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病気恐怖症でしょうか?
夏椿 投稿日:2021年06月09日 23:52 No.1467
このような場を設けてくださり、本当にありがたいです。
知識もあまりなくまとまらない文章かもしれませんが、相談させてください。どうぞよろしくお願いします。

わたしは現在2歳になる息子を育てていますが、息子を出産してから自分の想像?妄想?からくる不安や恐怖に圧倒されることが出てきました。

不安や恐怖の内容は「自分は手遅れのガンなのではないか、幼い息子を置いて死んでしまったら息子はどうなってしまうのだろう?」というものです。

この考えがやってくると、その間はものすごい不安に襲われ、誰か息子を養子にもらってくれる良い人はいないだろうか?と脳内サーチしてしまいます。
想像と現実の距離が取れず、飲み込まれたようなつらい何日かを過ぎると、ふっと「これはただの想像だ、大丈夫だ」という明るく軽い気持ちになり、それからしばらくは平穏な日々を過ごしています。
そしてまた軽いふとしたきっかけ(例:すこしお腹に違和感がある、癌のネット記事を見る)から想像が心の中で大きくなってきて不安と恐怖がやってくる…といった感じです。

なぜこんなにも不安なのか、怖いのか、心あたるのは、
①10年近く前に子宮頸がんでひっかかった。
無症状だったのに病気が潜んでいた事が当時とてもショックでした。
その後は完治し、身体は他に心配事も健診での引っ掛かりもなく過ごしています。

②安心して育児を頼れる人がいない事。
自分の実母、義母ともに以前から健全なコミュニケーションが難しく、産後は双方とも没交渉となっています(父親は両家とも鬼籍)。両家とも機能不全家族。
夫は人柄の良い人ですが不器用で、炊事や身だしなみを整えるなどの日常生活の諸々が苦手で、いざと言う時に安心して息子を託せる感じはありません。(夫は受動型のアスペルガーかもと思っています)
頼れる人がいない。自分がいなくなったら息子を心から愛してくれて適切な環境を整えてくれる人がいない、という不安があります。

②数年前に霊感のある何人かから、「あなたの母親が変なものを中途半端に拝んでしまってその障りであなたの父親と妹がやられた(二人とも別々に脳死)、家に憑いている」と言われた事です。(母親は昔から霊やスピリチュアルなものに原因と解決をすがる人で、その頃、家の中も母親もひどいことになっていました)。お祓いをしてもらい、一応解決したものの、それ以来、また母親がこっそり変なものに手を出していたら、今度はわたしや息子に影響が出たら…と不安を感じます。


不安の波が去ると、なんてばかばかしい想いに囚われていたのだろうと思いますが、波の中にいる間がほんとうにつらいです。
特に、ちょっとした身体の違和感や痛みも重い病気なのでは?と思ってしまい、自分から不安の種を探しているようですらあります。
もし息子がいなければ病気も死もそんなに怖くありません。息子を大事に思う気持ちの大きさと不安や恐怖が比例しているように感じます。


このような症状ではどういった治療を受けたらよいでしょうか?
また、田舎住まいで病院や施設をなかなか選べない事もあり、自分でも取り組める事がありましたらお伺いしたいです。

長くなってしまいましたが、お忙しい中読んでくださってありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします。


矢野 投稿日:2021年06月10日 02:56 No.1469
とても整理されていて、よく分析されていると思います。

ここでは、診断に関することは明言できませんが、端的に言うと強迫症(ないし病気不安症/心気症)、トラウマからくる不安のどちらか、もしくは両方あるように思います。

病気に対する恐怖ですが、「この考えがやってくると、その間は…」とあるように、特定の期間、とりつかれたように不安になるのですね。
病気不安症は、かつては心気症と呼ばれていて、その名前の通り、「自分が何らかの病気にかかっているのではないか?」と不安になる病気です。
病気不安症は、それ自体が独立した病気ですが、強迫症の目に見える強迫行為を持たないタイプに非常に酷似しています。
少なくとも、心理療法としては、想像型(一般的には純粋強迫観念と呼ばれることが多いです)と呼ばれるタイプへの認知行動療法が一般的です。
https://youtu.be/XiGy0A-rh9w
などの説明をきいて、共感できるのであれば、そうであろうと思います。

また、幼少期のトラウマ(機能不全家族)があると、『普通の人からすると無視できるような低い確率のリスクがとても怖い』という状況が起きます。
とくに、「母親」という存在が安心できる対象ではなかったことで、ずっと不安な感覚が続いているのだと思います。
母親がスピリチュアルなものに傾倒している状態だと、夏椿さんのことをみてくれず、感情的なネグレクトの状態が起きやすいです。
このあたり、カルト宗教の二世で悩んでいる方の手記などを読まれると、とても共感できるのではないかと思います。

また、パートナーがアスペルガー症候群(今は、自閉スペクトラム症と呼ぶことが一般的です)傾向がある場合、
現在の家庭内でも、共感してくれることが少なく苦しんでいるかもしれません。
そのような場合、カサンドラ症候群と俗に呼ばれるうつ状態になることがあります。

