|
4日には2人目のCOVID-19感染陽性確認者が出ています。居住区は非公表のため、そこいら中が危ないと思うしかありません。こうして市中感染が起きるのかも知れません。(行動抑制力や注意力や集中力が希釈されてしまうため。) 休園や休校も4月19日まで延長されました。今年のピカピカの一年生や中一生には実に儚い記憶となってしまうことが可哀そうでなりません。 長泉町は県内トップクラス?の「お達者度」だと聞いています。健康寿命が長い高齢者の方々に(もちろん若い世代の方々にもですが)感染が大きく拡がらないことを願っています。各世代とも、「お達死度」だけはゼロになるようにお互いに踏ん張りましょう。 |
【元記事:https://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/755874.html】 長泉町で新たに未就園児が感染 新型コロナ (2020/4/10 16:01) 長泉町で新たに未就園児が新型コロナウイルスに感染したことが10日、関係者への取材で分かった。県内の感染者は計37人となった。 ・感染者数市町別内訳・マップ 静岡県内【新型コロナウイルス】:https://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/752659.html ・静岡県内の陽性患者一覧、記事リンク【新型コロナウイルス】:https://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/753667.html |
新型コロナウイルス感染症患者数(国内)は、 2020年 (A)3月11日: 634人(1) (B)3月26日: 1,401人(2.21)[1] (C)4月10日: 6,184人(9.75)[4.41] となっています。 仮りにサイクルを7.5日とした場合の再生産数は、 (A)→(B):1.49人 (A)→(C):1.77人 (B)→(C):2.10人 今回の7都府県緊急事態宣言では、1か月間、接触80%削減が目標値ですが、これは、専門家会議の中での綿密な計算により実効再生産数を2.5人と確定した上で出された期間と目標値だそうです。(2.5人 × 20% = 0.5人(以下)にすることで、診断されていない人も含めて感染者が100人まで戻るまでは15日間、それに感染から発病、診断など目に見えるまでの時間が15日加わり、計1か月間とのことです。) もし65%だったら、感染者の数が減るまでに90日かかり、プラス15日で計105日間かかるそうです。 ■詳しくは、「このままでは8割減できない」 「8割おじさん」こと西浦博教授が、コロナ拡大阻止でこの数字にこだわる理由:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200411-00010003-bfj-soci にアップされています。 |
【元記事:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200411-00010003-bfj-soci&p=1】 「このままでは8割減できない」 「8割おじさん」こと西浦博教授が、コロナ拡大阻止でこの数字にこだわる理由 4/11(土) 12:12配信 緊急事態宣言が7都府県に発出され、ますます厳しい外出・行動制限が求められている。 人との接触を8割減らすことが流行を収めるために必要だーー。 これまでの全国の感染データを分析してきた厚生労働省のクラスター対策班の北海道大学社会医学分野教授、西浦博さんはそう示してきた。 ところが緊急事態宣言を出す際の4月7日の会見で安倍晋三首相は、「7割から8割削減を目指し、外出自粛をお願いいたします」と話し、「接触7~8割削減」を見出しにとる報道も見られる。「6割でも良かった」という誤解も広がっている。 西浦さんはTwitterで「8割おじさん」を名乗り、「8割は絶対必要」などと再び強調している。 なぜこのように様々な数字が出てきているのか、そして8割減の根拠は何なのか。BuzzFeed Japan Medicalは西浦さんに取材した。 ※インタビューは4月10日夕方に行い、その時点の情報に基づいている。 【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子、千葉雄登】 なぜ数字がばらけているのか? ーー西浦先生は8割減と最初からおっしゃっていましたが、安倍首相は緊急事態宣言を出す時の4月7日の会見で「7割から8割削減」を目標として語っていました。この数字が報道もされ、「6割でも良かったのか」という誤解も広がっています。 8割減というのは3月の初めから私が主張し続けている数字です。厚労省の内部でも、「接触を断つことで感染の流行は止まるんですよ」と話していました。 2月末に北海道で(道独自の)緊急事態宣言がありました。3月にその評価をしている時に、東京の人も外出する人が減り始めました。 JRの利用率が3割減とか、帝国ホテルの利用率が何%減、という話を聞いて、「これでは足りないのです」と大臣室で訴えた記憶が鮮明にあります。 「何%減らないといけないの?」と聞かれて、「計算上は明確に8割減なんです」と伝えた時に、苦笑いされました。みなさんその当時は、人口全体で行動を止めないと流行の制御は難しいということを想定していなかったのです。 そうでない方法で流行対策をしようとしていたので、経済も動いている中で、8割減をすぐにやるべきだという雰囲気では全くない反応でしたね。 そうは言っても私がやるべきことは、科学的に正しい対策です。もちろん「社会医学」なので、社会との関わりは考えなくてはいけない。その中でも、8割減が必要だということは一貫して伝えてきました。 8割減の根拠は? ーー改めて、「8割減」という目標の根拠を教えてください。新型コロナクラスター対策専門家のTwitterでの、「欧米の例を参考に導き出すと6割です」という言葉が一人歩きしています。なぜこれに2割上乗せして8割なのでしょうか。新型コロナクラスター対策専門家のTwitterで、「行動制限する人の割合を、欧米の例を参考に導き出すと6割です」という言葉も出しています。 1人当たりが生み出す二次感染者数というのは、欧州では平均で2~3人と言われています。これを再生産数と言います。この数が1を割ると、流行が収まっていきます。 2~3人感染者を生み出すような接触のうち、平均50~67%ぐらい以上が削減されると、再生産数が1を割るというのが単純計算になります。2の時は50%以上、3の時は67%以上を削減する必要があります。 しかし、日本では今の流行対策で接触を制限するのは、強制ではなく、要請ベースで行われています。 例えば昨日、ホテルに帰るために新橋を歩いていたら、マスクをつけたベンチコートをきた女性が、「ガールズバーいかがですか?」と声をかけてくれるんです。ああ開いているんだなと思いました。 その横の女性は、携帯電話でおそらく常連さんに「今日ちょっと空いてるんだけど来てくれる?」と言っていたのを通りすがりで聞きました。 ああ、一番感染が起きていそうな場所がなかなか閉められないのだなと肌で感じたのです。 どれだけ制限を求めても、介入しきれないところがあるのです。医療機関はもちろん続けてもらわないといけませんし、性風俗などで止められないところがどうしても存在します。 仮に風営法で止められたとしても、性的接触が止まらないところはたくさんある。人の行動に介入するのは、一つの数式の計算だけではカバーできません。 そういうことを加味して、二次感染が起こる再生産数をもっと詳しく検討していたんです。医療従事者同士で感染が起こる確率、医療従事者から他の業界の人に感染が起きる確率、風俗の女性から別の人に感染が起こる確率などです。 数学的には職業別の感染しやすさを並べていくようなイメージですね ーーそんな細かい計算があったのですね。大雑把に2割上乗せ、というものではなかったのですね。 みなさんの行動をこの数値を元に止めないといけないので、正確に積み上げた数値です。 背後ではもう少し詳しい再生産数のデータを作っています。医療と性風俗には残念ながら介入ができないと仮定して、一般の人口でそれを補填して、二次感染の平均値を1より下げるにはどれぐらい必要か見て、正確に言うと79%という数字が算出されました。 