるなしに関わらず、理論的ではないのです。

曝露を行うさいに好きなものに絡めて行うことはとても効果的な方法です。いちご狩りに行ってみるというのはいいアイデアですね!好きなものに囲まれていると、嫌いなものへの印象が少しづつ変わってきます。このとき、好きなものと嫌いなもののバランスが重要で、嫌いなものを少しづつ入れていくのがコツです。

ちなみにこのアイデアの元にある実験では、クモ恐怖症に対する曝露です。ある群は単にクモを見せ、もう一つの群には紳士的なクモが世界を守るという話の動画を見せ曝露をします。そうすると、紳士的なクモの動画をみた群のほうが曝露の効果が高いということが分かりました。


ゆり 投稿日:2019年12月02日 03:08 No.926
「嫌悪感は理屈ではない」というお言葉とその事例、とても納得しました。
過去に、周りの人だけでなく、カウンセラーや心療内科医にすら「地面の何が嫌なの?」「何で嫌なの?」と問い詰められて自分でもわからず困惑したので、嫌悪感に理由がないと理解していただけるだけでとても嬉しいです。
嫌悪感を少しでも減らせるように、ポジティブな気持ちで出来る曝露を始めたいと思います。

質問ばかりで恐縮なのですが、もう一つお伺いしたい事があります。
例えば、ゴミ出しのためにゴミをまとめる際に、下記の①②だと、どちらの方が行動として問題がありますか?
①ゴミ袋を素手で触って、その後20分以上手洗い
②使い捨て手袋をしてゴミ袋をまとめ、その後30秒だけ手洗い
もちろん、行動療法としては、素手で触って手洗いも無しというのが正解だとは理解しています。
以前は①の方法だったのですが、長い手洗いが負担で、少しでも生活を楽にしたいという思いから(その時相談していたカウンセラーさんの勧めもあって)、②の方法を取るようになりました。
その結果、強迫行為にかかる時間が大幅に減ってとても楽になった反面、これはゴミ袋との接触を回避をしていることになり、どちらかというと強迫を悪化させる方向に変えてしまったのでは?という気もしています。
そのカウンセラーさんは、「今苦しんでいる強迫行為をより楽に行う方法があるなら、そちらを取るべき、その方が生活の質は上がる」という考え方でした。
他の例で言えば、確認強迫で戸締りを何十分も確かめる代わりに写真を1枚撮ることで確認が不要になる、といったように、何か工夫をすることで現在出来ないことが出来るようになると、生活が少し楽になると思いますが、これは良くない手なのでしょうか?


矢野 投稿日:2019年12月02日 14:59 No.928
①と②だと、②の方が良くないと思います。というのも、②を行うと、ゴミ袋を「回避」しているからです。

回避してしまうと何がいけないかと言うと、一見、強迫行為が減り症状が軽くなったように見えますが、その回避行動を必ず取らなければならいようになってしまいます。使い捨て手袋が欠かせないようになり、生活に制限が増えてしまうのです。手袋がないとゴミ袋がさわれないのは不便ですよね。そして、この問題がここだけで止まればよいのですが、回避行動があると、どうしても他に回避行動が増えやすくなってしまいまうのです。例えば、使い捨て手袋のゴミ袋に触れた部分を触れられないなど波及してしまうのです。

また、①は暴露反応妨害法の観点からは、手洗いをしているので、不十分だとは言えますが、実際には、暴露反応妨害法において強迫行為をした場合に曝露が失敗したと考えるほうがよくないと言われています。わかりやすくと言うと、強迫行為はできるだけ我慢したほうがいいが、強迫行為をしてでも曝露をしたほうがいいと言えます。

また、「戸締まりを確認する代わりに写真を取る」というのは、強迫行為になります。一時的な対応としてこのようにすることは良いですが、この状態を続けていると写真を取らなければならないという状態になりますし、「写真をとったけれど、ちゃんととれたかな?」と写真を何度も見直してしまうなどと症状が悪化してしまう可能性があります。

強迫症の症状の症状の特徴として、「頭に浮かんだことが本当に起こる」という感覚があります。例えば、「鍵が空いているかもしれない」と頭に浮かんだら、直前までは閉まっていると確信していても、「鍵が空いている」が本当のことのように思えてしまうのです。この症状があるため、理屈や工夫で対処しようとするとなかなかうまくいかないのです。


ゆり 投稿日:2019年12月02日 20:43 No.929
ご回答ありがとうございます。
「強迫行為をしてでも曝露をしたほうがいい」とのご意見、大変参考になりました。

今は確認強迫はほとんどなく、外出時も鍵を閉めてそのまま何もせず出かけることができるまでになっています。
過去を振り返れば、何故あれほどまでに確認を繰り返しても得心が行かなかったのか不思議に思うほどです。

不潔恐怖に対しても、いつか今を振り返った時に「何をあんなに怖がっていたんだろう」と思えるようになれるよう、ご教示いただいたアドバイスをもとに頑張ります。

本当にありがとうございました。


矢野 投稿日:2019年12月03日 02:07 No.931
強迫症は、非常に苦しむ病気でもありますが、一方でちゃんと治療をすれば改善しやすい病気でもあります。症状がいい方向に向かうことを祈っています。



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