前期10勝を挙げて、通算1000勝までマジック8とし、今期中にも大台達成の可能性が高まった 桐山だったのですが、今期はまだ13戦白星なしと苦しんでいます(11月23日現在)。 肝心の順位戦も当然全敗で、まだ5局残っているとはいえ、順位とほかの棋士の成績から考えると、 3勝では降級点回避はかなり微妙で、今期の降級点は避けられそうにない感じです。 もし今年度このまま全敗で降級点を取ってしまったとしたら、引退へのリーチがかかった来年が 相当苦しくなります。桐山自身は、1000勝をモチベーションに頑張っているらしいので、 何とか目標を達成して有終の美を飾ってほしいものです。 桐山の次に1000勝を達成しそうな900勝台は2人。まずは今期なかなか好調の森下が、 14勝(5敗)と順調に勝ち星を積み重ねて通算923勝、このままいけば何とか還暦前後には 「タイトル獲得経験なしで通算1000勝」という珍記録を達成できそうです。次の森内(907勝)は、 本来なら森下より先に1000勝に到達してもおかしくないのですが、フリークラスになってしまったため、 年間の対局数が減ってしまうのがマイナス条件。それでもさすがに1000勝には到達するとは 思うのですが、昨年度はわずか6勝、今年もまだ3勝しかしていないのは不安材料です。 大山以降の永世名人はすべて1000勝を達成しているので、森内にも何とか達成してもらいたいものです。 さらに,現実的に1000勝が射程に入る800勝台は、丸山(882勝)、郷田(864勝)、高橋(844勝)、 深浦(821勝)、南(810勝)、島(806勝)の6人です(いずれも11月23日現在)。 果たしてこの中から何人が通算1000勝まで到達できるでしょうか。丸山・郷田・深浦の、 広い意味での羽生世代はおそらく大丈夫だと思いますが、55年組は、有吉や加藤のように 最後の最後まで指したとしても高橋がちょっと微妙、南・島は厳しそうに思います。 15年後、高橋は今の桐山みたいな感じになっているかもしれません。 |
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通算800勝以上を達成している棋士は現在21人。一番若い棋士番号が318であるので、およそ15人に1人の 割合となります。21人の実績を順位戦A級在位とタイトル戦登場回数で見てみると、全員がA級在位6期以上、 タイトル戦出場4回以上を記録しています。ただし、A級在位1期、タイトル戦出場1回(獲得0)、 通算791勝の阿部8段が到達すれば一気にハードルが下がります(笑)。そして阿部8段は 「通算800勝達成時に8段」である初めての棋士になります。 なぜなら800勝もするような棋士なら大抵通算550勝未満の段階でタイトル獲得や順位戦A級昇級で8段に なっており、そこからさらなるタイトルの積み重ねや勝数規定(8段昇段より250勝)で、800勝到達時には 9段になっています。ところが阿部8段は5段から8段までの昇段をすべて勝数規定でクリアしてきたため、 8段昇段時に通算560勝であり(8段昇段後にA級昇級)、800勝達成時には勝数規定に10勝たりないからです。 もっともその後たりない分を積み重ねれば、「5段から9段まで全て勝数規定で昇段」した初めての棋士となる わけで、これはこれでかなりの珍記録かもしれません。ちなみに阿部8段同様に勝数規定のみで8段まで昇段 している棋士は他に7人います。 阿部8段以外で通算800勝をうかがえる700勝台の棋士は、勝数の多い順に田中9段(784)、屋敷9段(779)、中村9段(777)、青野9段(768)、塚田9段(748)、中田宏樹8段(747)、久保9段(745)、 井上9段(730)の8人です。この中で中村9段が達成すれば、A級在位経験のない(タイトル戦出場5回・ 獲得2期)棋士として初めてとなり、井上9段が達成すれば、こちらはタイトル戦経験のない(A級在位3期) 棋士としては初めてとなります。そして中田8段が達成すれば、A級在位もタイトル獲得もない(出場1回) 棋士として初めてとなります。ちなみに中田8段は阿部8段同様、5段から8段まですべてを勝数規定で 昇段しています。さらに青野9段が達成すれば初めて800勝達成時に通算勝率が5割を切っている棋士 (現在802敗)となります。