こういうのを「伝播の異質性」というのですが、人は社会で同じようには振る舞わないのです。一般企業の人も、個々人で同じ仕事をしていても、友達の多さや交流の活発度は違います。 それを加味したデータを作って、その基本再生産数が2.5になるように計算して8割となったわけです。 翻って言うと、制御できない業界を除く接触が8割未満だと流行の制御は難しいかもしれません。 なので、この8割減少は折れてはいけない数字なんです。 なぜ安倍首相は「7~8割減少」? 水面下でのせめぎ合い ーーそれなのに、なぜ国民が一番注目するであろう、安倍首相の緊急事態宣言の時の会見という場で、「7~8割減少」という数字が出てきたのですか? おそらく政治家の人たちの中で、この感染症のリスクがそんなに高く認識されていないのだと思います。 8割という数字を出した時に、明確に「8割はできるわけない」とおっしゃった政治家がいました。政治家の立場上、国の経済を止めるわけにはいきませんし、接触の削減で割を食う業界を支えないといけないという責任を負っているからだと理解しています。 一方、我々科学者がこういう数字を提示しないといけないのは、自分たちが認識している流行のリスクは、いますぐ止めなくてはいけないという危機的なものだからです。社会活動を制限することで受ける損失をはるかに超えるという思いがあります。 8割が理論的には正しいので、それを目標としてくださいと伝える過程には、簡単ではないせめぎ合いがありました。 大臣や緊急事態宣言を担当される部署から、「6割はだめですか?」「それでダメなら7割ではどうですか?」という値切るような聞き方をされました。 それは恥ずかしい話ではないと思います。政治として経済を回さないとならず、8割だったら人の動きが止まるということを踏まえれば、痛みを減らしたいというのは、それぞれの業界からの思いを両肩に背負ってのことでしょう。 ただ、科学の立場にたつ自分からは、8割でないとだめで、7割でも二次感染は減少するかもしれないが、達成まではすごく時間がかかりますと伝えました。 80%だったら診断されていない人も含めて感染者が100 人まで戻るまでは15日間、それに感染から発病、診断など目に見えるまでの時間が15日加わり、1か月間だという話をしました。 それが、もし65パーセントだったら、感染者の数が減るまでに90日かかります。90日プラス15で105日かかるんです。あまりにも長くかかる。 このかかる期間と不便を天秤にかけると、痛みを伴うような接触の削減をした方が短期で済みますということは厚労大臣はもとより、安倍首相へのレクチャーでも出してもらったのです。 緊急事態宣言当日 諮問委員会で差し替えられた資料 ーーそれなのに、なぜ7~8割になったのでしょうね。 政治家の間では8割減は受け入れがたいとずっと言われていて、私が何回も「いいえ、8割です」と突っぱねても、その日の結論では「またどんどん考えていこう」と返されて終わるということが続いていました。 それは仕方ないことです。政治の世界でも調整する必要があるのでしょう。 実際に緊急自体宣言が出される4月7日の朝、この件に関して政府から宣言を諮問される諮問委員会の尾身茂会長と、やはり委員会に入っている東北大の押谷仁先生から、それぞれものすごく早い時間に私に電話がかかってきました。 押谷先生からは朝6時ぐらいに、「8割おじさんですか?」と電話がかかってきて、「今日揉めると思うけれど、8割おじさんの願いをどこまで叶えればいいのか先に相談したくて」と話を聞いてくれました。押谷先生が「8割おじさん」の名付け親なんです。 それで、「科学的にはここは譲れないんだね」と最終確認してくれて、「どこまで頑張れるかわからないけれども、8割おじさんの願いが叶うように精一杯やってみよう」と言ってくれました。 不思議なことに「基本再生産数が2.5として、医療機関や性風俗のことを考えると、80%減でないと2週間で減らない」というシミュレーションの資料を作っていたのですが、私の知らないところで諮問委員会の資料の数値が書き換えられていたのです。 基本再生産数が2.0と、私が作った資料より感染力を低く見積もっての数字になっていたので、「これで大丈夫なのか?」