□元記事:https://digital.asahi.com/articles/ASN276T59N27ULBJ00S.html?_requesturl=articles/ASN276T59N27ULBJ00S.html&pn=7 風邪との見分け困難 次の脅威は「軽症者の病院殺到」 2020年2月7日 21時21分 感染の封じ込めを目的にするよりは、医療体制の維持をめざすことが良い――。感染者の診療にあたる国立国際医療研究センターのグループはこう指摘する。 新型コロナウイルスの感染は、政府のチャーター便で中国から帰国した人のほか、中国からの旅行者でも見つかり、侵入ルートは複数ある。今後、中国以外の国で感染した人が、水際対策をすり抜けるケースも想定される。知らないうちに感染し、他の人にうつしている可能性は、国内でも否定できない状況だ。 一方、感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「今のところ、国内の新型ウイルスの発症者は軽症が多いようだ」と指摘する。「発熱やせきといった症状が4、5日続き、回復か悪化かに分かれている」 京都市内の店で観光客を接客していた20代の中国人男性は、発熱やせきの症状で医療機関を2度受診。しかし、新型ウイルスの感染だとわからないまま肺炎が起き、判明するまでに10日ほどかかった。 現状ではインフルエンザで用いられるような迅速診断キットがない。感染の確認には、時間やコストのかかるPCRというウイルス検査が必要で、希望する人すべてに行うのは現実的ではない。厚労省の基準では、湖北省への滞在歴や、訪問歴のある人と濃厚接触した人が対象だ。 東京医科歯科大の瀬戸口靖弘特任教授(呼吸器内科)は「普通のかぜは過去の感染で体に免疫があり、3日程度でピークを過ぎる点で違いがあるが、せきや熱といった初期症状は同じ。見分けることが難しい」と指摘する。 しかし、新型ウイルスを心配し、通常のかぜの人まで受診するようになれば、別の「脅威」になる。瀬戸口さんは「重症者の治療には人工呼吸器などの器材だけでなく、手厚いスタッフも必要だ。医療資源は限られる中、軽症者が殺到すれば、対応が難しくなる」と話す。 岡部さんは「重症化しそうな人が必要な医療を受けられるように冷静な行動が求められる。健康な人なら、自分のためにも、他人に感染させないためにも、初期は自宅でゆっくり過ごすことが得策だ」と指摘。「(医療崩壊を招いた)武漢市の二の舞いにならないようにすることが重要だ」と強調する。(松浦祐子) ■「ポイントは1週間の熱」治療した医師語る 新型コロナウイルスに感染した患者の治療にあたった国立国際医療研究センターの大曲(おおまがり)貴夫(のりお)・国際感染症センター長が7日、症状の詳細などを講演で明らかにした。 ◇ 1月24日、中国・武漢市に滞在歴のある30代女性が、のどの痛みと体のだるさを訴えて受診した。37・8度で、のどは赤くなっておらず、呼吸音も異常なかった。当時、武漢市に渡航歴のある人が次々と来院してきたが、感染の可能性は低いとみて、経過をみることにした。 3日後、熱が引かずせきやたん、頭痛を訴えて再び来院。X線撮影では肺炎の影はなく、尿検査で細菌が見つかったので腎炎とみて治療した。だが、その後も熱やせき、たんが続き3日後に来院。再度X線撮影したところ、肺に影が写った。「これはコロナの疑いだ」と、初めて分かった。 CT検査でも、非常に淡い陰影が見え、ウイルス検査の結果、感染が確定。入院して治療を始めた日は軽い呼吸困難で、鼻から酸素吸入もした。(効果が期待されている)抗HIV薬を、本人に了解を得た上で使った。入院5日目に熱が下がり、鼻からの酸素吸入も不要になった。 一方、武漢に滞在していた50代男性は、帰国する機内で悪寒が出て37・1度だった。その後検査で感染が分かり、X線とCTで調べたが、肺に影は見られなかった。入院6日目でも、症状は悪化しなかった。 これまで論文に出ているのは重症例で、私たちがみたような症例はあまり知られていない。今回の症例を見ると、感染すると1週間軽いかぜの症状が出た後、そのまま回復するか、肺炎になるが1週間ほどでよくなる、のいずれかになるようだ。 症状だけで感染を疑うことは難しく、渡航歴や感染者との濃厚接触歴がないとウイルス検査もできない。ポイントは、1週間熱が続くことだと思う。もう少し、この病気のことが分かれば一般の外来でも診察できるだろう。中国では重症例は高齢者が多いとされている。軽症者をみるだけでなく、重症者をどう助けていくかが大事だ。(三上元) |
