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浅暮三文
投稿日:2022年04月11日 00:16
No.5875
エドガー・アラン・ポーの「灯台」 崎田和香子
登場人物
主人公:ホラー作家。神経を病み、編集者の勧めで気分転換のために1年間、灯台守の仕事をすることになった。
デ=グラート:編集者。主人公に灯台守の仕事を見つけ、日誌をつけるように言う
オーンドフ:主人公の主治医
ネプチューン:主人公が飼っている大型犬
灯台守:主人公の前任者。謎の死を遂げている。
アヘンの売人:大金と密売用のアヘンを持ったまま海で遭難する。
灯台でひとりきりの生活を堪能しながら日誌をつけ続けていた主人公だったが、なぜか次第に嵐で灯台が崩れるのではないかという不安を覚え始める。とは言え、晴天が続き嵐の気配はない。
そのうち主人公は、灯台が軋む音を聞くようになる。
ある晩、主人公は夜中に自分の両手が血まみれになっているのに気づいて悲鳴をあげる。
そして「あの男を殺したのだ」と日誌に書くが、自分でもその言葉の意味がわからない。
灯台の軋む音は次第に大きくなり、床は血で染まる。
ついに灯台が崩れて来て、逃げようとした主人公は海に落ち、飼い犬のネプチューンによって救出されるがそこで気を失ってしまう。
主人公が目を覚ますと、そこは病院だった。
主人公は神経を病んだホラー作家、彼の主治医であるオーンドフは主人公に休養を取らせようとした。
オーンドフから相談を受けた編集者のデ=グラートは、主人公に気分転換に1年間灯台守の仕事をしながら灯台で暮らすことを勧める。しかしデ=グラートの本当の狙いは、主人公の精神を限界まで追い込むことでより奇怪な物語を書かせることだった。
そこでデ=グラートは前任者が発狂して死んだという灯台を見つけて来てわざと主人公を送り込む。そこの灯台守は晴天の日に「嵐で灯台が崩れる!」という謎の無線連絡をした挙句に海に落ちて死亡していた。
主人公には他人の心が読めてしまうという奇妙な特技があった。そのため周囲に人がいると相手が黙っていてもその人間の声が「聞こえて」しまい、まともな人間関係を築けずにいた。(主人公がオーンドフが「ひっきりなしに喋っている」と思っていたのはこのせいである)オーンドフは、医者としてこれを神経の病気と診断する一方、主人公には霊感のようなものがあるのではないかと薄々疑っていた。
さて、問題の灯台の近くでは、数ヶ月前の嵐の晩に一艘のボートが難破し、乗っていた男が瀕死の状態で流れ着くという事件が起きていた。前任者の灯台守は男の持っていた大金に目が眩んで男を石で殴り殺して大金の入ったカバンを奪い、死体を海に捨てていたのだ。灯台守はカバンが証拠品となるのを恐れて火にくべたが、実は男はアヘンの売人で、二重底になったカバンの中には大量のアヘンが隠されていた。それを知らずに火に投じた灯台守はアヘンを吸い込んで幻覚を見た挙句に海に落ちて死亡したのだった。
警察が重りをつけて沈められていたアヘンの売人の死体を発見したことから事件が明るみに出る。
そしてデ=グラートの企みに気づいたオーンドフが、心配して灯台までやって来て倒れている主人公を見つけたのだった。
主人公の日誌を読んだオーンドフは、主人公が死んだ灯台守の霊に取り憑かれていたのではないかと思う。
だが、そんな非科学的なことは医師である自分の理性が認めるわけにはいかない。オーンドフは日誌を封印し、全てを黙っていることにするのだった。
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