という問い合わせを事前に尾身先生からいただきました。 もし、この資料が表に出たならば、僕は自分で「あくまでも8割であり、こういうシミュレーションを僕は出していない」と話そうと覚悟していました。 資料として議論の場には出ていたそうです。最初は目標値は出さないという話になったそうですが、目標値がないといけないということで相談し、政治家のみなさんの判断で、「少なくとも7割、できれば8割」という最終の数値が出てきたのは、そうしたせめぎ合いの結果です。 ーーそれには納得はしていないのですか? ゴールを8割に設定してもらったことは評価しています。数理モデルの数値が政策として通ることは、今までの感染症対策の歴史上はなかったことです。 ちゃんとエビデンスに基づいて、数理モデルによる数値計算を飲んでくれて、閉鎖期間や目標値が設定された。 発表を聞いた直後は、これで8割削減をどのように実現していくのか、コミュニケーションをしっかりやっていこうと前向きに受け止めていました。 しかし、広がる誤解 ーーしかし、SNSでは「なんだ6割でいいのか」という声も聞かれたりなど、誤解が広がっていますね。 社会的な注目を浴びる責任ある仕事をしている中ではありますが、Twitterを楽しくやっています。そうすると、ありがたいことに、「こんな話があったぞ」「このデータはあなたの考えではないよね」と問い合わせや確認の連絡が届くようになりました。 なぜそんな嘘が出回っているのだろうと考えた時に、背後にどういう人がこういう仕掛けをしているか、罠のようなものまで見えてきたのです。そこで、自分で打ち消す発信を始めました。 人との接触が6割、7割減少でいいなんて、少なくとも私は言ったことがありません。 「すぐ休業補償をしてハイリスクの場所を閉じることはすぐやってください」ということもずっと言っています。 モーニングショーのコメンテーターが、休業要請を2週間程度見送るように7都府県知事に打診した西村康稔経済再生担当相から聞いた話として、まるで私が、休業補償を遅らせていいように専門家として助言したかのようなコメントをしたこともあります。 放置していたら私のせいにされたと思うと、危険を感じます。 別の新聞報道では私が「厳密には6割」と言ったかのような見出しがつけられていました。 コミュニケーションは難しいです。 数値の話はメディアにデータを正確に提示してきちんとコミュニケーションすれば、おかしな方向にはならなそうです。 でも、何者かが専門家に責任を押し付けようとしていたり、自分の意図とは違う報道がなされたりすると、肝を冷やすことがあります。 東京都の制限は評価できる? ーー東京都は今日(4月10日)会見して、西浦先生の名前をあげながら、「8割減少」という数値目標も示していました。休業要請は当初出されていた内容よりは緩められました。これについてはどう評価されていますか? 休業をどんな強さでやるかは政治の判断です。制度上の整理だけは事前に伺っていました。緊急事態宣言の根拠となる新型インフルエンザ等対策特別措置法では、要請と指示ができることになっています。 東京都は最初から指示という強い姿勢を示そうとしていましたが、国と話し合って、すり合わせしたと聞いています。閉める範囲などで国との齟齬があってはいけないということで、話し合いをされていました。 自分自身は、集団感染しやすいハイリスクの場について、「こことここだけは折れないでください」と伝えてはいました。そして、早く対策は打った方がいいとも伝えていました。当初は4月末に出すという話もありましたから。 今、東京では医療が切迫しているのです。都内で、ICU(集中治療室)の病床が満床になったところです。広域搬送しようとしても、周辺の県でも集中治療が必要な患者が出てきますから、都内でまだ受け入れていない大学などのベッドを開けてもらうしかない。 おそらく、予測では、来週半ばまでは感染者が上げ止まらない状況が続きます。医療が持ちこたえるために一番大事な時です。 専門家会議で昨晩も夜中まで勉強会をしていたのですけれども、実際に患者を診ている先生方は悲壮な表情です。リアルタイムの予測を共有しているのですが、「これでは休業補償は待ったなし」というのが共通認識です。 