うつりゆく時代 10 (AI)
| 前回はAIの発展の歴史を見てきたので、次にAIとは何かを考えてみます。 現在、AIの発展が急速過ぎるため、世界中でAIの研究を制限しようという動きがあるときに「いまさら何を?」と笑われるかもしれません。そのような人はこの投稿を無視するか、不備な点があれば補足してください。 今回はAIの機械学習とディープラーニング(深層学習)について、次回はChatGPTと生成AIについて取り上げます。周知のように私はAIの専門家ではないので、Newton別冊『よくわかる人工知能のすべて』株式会社ニュートンプレス(2024年7月)の記事を紹介する形で取り上げてみますが、さらに詳細な情報が必要ならば同書か他の資料を参考にしてください。 (3)機械学習と人工ニューロンおよびディープラーニングの関係 以下では、前掲書の「1. AIって何だろう?(協力 松尾豊)」の8~31頁を参考にしました。 ① 機械学習 同書によれば、機械学習とは「その名のとおり,機械(コンピューター)がみずから『学習する』ためのしくみだ。それによって,より“賢い”AIを実現しようとしている」(17頁)、ということになります。 では何を学習しているかと言えば、例えば画像を認識するAIならば多くの画像を見せて「ゾウだ」「ゾウではない」というように、「グループ分け」をしているわけで、「どのようにすれば適切にグループ分けができるのか,その分け方をコンピューターに自動的に学習させる方法が機械学習」(18頁)ということになります。つまり、大量のデータを用いて、それらの共通点やルールをAIが見つけ出せるようにすることになります。(注:「グループ分け」以外にも、例えば気温と販売量の関係を予測するなどの「回帰」とよばれるものもあるとのことです。) この方法には、大きく分けて「教師あり学習」と「教師なし学習」の方法があります。前者は、たとえばこれは正しい、これは間違い、のように人がAIの学習用データに正解(教師データ)の情報を付け加えて学習させる方法で、後者は「正解(教師データ)をあたえず,入力したデータの中からAIがみずから特定のパターンを抽出したり,共通するルールをみつけたりできるようにするもの」(21頁)になります。 データを「グループ分け」する方法にもいろいろなものがありますが、代表的なものが「決定木(けっていぎ)」という手法だそうです。この決定木による機械学習とは「AIにデータをくりかえし分析させて,適切な設問の条件や順番(ツリー)を自動的に探させ(学習させ)る」(22頁)方法ですが、紙面の都合で詳細はここでは割愛します。 ② 脳の神経細胞(ニューロン)と人工ニューロン 脳の神経細胞の働きを見ると、「脳は,たくさんの『神経細胞(ニューロン)』からできていて,神経細胞どうしがたがいにつながってネットワークを形成している。一つの神経細胞は『シナプス』とよばれる接続部分を通じて,ほかの多数の神経細胞から信号を受け取る。そして,受け取った信号の総量がある一定の大きさをこえると,その神経細胞はほかの神経細胞へ信号を送る。脳は,こうして神経細胞が次々と信号を伝えていくことで,情報を処理している」(24~25頁)とのことです。 この脳の神経細胞のはたらきをコンピューター上のプログラムで、人工ニューロンとして再現したのがニューラルネットワークです。そして「人工ニューロンは,複数の数値(入力値)を受け取って,その入力値に応じた別の数値(出力値)を出力する『関数』だ。一つの人工ニューロンは複数の入力値を受け取る。そして,それらの入力値にいくつかの計算をほどこした数値を出力するように設計されていて」(25頁)、「多数の人工ニューロンを複数の層に分けてつなげて,はじめの入力値(データ)をつぎつぎと変換していくことで、情報を処理する」(25頁)とのことです。 この人工ニューロンは数値を受けて計算し、次の人工ニューロンに数値を出力するのですが、どのように学習しているのでしょうか。脳の神経細胞のシナプスのつながりの強さに相当するものは、人工ニューロンでは「重み」とよばれ、「この重みの値を変化させて,人工ニューロンどうしのつながりの強さを変えていくことで学習を行う」(26頁)ことになります。 最初にデータを受け取る層を「入力層」、最終的な結果を出す層を「出力層」、両者の間の層を「中間層(隠れ層)」と言います。この本ではひし形◇の画像の例を挙げて以下のように説明しています。 赤色のひし形の画像をバラバラに切って入力層に入れます。重みの値はバラバラなので中間層を経由して出力層にプラス+の記号が届いたとします。答え合わせ(教師あり学習)をすると不正解なのでAIはみずから重みを変えます。このような方法を多くの画像で繰り返して精度を上げ、最終的に画像の◇を判別するようになります。 ③ ディープラーニング ディープラーニング(深層学習)とは、このニューラルネットワークの中の人工ニューロンの層を多層化(深くした)したものを指します。