建築基準法施行令改正[新耐震設計法の導入] (1981年)以降に建てられた建物でも、『ピロティの有る建物』は耐震診断が必要です。 『ピロティの有無』は耐震性能優劣の重要なファクターであることが良く解ります。 日本建築学会編のリーフレット「わが家の耐震-RC造編」:https://www.aij.or.jp/jpn/seismj/rc/index-rc.htm |
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現行の耐震基準では、 一次設計 ・・・ 中規模の地震 (旧震度 5 程度) の検証にあたっては、 ◆建物の 1 階に作用する水平力を、建物の全重量の 20% と考えます※1。 これは結局、「 2 階の床位置での応答加速度※2 が約 200gal である」としていることになります※3。 (※1 建築基準法制定時( 1950 年)からの基準) (※2 建物の揺れ) (※3 重量 = 質量 × 重力加速度( 980gal ) から、 0.2 × 980 = 約 200 gal ) 二次設計 ・・・ 大規模の地震 (旧震度 6 から旧震度 7 程度) の検証にあたっては、 ◆中規模の地震の時の 5 倍のエネルギーに相当する力が建物に作用した状態 を考えます※4。 単純に 5 倍すると 1000gal(つまり約 1G )になりますが、これを 1000gal の加速度が建物に作用した状態と言わずに、エネルギーという表現をしています。これは、大地震の検証にあたっては、建物の「エネルギー吸収機構」というものを考えているからで、 建物が「壊れない」とした場合は 1000gal の応答加速度が生じることになりますが、壊れた場合は、その結果として建物のエネルギー吸収機構がはたらき出し、応答加速度は 1000gal よりも小さくなるのです。(建物の状況にもよりますが、だいたい 1 / 2 から 1 / 3 程度に力が減殺されます※5。) (※4 1981年 6 月施行以降の基準) (※5 建築工学上では、大地震の時に部分的に壊れるのは甘受するが、ただし「健全な壊れ方」をさせよう、という考え方をとります。健全な壊れ方とは、壊れた後に、その部分が関節のように回転して変形についていく状態です。これを「粘りがある」とも言います。大きな地震がきて「健全な壊れ方」が進んでいくと、建物のあちこちに「関節」ができた状態になります。そうすると建物が全体として「柔らかく」なり、それに伴って建物の変形(揺れ)は増大しますが、その反面、地震の力を「やり過ごす」という機構が建物に生まれてくることになります。) ただし、現行の耐震基準でも、建物の高さが 31m 以下で、かつ一定の条件を満たすものについては二次設計 (倒壊の検証) を省略してよい※6ことになっています。つまり、「計算外の余力」に頼ってよいとされています。 ●しかし、そのような設計がなされた建物に対して倒壊にいたるまでの検証をあらためて行った場合、 つまり、「計算外」を「計算内」に引きずり出した場合、そこで OK という結果が出る保証は必ずしもありません。 (※6 上図参照) |
条件は決して良くない。 *セットバックの有無 ・Ⅰ番館---有り ・Ⅱ番館---有り *ピロティの有無と割合 ・Ⅰ番館---有り→ 2/7スパン( 29%ピロティ) ・Ⅱ番館---有り→ 6/6スパン(100%ピロティ) *ピロティ部耐力壁の有無と量 ・Ⅰ番館---無し(0m) ・Ⅱ番館---無し(0m) *構造種別混用の有無 ・Ⅰ番館---無し→同一構造(鉄筋コンクリート造) ・Ⅱ番館---有り→混用構造(1~6層:鉄骨鉄筋コンクリート造) (7・8層:鉄筋コンクリート造) 条件は決して良くありませんが、 DH工業>D事務所>A組>1次下請>2次下請>3次下請>・・・、大丈夫でしょうか!? 【参照サイト】 日本建築学会編のリーフレット「わが家の耐震-RC造編」:https://www.aij.or.jp/jpn/seismj/rc/index-rc.htm |