閉めたところから伝播が止まるのは明確なことです。これ以上、感染者を増やしたくなかったら強固に閉めないといけない。 どういう業種を対象にするかはすごく難しいです。今は特別にリスクの高いところを、感染者がそういう場所で出たというファクトに基づいて閉じています。 難しいのは、危なそうだけどグレーゾーンのところがいっぱいあることです。 今日も、美容院から感染者が地方から出たと報じられました。接触が起こりやすいのは確かですが、特定の業種のリストの選び方はファクトに基づくのか、予防原則のように広めにとるかは、最後は政治判断になります。 もし今後、感染が広がれば、対象も広げると思います。ハイリスクのところの人の出入りを止めると、相当効果があると思います。 まだ一般市民には広がっていない ーー現状から見ると、日本でヨーロッパのような爆発的な感染は起きそうなのでしょうか? 現状の都内のデータを見ていると、まだ一般の人には広がっていません。 これは表には出ていないかもしれませんが、感染経路が不明となっている感染者は増えていますが、経路がわかっているところは、ほとんど病院かデイケア施設です。 デイケア施設は危ないです。高齢者が感染すると重症になり、重症のベッドが必要になります。 若者が飲み会で、ふざけたキスでうつったなんてケースでは、軽症で済みます。 それ以外の方も、港区の繁華街などに集積した感染者ばかりです。性的に男性同士の接触がある人も多い。(コロナ対策などのため職場での勤務が続く)公務員もです。厚労省で一人出ました。他の省庁でも勤務やサービスの続いているところでは感染者が出ました。 クラスターが外国人から病院や夜の街にうつり、一般市民に少しずつ忍び寄っています。でも、まだみなさん一般の人に広がっているわけではないです。 ただ夜の街で遊んだ上司がいる会社員、というような形で、一般にも広がり始めているのは間違いないです。 ーーなぜ追跡できていない感染者がいるのに、一般に広がっていないと言えるのでしょう? もしも一般市民で流行拡大をしていると、そこから派生した中高年か高齢者の感染者のうち比較的重症になる方が出るはずですから、その方が診断されて報告されると思います。こういう方が孤発例から出ないかどうかを毎日注視しまくっています。孤発例の属性を相当詳しく分析しています。 そうやって見つかったのが「夜の街クラスター」です。1日180人を超えるような感染が起こっていても、孤発例のうちの相当の割合が夜の街で、一般での拡大を強く示唆するもの、として、そこからオフィス感染がぽつぽつという程度で済んでいます。 この「ぽつぽつ」が目に見える割合になったときがコミュニティに感染が広がったという段階なのですが、まだそこまで至っていません。 ーー緊急事態宣言が出てからもあまり、人の流れが止まっていないという分析が、スマホの位置情報データなどから出ていますね。 はい。今、内閣官房と情報交換したり、班でも必死に分析したりしています。相対的な数字からいうと、前日からは、3割、2割の減り方です。前年のベースラインと比較してどれぐらい減っているかは計算中で、まだわからない。 携帯電話のデータで一つ、わかったことがあります。3月28日、29日の人出を前年のベースラインと比較したのですが、小池都知事が「感染爆発・重大局面」と記者会見された後の週末に東京では雪が降って、すごく寒くてみなさん出歩くのを控えました。その時の人出が8割減ぐらいです。 ーーあれぐらい減らさないといけないのですか! あの時は寒いからみんな外に出ないし、電車も乗らずに東京はゴーストタウンのようになりました。平日もあれに準じるぐらいに、社会機能維持のために働きに出る人ぐらいに抑えれば、流行は止められます。 みんなの自発的な行動に任せれば...予測は「厳しい」 皆でお互いに注意し合って接触を減らせるかどうかが、この流行を止められるかにかかっているのですけれども、僕は厳しい印象を持っています。 ーーまだ危機感が浸透していない? そうですね。今回の流行で3月19日の専門家会議の提言あたりから、心に決めて一人で挑戦していることがあります。 「Risk Informed Decision(リスク・インフォームド・ディシジョン)=リスクを説明した上での決断」というのをやりたいと思っているのです。 