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前頁記事中の武漢市に滞在歴のある30代女性は、初診から6日目に感染が確認されて入院しそれから5日目にやっと熱が下がったとあるので、38度近い熱は12日間も続いたことになる。高齢者が感染したら重症化するのは必至であり、恐らくそこまで持ち堪えられない。 これは、解熱剤が効かないということなのか?。若しそうであるなら、発熱を伴う風邪として受診した際の処方薬(解熱剤併服用3日目あたり)で熱が下がるようなら、普通の風邪(COVID-19ではない)と考えて良いのだろうか?⇒特異症例は無いのだろうか? インフルエンザで用いるような迅速診断キットが無いのは致命的であり、さらにスーパースプレッダー(人口の約20%だが彼らが感染症の感染源となる割合は約80%に達する)の存在は計り知れない脅威である。 |
【元記事:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200314-00059729-jbpressz-int&p=1】 ついに証明された、新型コロナは空気感染する 2020/3/14(土) 6:01配信 JBpress 3月9日、「やはり」と言わざるを得ない内容の論文が米医学雑誌に掲載された。 内容を端的に述べると、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の空気感染はありうる」というものである。 研究論文を掲載したのは『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』という1812年に創刊された世界で最も権威があると言われる医学誌である。 執筆者は米国立衛生研究所(NIH)やプリンストン大学、米疾病対策予防センター(CDC)などに所属する計13人の研究者で、実際にコロナウイルスを使用して実験を繰り返し、空気感染によって感染は起こりうるとの結論を出している。 同誌に論文が載ること自体、信憑性の高さを示しているが、執筆者は他の研究者によるさらなる検証を促すなど、医学者らしい慎重な姿勢を示している。 これまでコロナウイルスの感染経路は主に接触感染と飛沫感染の2つが挙げられており、空気感染は考えにくいとされてきた。 厚生労働省のホームページでも、「国内の感染状況を見ても、空気感染は起きていないと考えられる」と記されている。 ただ、閉鎖空間や近距離といった環境下であれば、「感染を拡大させるリスクがある」としてきた。 これは厚労省がまだコロナウイルスを使った感染実験による確かなデータを得てないということでもあろう。 空気感染は起きないというのが政府の見解である以上、多くの国民は「空気感染はない」と判断してきたと思われる。 ただ同時に「空気感染もありうる」との思いを、多くの方は心の片隅に抱いてきたかと思う。そのためのマスク着用だったはずだ。 今回の論文によって今後、コロナウイルスへの対策が少し変わる可能性がある。 論文の概要(要旨)の重要部分を翻訳したい。 「生きたコロナウイルスはエアロゾル化後、3時間まで生存することを突きとめた。銅(製物質)の表面では4時間、段ボール上では24時間、プラスチックやステンレス・スチールの上では2、3日の間、同ウイルスは生存していた」 「(中略)我々の研究結果によって、コロナウイルスはエアロゾルと媒介物によって感染しうるということが判明した」 研究論文らしい言葉と表現なので分かりづらいが、主旨は「空気感染はありうる」ということである。 同時に、様々な物質の表面でコロナウイルスは生き続けることも明らかになった。 論文中にエアロゾルという言葉が出てくる。感染の話をする時などに広義として「空気感染」と解釈されるが、正確には気体に浮遊する液体や固体の粒子を指す。 コロナウイルスは基本的には体液の中で生きるが、咳やくしゃみなどによってウイルスが空気中に拡散され、地面に落ちないで空気中に浮遊し続けながら生きることが、今回の実験で分かったのだ。 これが「エアロゾル化後、3時間まで生存する」の意味である。 しかし、空気感染の可能性が示されても、感染力がどれほど強いかは今回の論文では学究的に示されていない。 空気感染については2月8日、中国上海市政府が開いた予防と管理に関する記者会見で上海市民政局副局長の曽群氏が、コロナウイルスの感染経路について「主に直接伝播、エアロゾル伝播、接触伝播によって感染している」と述べた経緯がある。 しかし翌日、中国のWHO(世界保健機関)戦略諮問グループ(SAGE)の感染症専門のメンバーが、「新型ウイルスがエアロゾルによって感染する証拠はない」と否定。 空気感染の可能性は極めて低くなり、日本でも空気感染はしないとの見方が広がった。さらに前出の曽群氏が医師でなかった点も空気感染の信憑性を低いものにした。 