ちなみに通算800勝以上で負け越しが確定している棋士は、引退した 森9段のみです(ただし、800勝到達時には勝ち越していた)。 最後に「A級在位も、タイトル戦出場もない」まま通算800勝に到達する棋士が現れるかどうかですが、 最もその可能性が高いのは通算684勝の中川8段です。現在順位戦はB2級で、まだ50歳なので到達可能性は 十分ありそうですが、以前雑誌のインタビューで「闘志がなくなったらおしまい。負けた夜にぐっすり 眠れるようになったら引退する」と述べているので、あまりそうした記録には執着はなさそうな気がします。 是非とも最後まで闘志を失わず、燃え尽きるまで戦って通算800勝を達成してもらいたいものです。 中川8段に続くのは日浦8段(669)ですが、順位戦のリーグ(C1級・降級点1)や年齢から中川8段より やや厳しい状況と思われます。その他に条件に当てはまる600勝台は土佐8段(665)・脇8段(640)・ 泉8段(613)ですが、いずれもフリークラスで引退が近いため無理です。なお、各棋士の通算勝利数や タイトル出場回数は2019年7月19日現在のものです。 |
阿部8段が森下9段についで、「タイトル獲得歴なし」で通算800勝を達成した。 阿部8段は羽生9段(この呼び方にはかなり違和感があるな)と順位戦デビューが 同期だが(4段昇段は阿部8段の方が半年早い)、羽生9段があっという間に A級まで上り詰め、タイトルも次々と獲得していったのに対し,阿部8段は 20年の歳月をかけて2006年にA級にようやくたどり着いた。 現時点では、現役棋士の中で4段昇段後A級への初昇級までかかった期間が 屋敷9段(22年)についで長い棋士である(屋敷9段はC2級を1期で抜け、 さらにその後すぐにタイトルを最年少で獲得したのにもかかわらずC1級に14年も滞留し, それが『将棋界の7不思議』の一つに数えられていた)。 もともとデビュー当時から筋に明るい本格居飛車党としての評価は高かったし、 1996年度には年間最多勝(47勝)も記録しているほどの実力者なので、実力の割に 順位戦での昇級スピードが伴わなかった代表的な棋士といっていいかもしれない。 通算1000勝はさすがにちょっと厳しい気もするが、自分と同学年の棋士(笑)の 出世頭として頑張ってほしいなあ。 |
このトピを最初に立ててから2年4ヶ月が経ちました。 通算1000勝をめぐる現状は,桐山9段が3勝を積み重ねて995勝(今期1勝2敗)とし, 残り5勝まで迫っていますが,次の竜王戦5組残留者決定戦に敗れれば即引退ですし, たとえ勝てたとしても桐山9段の現状を考えると,来年度1期限りの竜王戦での大台達成は 至難と言わざるをえません。続く森下9段は33勝を積み重ねて通算956勝(今期18勝15敗)。 将棋連盟のHPの成績欄で,今月に入って急に勝ち星が増えたと思ったらNHK杯の予選で3連勝して 本選出場を決めていました。残り50勝を切り,大台に向けて着実に歩を進めている感じです。 続いて丸山9段が59勝を積み重ねて通算941勝(今期20勝20敗)。森下9段との15勝差は十分 射程範囲内で,大台達成までには逆転する可能性はありそうです。さらに森内9段が24勝を加えて 931勝(今期12勝9敗)で続きます。順位戦に参加していないため勝ち数がやや伸び悩んで丸山9段に 逆転を許したものの,フリークラス引退規定年までは10年以上あるので,大台達成にはまだいくぶん 余裕があります。そして郷田9段が41勝を積み重ねて905勝(今期11勝14敗)まで星を伸ばし, 現在900勝台は以上の5人です。 それにしても先に大台を達成している羽生9段・佐藤(康)9段に加えて丸山9段・森内9段・ 郷田9段って…,羽生世代は一体どれだけの勝ち星を荒稼ぎすれば気がすむのでしょうか(苦笑)。 ましてこの次に1000勝の可能性が高いのは広い意味での羽生世代にあたる深浦9段の 863勝(今期12勝19敗)ですしねえ… |
「羽生世代」という場合、一般に、1学年上の康光先生は入れても 1学年下の屋敷先生や深浦先生を入れなことが多い。 あれは一体何でなんでしょうね。 http://kishibetsu.com/age1.html |