大規模流行時に想定される10万人当たりの重篤患者数(右)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200411-00010003-bfj-soci&p=7 死亡予測や人工呼吸器の数を上回る重症者の数が出るなど、怖い予測が今までよりも多かったのですが、意外にスルーされてしまった。科学的なエビデンスに基づいて、現時点でどれぐらいが亡くなると予測され、どれぐらいが重症になって、人工呼吸器やICUのベッドなどがどれほど足りなくなるかを示しました。 あの公表は、猛反対を食らいました。厚労省の幹部たちからも「いいのか?」「この図はどうしても削除できないのか」など、かなり事前に止められたのです。 僕は一歩前に進むことをあの時に決断していました。今までの厚労省の被害想定や流行シナリオは、父権主義的なものでした。厚労省がなんでもいうことを聞く学者に、都合のいいものを作らせて出していた。 私も流行前に医療体制整備のためのシナリオを出してきましたが、父権的なプロセスで都道府県に通知が出されました。 今回の流行では日本でヨーロッパのようなことが起きると、医療が崩壊するレベルまで重症患者が増えます。院内感染もものすごい数が起きる恐れが、目の前まで迫っています。 これぐらいの死者が出る可能性がある、それを踏まえてみなさんも行動を考えませんか?と投げかけたい。リスクを説明した上での選択です。 あの頃は焼夷弾のように海外からの輸入感染者たちが日本に帰国していることはわかっていたので、それを念頭に流行予測をすると、今のまま輸入感染者を丸腰で受けていたら大変なことになってしまうのは明らかでした。 みんなに真剣に行動を考えてほしかったんです。 まだ明確に死亡者数がこれぐらいという予測は示せていません。科学的には推定している数字があるので、厚労省のクラスター班としてできなければ、北大の西浦としてやらないといけない。 これぐらい死亡リスクがあるということをみなさんに伝えて、どう向き合うかつきつけることを早急にやらなければ。 今のみなさんの意識のままでは8割減には、とうてい届かなそうだなというのが率直な実感です。 自分がどうしたいというレベルをはるかに超えている状態です。これまでの3密という考え方で、日本人に対する信頼を寄せ自発的に行動を変えてもらうということでは防げない。 第2波がやんだ後に備えて、もっと色々な手を打っていかなければなりません。スマホの位置情報などの活用についても、今のうちに議論を始めたいと思っています。 ーー感染抑止ばかりが優先されて、個人情報が守られることを望む国民を置き去りに議論が進められるのを心配しています。 省庁間の技術チームに加えて法律とコミュニケーションの専門家でチームを組織して落としどころを探るつもりで動いています。 個人情報保護法や感染症法の活用の整理はその前から進んでいます。警察での活用を含めて位置情報を利用することについて議論を重ねてきた情報専門家たちがいるので、知恵をもらって、一般市民の意見を聞き、政治家から国民に説明をしてもらい、という手順が必要になると思います。 具体的にはこれからなのですが、今回の話は特に閉じた内部では実施できない内容なので工夫していきます。 空港でクラスターはできないか? 成田空港の混雑 ーー輸入感染者の話ですが、帰国して成田空港に着いた人が、検査結果待ちのためロビーに並べた段ボールのベッドで過ごしています。かなりの密度で感染しないかと話題になっています。あそこでクラスターができるのではないかとも心配されています。 悲惨ですよね。一応、厚労省の話では、感染疑いのある人とそうでない人の動線を分けているということです。 今のところ、86人の感染者が羽田、成田で見つかっています。ものすごい数の検査の努力があるからなのですが、効率が悪いです。多数の医師も動員されています。 2009年の新型インフルエンザの時も、空港で同じような悲惨なことが起きたのを見ました。そして、それをやっても感染の抑止力はなかった。 今の時点で1000を超える感染者が日本に入っています。