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39 刑法第三十九条
森田芳光 投稿日:2022年08月28日 14:06 No.987



39 刑法第三十九条(邦画) 1999年 邦画年間興行収入ランキング6 ランク外   *邦画ランキングは興行収入10億円以上

刑法第三十九条・・・心神耗弱もしくは心神喪失の場合は罪に問わない

殺人容疑で逮捕された犯人・柴田真樹には、事件当時の記憶がない。やがて裁判が始まると弁護側は心神喪失を主張、精神鑑定により、被告人が多重人格と認定される。ところが鑑定を行った教授の助手・小川香深は、被告人の精神障害は詐病と直感し、独自の調査で柴田の内面に迫って行くが……

監督 森田芳光 代表作 『の・ようなもの』『家族ゲーム』『間宮兄弟』
脚本 大森寿美男 代表作 『黒い家』『星になった少年』『悼む人』
音楽 佐橋俊彦 代表作 『ときめきメモリアル』『劇場版 仮面ライダー シリーズ』『プリンセス トヨトミ』
主演  鈴木京香(香深) 代表作 『愛と平成の色男』『ラヂオの時間』『血と骨』
原作 永井泰宇 『39〜刑法第三十九条〜』

上映時間 133分


登場人物

小川香深: 精神鑑定人藤代実行の助手。

柴田真樹: 劇団員で、殺人容疑者。(堤真一) 代表作 『ポストマン・ブルース』『ALWAYS 三丁目の夕日 シリーズ』

長村時雨: 国選弁護士。(樹木希林) 代表作 『夢千代日記』『命』『あん』
草間道彦: 検事。(江守徹) 代表作 『社葬』『マルタイの女』『陽はまた昇る』

藤代実行: 精神科教授。(杉浦直樹) 代表作 『ときめきに死す』

名越文雄: 事件担当刑事。(岸部一徳) 代表作 『吉原炎上』『鮫肌男と桃尻女』『ハッピーフライト』



【起】
ある集合住宅で、若い夫婦の畑田修と妊娠していた恵がナイフでめった刺しにされ、殺されると言う事件が起きた。

現場には劇団員で一人芝居を公演している柴田真樹の公演チケットが落ちていたことから捜査は進み。事件を担当した名越文雄刑事と中村刑事は、公演中の舞台に乗りこみ、柴田を容疑者として逮捕する。

取調室で柴田は、たぶん自分がやりましたと自白する。

国選弁護人として柴田の弁護を任命された長村時雨は、柴田が取り調べで自分を死刑にしてくださいと言ったことに触れ、死刑は人間のする裁きではないから、一緒に頑張りましょうと柴田を励ました。

そもそも動機は何なのかと尋ねる長村に、柴田は人が変わったように白目をむき、動機なんかねーよと笑った。

【承】
柴田の公判が始まった。検察官の草間道彦が起訴状を読み上げる。

柴田の犯行は劇団の打ち上げに行った居酒屋でのトラブルから始まっていた。被害者の恵がその店で働いており、そこで恵と言い合いになった柴田は帰宅する恵を尾行し、部屋に上がり込み夫の修もろとも刺し殺したという事になっていた。

起訴状の読み上げが終わり、裁判官が内容に間違いがないかと柴田に訪ねると、柴田はまるで人が変わったように意味不明のことをまくしたて始める。

長村はそれを見て被告人の司法精神鑑定請求を裁判長に申し入れた。

刑法第三十九条に、「一、心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス」 ‟「一、心神耗弱者ノ行為ハ其刑ヲ減軽ス」との条文があるが、長村は柴田がこれにあたるのではないかと考えたのだった。

柴田の精神鑑定は精神医学者の藤代実行に依頼され、藤代は助手の小川香深を連れて拘置所を訪れ、柴田と面会する。

藤代は、柴田の子供の頃のことや父親との関係を聞き終えると、病院で脳の検査を行いさらに心理検査を行った。柴田は誠実に検査に取り組み、その結果は偏差値62と平均より高い結ものだった。

藤代と香深は柴田が所属していた劇団にも柴田のことを訪ねに来た。

劇団員の野上頼子は、柴田が初めて見た演劇の帰り道で、主人公がしゃべるセリフをすらすら復唱して見せたことを話した。

柴田は犯行当日とその翌日も、証言台というタイトルの一人芝居で舞台に立っていた。

劇は同胞の肉を食べた軍人が審判にかけられるというもので、柴田はこれを演じながら舞台の上で吐いてしまっていた。香深は、これは心的外傷に対するてんかん反応とも考えられ、あの事件と舞台はどこかで繋がっているのかと柴田に聞いた。香深が芝居のセリフをしゃべりだすと柴田は体を震わせはじめ、いきなり香深に襲いかかった。その姿はさっきまでの大人しい柴田ではなく、白目をむいて性格が入れ替わった柴田だった。藤代と香深はこの性格の柴田に会いたかったのだ。

あの夫婦を殺したのは柴田真樹ですねと声を震わせ聞く香深に、柴田はあのバカにそんな度胸があるわけねーだろうが。やったのはこの俺さと応え、奴を殺して俺を自由にしろと迫った。その時はあなたも死ぬんですよと香深が言うと、柴田は憤り香深の首を絞めたが、徐々に元の柴田に戻り首から手を離した。

柴田はもう一人の好戦的な自分を「カモメ」と呼んでいた。


香深は新潟に柴田が育った土地を訪ねた。土地の人に当時の柴田家族のことを聞くと、柴田の母親は東京の男と駆け落ちして、父親は酒浸りになり柴田はその父親から砂浜に首まで埋められ棒で殴られるなどの虐待を受けていた事がわかる。