2017年度に10勝を挙げてマジック8にした時点では、まさか大台に届かず引退に追い込まれるとは 思っていませんでした。それから4年でわずか4勝(47敗)とは、勝負の世界は厳しいですね。 それを考えると、引退確定後にNHK杯出場を決めるなど、棋士人生ラスト10局を自身の生涯勝率を 超える6勝4敗で乗り切った有吉九段は驚異的です。 桐山九段のリタイヤを受けて、1000勝到達レースに目を転じると、昨年度28勝を積み上げ、 順位戦もB1級復帰を果たした丸山九段が969勝でトップに立つ一方、それとは対照的に 昨年度わずかに6勝、C2級に陥落した(orz…)森下九段が963勝で2番手に後退しました。 そしてフリークラスながら昨年度18勝の森内九段が949勝で3番手、同じく21勝の郷田九段が 926勝で続き、以上の4人が現在通算900勝台です。 競馬中継風(笑)に言うなら、最後の直線で剛脚を繰り出した丸山九段が逃げ粘る森下九段を 並ぶ間もなくかわしてトップに立ち、逆に急激に脚色が鈍った森下九段の内をついた森内九段が 差し脚を伸ばしてジリジリと詰め寄り、郷田九段は大外から直線一気を狙う展開といった ところでしょうか。丸山九段のアタマはほぼ堅そうですが、2・3番手争いはまだまだわかりません。 ちなみに、これまで通算1000勝以上を達成した9人中8人は通算800勝達成時の勝率が6割を 超えており、これが大台到達の一つの目安になっています。上記の4人はそれをクリアしており (桐山九段は6割を切っていた)、また現時点で通算800勝台の棋士でこの条件をクリアしているのは、 深浦九段(800勝達成時勝率0.636)、久保九段(同0.607)、屋敷九段(同0.602)の3人です。 果たしてこの7人全員が通算1000勝に到達できるかどうかは興味深いところです。 なお、9人中「8人」なので当然1人だけ例外がいるわけですが、それは前述した有吉九段のことで、 800勝達成時の勝率は0.583(573敗)でした。そこから引退まで288勝(429敗)を積み上げたというのも すごいのですが、実は有吉九段は通算600勝達成時にすでに勝率6割を切っていたというからさらに 驚きで、そんな状況から大台超えに到達する棋士なんて今後は現れないんじゃないかと思います。 |
丸山九段が通算1000勝を達成。米長永世棋聖に次ぐ佐瀬門下2人目の大台突破です。 きっと永世十一冠同期さんは記念扇子を入手するのでしょうね(苦笑)。 このトピを立てた5年ほど前は、桐山九段(992勝)、森下九段(923勝)、 森内九段(907勝)につぐ計882勝で4番手だったのですが、この5年で120勝近くを積み上げ、 一気に3人を差し切って(桐山九段は途中リタイヤだが)、10人目の大台突破です。 突破直前には銀河戦で藤井八冠も破っているようですし、ますます意気軒昂ですね。 丸山九段の達成を受けて次に目を向けると、900勝台は以下の4人。 森下九段(986勝・今期6勝11敗、12月12日現在。以下同様) 森内九段(973勝・今期10勝8敗) 郷田九段(953勝・今期14勝12敗) 深浦九段(912勝・今期17勝7敗) 森下九段は今期苦戦していますが、全6勝中4勝を順位戦に集中させているため、 所属するC2級で降級点を取る心配がほとんどなくなっており、最低でもあと3期(今期を含めず) 順位戦が指せる間中に何とか大台に届きそうです。森内九段はフリークラスのため対局数自体が 少なくないながらも確実に上乗せしてきており、まだフリークラス引退規定年まで10年以上は あるため大台突破はほぼ確実。ただこの5年で森下九段との差は3勝しか詰まっておらず、 大台突破の先陣争いは森下九段が有利でしょうか。 郷田九段はここ5年で90勝近く上げて怒涛の追い込みをかけていますが、先行する2人には ちょっと届かないかもしれません。深浦九段は今期勝率7割越えと好調。兄弟子に続いての 大台突破となれば、先述した佐瀬門下同様、花村門下からも2人の大台突破達成者となります。 この4人はよほどのことがない限り大台は突破の可能性は高そうですが、それにしても、 羽生世代おそるべし、ですね。 4人に次ぐ800勝台には高橋(895勝)・島(855勝)・南(844勝)・中村(824勝)各九段らの いわゆる55年組の名前が並んでいますが、年齢的に大台突破は厳しそうです。 むしろ久保(838勝)・屋敷(828勝)各九段の方が可能性は高そうですが、そこまでいくと 渡辺九段(745勝)が一気にまくってくる可能性もありそうです。まあ個人的には同学年にあたる 阿部九段(855勝)に頑張ってもらいたいのですが、さすがに厳しいですよねえ。 |