だが『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』の論文により、コロナウイルスが空気感染することがほぼ示された。論文ではこうも記されている。 「空気中と物質上でのウイルスは安定しており、ウイルスの感染が直接起こりうる。またウイルス保菌者から他者に感染してからもウイルス粒子は生き続ける」 これまでも接触感染と飛沫感染以外に、空気の流れが淀みがちな閉鎖性の高い空間での空気感染が指摘されてきた。 ただ今回、医学者による学究的な実験によってコロナウイルスの空気感染が証明されたことになる。 もっとも、コロナウイルスの感染性はここまでの状況から判断する限り、麻疹のように免疫のない人が同じ部屋にいたらほとんど感染してしまうほど強くはないと思われる。 ウイルスにはエイズウイルスのように、致死性は高いものの飛沫感染も空気感染もしないタイプもある一方、麻疹のウイルスのように致死性は低いが、感染力が非常に強いタイプもある。 コロナウイルスは麻疹ほどの感染力は確認されていないが、新型ウイルスであるためワクチンの開発には時間がかかるばかりか、特効薬といえる薬剤はまだない。 筆者は米首都ワシントンに居住していた時、エイズウイルスの治療薬を開発した医学者についての書籍を執筆した。 約12年を費やして取材・調査する過程で、ウイルス学や免疫学を紐解いた。 日本のメディアでは同論文の内容がまだ広く報道されていないが、「コロナは空気感染する」ということだけが大々的に報じられないことを祈りたい。 中国では収束に向かいつつあるし、日本でも公共交通機関や公共施設で感染が爆発的に広がっているわけではないので、冷静に対応していただきたいと思う。 ---------------------------------------------------------------------------------------- 新型ウイルスだけに変異も未知数であり、既出情報の鵜呑みや油断は禁物のようです。 |
元記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 Masahiko Okada, MD, PhD 新潟大学名誉教授(医学博士) 新型コロナのエビデンス( https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ )メッセージ2022.3.7 より (2022.3.7) NEW! (8) 病院で行われている標準治療とは 新型コロナウイルスに感染して入院した人が、どのような治療を受けているのかを調べた、という興味深い論文が日本から発表されました。対象となったのは、すでに1,056人もの感染者を収容した実績のある大きな病院1ヵ所で、患者の年齢は平均50歳、男性が63パーセント、女性が37パーセントでした。 使われていた薬は、すべて当ホームページQ4(4)参照⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212#2832 で示したものばかりです。多い順に、デキサメタゾン(ホルモン剤)が18.9パーセント、ロナプリーブ点滴薬(抗体カクテル)が7.8パーセント、そしてアクテラム点滴薬(炎症物質阻害剤)が1.5パーセントの人に、それぞれ使われていました。レムデシビルが使われた人はいませんでした。 論文を書いた医師たちの関心事のひとつは、「抗生物質がどれくらい使われているか」でした。この薬は、細菌感染に使われるもので、コロナのようなウイルス感染に対する直接的な効果はありません。調査の結果、同病院に搬送されてくる前からすでに抗生物質が使われていた人が9.9パーセントだったのに対して、入院後は1.7パーセントに留まっていることがわかりました。ウイルス感染と同時に細菌感染が起こることもありえますから、抗生物質の使用が必ずしも間違いと言えませんが、この点でも適切な判断がなされていたようです。 この病院では、最新のエビデンスに従った適切な薬剤選択がなされていたことになります。あくまで特定の病院内での調査結果であり、ほかの医療機関でどのような治療がなされているのかはわかりません。全国どこでも賢明な選択が行われていることを願うばかりです。 【参考文献】 1) Komagamine J, et al., Evaluation of antimicrobial drug use and concurrent infections during hospitalization of patients with COVID-19 in Japan. JAMA Network Open, Feb 18, 2022. |