公判が再会された。精神鑑定にあったった藤代は柴田を解離性同一性障害(多重人格)と判定し、医者と多重人格者が交わす契約書を示し、被告人とその交代人格から署名の文字の筆跡が全く違うことを指摘して、犯行当時の柴田は左利きの交代人格となっており心神喪失状態であったと主張する。

しかし香深は藤代の鑑定は間違っていると思い、検察官の草間に恐らく柴田は病気のふりをしているだけの詐病だから、起訴を取り下げないようお願いした。

香深は鑑定の最中に柴田の交代人格から首を絞められていたが、あれだけ猟奇的な殺人を犯した交代人格から、殺意が感じられなかったのだ。

香深は検察からの依頼で柴田の再鑑定を行うことになり、事件を担当した名越刑事と草間の事務室で会った。何か動機があったはずという香深に、名越が教えてくれたのは、被害者の畑田修は15歳の時、愛知県の犬山で少女を強姦し、残忍な方法で殺し捕まったが、家庭裁判所で心神喪失状態にあったと判定され、無罪になっていたということだった。

ただそれと柴田をつなぐ線は現れなかったと言って名越は部屋を出て行った。

【転】
香深は愛知県犬山へやってきた。地元の警察で畑田修の事件について調べた香深は、被害者が工藤温子といい、中学生になるその兄の工藤啓輔が第一発見者だったと聞いて中学校を訪ねた。

更にそこで一緒になった名越刑事と工藤啓補を北九州の門司に訪ねた。

啓補はそこで妻実可子と暮らしていた。啓補は事件のことはもう思い出したくないという。

香深と名越はさらに、今はもう亡くなっている柴田の父親である利光の足取りを追い、ホームレスの手塚にたどり着く。

そしてホームレスの利光のもとに柴田がよく通ってきていたことを知る。さらに利光が「息子が生きていた」と喜んでいたということを確認し、二人は柴田と工藤啓補が本物なのかどうか疑いを深める。

公判で香深は再鑑定の結果を演劇的健忘と判定した。

名越は再び啓補を門司のアパートに訪ねたが、二人は消えていた。名越は大家に説明し部屋に入ると、押し入れの中から沢山の精神医学書を発見する。

公判では草間が、柴田の公開精神鑑定をここで行い、裁判長の目で見たことを証拠として申請するという。長村は人権侵害だと反対するが、柴田はそれを受け入れ裁判長も了承した。

そんなある日、いきなり香深の前に工藤啓補が現れ、実可子が書いたという1冊のノートを差し出した。「僕は工藤啓補ではない。実可子は工藤啓補を愛しています、柴田真樹を。実可子を助けてやってください」と何度も頭を下げ去って行った。

事件は柴田がシナリオを描いて準備したものだった。ノートを渡しに来た工藤啓補は、実は砂岡明という全くの別人で、柴田こそが畑田修に妹を殺された工藤啓補だったのだ。

本当の工藤は自分の戸籍を砂岡に与え、自分は柴田真樹の戸籍を買っていた。また恋人の実可子を砂岡に差し出し、砂岡と結婚させた。

ノートにはその筋書きの一部始終が書かれていたのだった。

【結】
公開判定が始まり、香深と柴田は対峙した。

香深は鑑定が終わるまでこの封筒を開けないようにと念を押して、裁判長と検察、弁護人に一通の封筒を渡した。

香深はその手紙に自分が書いたシナリオ通りに鑑定を進め、そうとは知らない柴田は、香深が書いた受け答えの模範解答通りに応えていった。

その問答がおかしいと気が付き、追い詰められた柴田は、カモメの人格に入れ替わったフリをして香深の喉元に万年筆を突き付けた。だが万年筆を持つ柴田の手は右手だった。

私を殺しなさいと香深は言うが、柴田はそれができず万年筆を落とし、警備員に連行された。

香深は、自分を刺し殺せなかったことから、柴田は人を殺せるような人間ではなく、罪を躊躇するこのできる優しい人間だと訴えた。また万年筆を右手で持ったことから解離性同一障害は詐病で、犯行時完全責任能力があったと鑑定した。

柴田の回想によると、事件当日ナイフを携えて畑田修を襲いに行った柴田は、すでに恵は修によって刺し殺されており、襲い掛かってきた修を逆に首を絞め殺した後ナイフを突き刺していたのだった。

香深は「精神鑑定は綿密なデータと知識に支えられていますが、所詮、精神鑑定人の主観に過ぎないのです。精神鑑定の結果、刑法第39条の下に被告人を無罪にしてしまうことは、被告人の人権を守ることではなく、逆に奪うことではないでしょうか」と裁判長に訴えるが却下されてしまう。

すると、柴田は立ち上がり「小川香深、あなたの登場は予定外でした。予定外の共犯者でした。心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス…僕が凶器を突き刺したかったのは刑法第39条、この理不尽な法律に対してだ。裁判長、僕は工藤啓輔です」と白状した。

裁判は草間の申し出により、被告人の起訴事実に関して戸籍や犯罪事実に齟齬があるため、起訴状を訂正し改めて審議をするが認められ、改めて柴田は工藤啓輔として裁かれることになった。

一部始終を傍聴していた藤代は背中を丸めて法廷から出て行った。

最後に香深は、「被告人・工藤啓輔。この法廷から刑法第39条が消えて、彼はようやく一人の人間になった。現在も審理中である。長い裁判になるだろう」とレポート用紙に記した。

The End_hmhm


みんなの評価 3.7/5.0

最高 (^0^)

よく考えられたストーリー、設定、演出、雰囲気…
最近の金かけた映画は叶いませんね。
映像が古くても楽しめる映画の一つです。

最低 ( ` 3´)

観客の頭を混乱させるために作られた前衛音楽みたいな映画
本当にこの映画を見てほしいと監督は思って作ったのだろうか




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