治療に関してですが、医療機関でお薬をもらうことで少し不安を抑えるお薬をもらえると思います。

病気に関連する不安に対しては、強迫症に対する認知行動療法に準じた対応が必要でしょう。
一方、ずっと不安な感情に対しては、ずっと根底にあるざわざわした身体感覚を落ち着けられるようにするとよいです。
https://youtu.be/Wx1TGyynfvg
に紹介しているような感情調節の方法や、浅井咲子先生の『不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方(大和出版): ポリヴェーガル理論の第一人者が教える47のコツ』などを参考にされると良いと思います。


夏椿 投稿日:2021年06月10日 22:12 No.1470
矢野先生、ご回答くださりありがとうございます。
ご紹介くださった想像型強迫症の動画を拝見し、「頭の中で強迫行為を行なっている」「引き金が同定しにくい」などとてもしっくりきました。
そしてあらためて自分に起きている事を客観的に整理、把握することができ、心強さが生まれてきました。
「不安が現実になる事はほとんどない」にじわーっと安心感が広がり、救われる思いです。

病気不安症と少し違うなと思ったのは、わたしの場合は検査やドクターショッピングなどの強迫行為はない事です。(なのでまさに想像型なのですが)
もし差し支えなければ、わたしのような場合の心理教育のポイント、曝露のポイントがあれば教えていただけたら心強いです。

また、病気不安症、想像型強迫症と同時に、ご指摘くださった通りトラウマからのものもかなりあると思います。
そのうちのスピ関係については、自分と同じような体験をした人の話しを聞くことはこれまでありませんでした。なので宗教二世の方の手記、ぜひ読んでみたいです。教えてくださりありがとうございます。
あわせて、母親から繰り返し言い聞かせられたり見聞きした影響から、矢野先生が動画で触れておられた縁起不安というものにも少し近しいものを感じましたのでこちらも知ってみたいと思っています。

カサンドラ症候群について、たしかに夫に対してコミュニケーションの手応えの薄さ、共感の薄さに孤独や絶望感を感じる事がたまにあります。そしてカサンドラ症候群で書かれているような状態はまさにわたしが原家族で長年味わってきたものだ(両親が自閉スペクトラムかはさておき)とハッとしました。

今回矢野先生にいただいた回答から、今後は服薬で不安に対処しながら、動画や教えてくださった本を読み実践しつつ、トラウマについても整理したり見つめたり癒したりしていくのが必要だなと考えています。
まずは居住地域にも認知行動療法を扱っている病院がわずかにあるようですのであたってみたいと思います。
そして矢野先生が新規受付を再開された際にはぜひお願いできたら嬉しいです。


矢野 投稿日:2021年06月15日 00:41 No.1473
曝露のポイントは、「思考の重要視(考えたことが本当に起こる)」を崩していくことになります。そのため、『私は、手遅れのガンになり、死んでしまい。子供は、親をなくして悲しい思いをする』などのように、想像した最悪のストーリーをスマホなどに録音して何度もきいてみるという方法が良いと思います。

自閉スペクトラム症を持っていなくても、共感性が低い方というのはいます。そして、同じようにカサンドラ症候群のような状態になったりします。

いい方向に向かうことを祈っています。


夏椿 投稿日:2021年06月16日 21:34 No.1475
矢野先生、お返事くださりありがとうございます。
最悪のストーリーを録音して聴く。
なるほど!と思いました。素人考えでは余計に暗示にかかりそうに思うのですが、強迫症には曝露というものになるのですね。
想像するとちょっとドキドキしますが、取り組んでいきたいと思います。

もう一つだけ質問させてください。
わたしの病気不安、想像型強迫症の症状はいつも出ているわけではないのですが、(最悪のストーリーのようなものが頭をふっとよぎったりする事は毎日ありますが、不安や恐怖に結びつかず、そのまますうっと流れて消えていく事も多いです。)
曝露を行うのは症状が出ているタイミングなのでしょうか?それとも日課のように日々取り組むのが良いのでしょうか?

どうぞよろしくお願いします。


矢野 投稿日:2021年06月18日 09:54 No.1476
日課のように取り組むのがよいです。

というのも、曝露というのは、『○○やっても大丈夫』という新しい記憶を作り、その記憶で心配を抑え込むというように作用することが分かっています。なので、先手をうって、『考えても大丈夫』な状態を作っておくのです。そうすることで、ふっと心配になることを防ぐことができます。


夏椿 投稿日:2021年06月20日 09:46 No.1478
矢野先生、ありがとうございます。
症状に関係なく続けていきたいと思います。

こちらに勇気を出して相談させていただいて本当によかったと感じています。
的確でご丁寧な回答をいただき、おかげさまで安心感とこれからの指針のようなものを持つことができました。
お忙しい中を何度もありがとうございました。
湿度や温度の高いお天気が続きますが、どうかお元気でお過ごしください。




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