その中で86人を症状がない不顕性感染も含めて、膨大な努力をして見つけるのが意味があることなのか、否かは考えなければなりません。 (空港では)早く、症状のある人だけに対する検査に変えてほしいと、いろんな方面に働きかけています。それがなかなか動きません。 一般の人に向けてのメッセージ ーー緊急事態宣言が出てからの初めての週末です。どのように過ごしてほしいですか? 「8割の自粛」というのもコミュニケーションがしっかりできていません。家の周りや外でどういう工夫ができるかということも時間がない中で宣言が出たので、十分伝わっていないでしょう。 北海道で緊急事態宣言が出た時の話をみなさんとも共有したいのですが、北海道で知事の発表後に面会して、「外出自粛と呼びかけるのは、むしろ逆効果の可能性がある」と押谷先生がアドバイスしたのです。 つまり、外出を控える代わりに、お友達と会って家飲み会が始まったり、家族の夕食会があったりしたら元も子もないわけです。 自粛というのは、接触を削減してもらうことだというのが、正確に伝わらないといけません。 それに加えて、屋外のオープンエアのところを歩くのはいいのですよとか、友達同士でジョギングするのはいいけれども、帰りに一緒にビールを飲みにいってはいけませんよとか、そういう細かい部分を1個1個、知事には話しました。 知事も「そうなんですね」と反応してくれて、これはぜひ言わなければいけないと伝えてくれました。接触が起こらなければ、屋外で一人で動くのは構わないのです。 できることもあるということを理解してもらった上で、避けるべきところは上手に避けてほしい。屋内で複数の人が集まるような接触を控えてもらうと、二次感染は起きずに済むのです。 ーー週末、みんなにそういう風に過ごしてほしいのですね。 僕は暗いので、一人で長時間のジョギングをするのが好きなんです。2~3時間、ものすごくゆっくりしたスピードで走ることを「LSD(Long Slow Distance)」というのです。 一人で散歩するイメージで、ゆっくり長時間、小さい負荷をかけながら汗をかく。本当に暗い趣味だからこそ大好きなんですけれども(笑)。こういう活動なら、全然構わないです。いっぱい歩き回って、でも立ち止まって30分以上人とは話さないでほしい。 みなさんも工夫しながらできることはいっぱいあると思うのです。 企業の方にも訴えたいのですが、この行動制限は長期化します。家にいながらできることや、オープンエアでできることを開発するなど、ビジネスが持続できるような至急の開発に協力してもらいたいです。 「#西浦寝ろ」は大好き! ーーご家族とは会えていますか? 1回だけ3月の中旬に会えました。2月の前半から厚労省に詰めています。厚労省近くのホテルを転々として、いつも空いているところはないか探しています。 ーー手配してもらうわけではないのですね。 自分でやっています。私も含めて、専門家はほぼみんな無報酬でこの仕事をしています。謝金を受け取れるのかもしれませんが、専門家として政府や国からの独立性を保つ意味もあります。 ーー「#西浦寝ろ」というハッシュタグもできていますけれども、休めてますか? 西浦寝ろ、僕大好きなんです! Twitterの人たちのリテラシーの高さに結構、驚いているのです。 みなさん、家にいても流行対策の報道ばかり見ているから、私よりよく知っている人もいます。それぞれの疑問に答えていると時々寝られなくなるのですけれども、みんなが「寝ろ寝ろ」と呼びかけてくれながら、「科学君」として正しいことを返していくことができる。 「寝ろ寝ろ」と言われながら、みんなに知識が入っていくプロセスを楽しんでいます。 ーー先生の気さくなキャラがリスクコミュニケーションにいい方に働いている気がします。ついにタレントの指原莉乃さんにも応援メッセージをもらえましたね。 いつか流行が終わったら、会えないかなという妄想を抱いています(笑)。そのためにも、今は精一杯、頑張ります。 【西浦博(にしうら・ひろし)】北海道大学社会医学分野教授 2002年、宮崎医科大学医学部卒業。ユトレヒト大学博士研究員、香港大学助理教授、東京大学准教授などを経て、2016年4月から現職。 専門は、理論疫学。主な関心事はダイエット。 岩永直子 |