この方法によって「物がもっているさまざまな『特徴』を,AIがみずからみつけだすようになり」、「大量の画像を読みこませるだけで,画像に含まれる着目するべき特徴をAIが自分で抽出できるようになり」、「人が特徴を教えるよりもずっと精度の高い予測ができるようになった」(28頁)ということです。 この経過は次のようになります。 (ⅰ)入力層へ画像の情報を入力する (ⅱ)中間層のたくさんの人工ニューロンが、入力値や重みの値に応じて次の層の人工ニューロンへ出力値を送る (ⅲ)重みの調整が完了すると、入力層に近い中間層では、単純なパターンに対応する信号がやってくると反応する(次の人工ニューロンに大きな信号をわたす)人工ニューロンができ、出力層に近い中間層では、より複雑な形状に対応する信号がやってくると反応する人工ニューロンができる 以上で「画像を識別するために着目するべき特徴を抽出できたことを意味している」(29頁)とのことです。 これまでディープラーニングの精度向上のための技術が開発されてきました。その一つとして「過学習(かがくしゅう)」という学習用データに特化しすぎて未知のデータに対応できなくなる問題がありますが、これは「ドロップアウト」という方法で解決したということです。 このようなディープラーニングの手法は、2012年頃から脚光を浴びて第3次AIブームを作り出し「自動翻訳,文字・音声・画像認識,自動運転などに広く用いられて」(11頁)きています。 |
| AIの進化が加速したのは2025年後半あたりからではないか、と推察していますが、実際に生成AIが個人使用でも実用的になったのは昨年末あたりからです。 あまりの進化の速さに、単行本はAIの実情を捉えたものはなく、月刊誌すら仕様の変化や機能の追加を紹介し損なっている状況ですし、新聞は分析をするスタッフも抱えられないようです。 そこで、AIの進化が加速した要因をClaude Fable5.1(生成AI)に尋ねてみました。 以下、引用です。 「主な要因は、**「学習を大きくする」から「考えさせる・使わせる」へ進化の軸が広がったこと**と、そこに莫大な資金が流れ込んだことです。 - **推論モデルの登場**: 答える前にじっくり考えさせる方式で、数学やプログラミングなど難しい問題の正答率が大きく上がりました。 - **強化学習の活用**: 正解が自動で判定できる課題(コードが動くか、計算が合うか)で試行錯誤させ、能力を効率よく伸ばせるようになりました。 - **エージェント化**: 検索、ファイル操作、ソフトの操作といった「道具」を使い、長い作業を自分で進められるようになりました。単なる会話相手から「仕事を任せられる存在」に変わったことが、実用面での実感につながっています。 - **計算資源への巨額投資**: 世界中で大規模なデータセンターが建設され、学習にも推論にも使える計算力が増えました。 - **AIがAI開発を加速**: 研究者がAIでコードを書き、実験を回し、学習用データを作るようになり、開発サイクル自体が速くなりました。 - **競争の激化**: 米国の大手各社に中国勢やオープンモデルも加わり、性能向上と低価格化が同時に進みました。 これらが互いに作用し合い、性能向上が次の投資や利用拡大を呼ぶ循環になっている点が、加速の本質だと言えます。」 |
| 個別事情として、中国のフィジカルAIの進化について、尋ねてみました。 「中国は人型ロボットの量産と実用化で、いま世界の先頭にいます。 - **量産の規模**: 2025年の出荷台数は約1万4,400台で、世界全体の出荷量の約85%を占めました。2026年は生産台数がさらに前年比94%増えるとの予測です。2026年上半期には製品が400機種余りとなり、世界の半数を上回りました。 - **低価格化**: 1万元(約24万円)を切る機種も登場し、高級スマートフォンと大差ない価格帯になっています。 - **運動能力の向上**: 2026年の春節特番では、Unitree(宇樹科技)など4社のロボットが側転宙返りなどを披露しました。北京のハーフマラソンには300体以上が参加し、坂道や公園を含む厳しいコースに挑みました。 - **工場への導入**: 2026年3月、広東省仏山で年産1万台超の量産ラインが稼働を始めました。ロボットが作業しやすいよう工場側を設計し、現場で使って開発に反映する循環も強みとされています。 一方で課題もあり、関節1つの交換に約70万円かかるなど、修理の難しさが問題になっているとの報道があります。また、出荷台数は調査機関ごとに数字が大きく異なるため、目安として見るのがよいと思います。 日本の状況や、ロボットに使われるAI技術の中身についても、ご説明できます。」 「人型ロボットでは中国が大きく先行しており、日本は部品技術や現場での実用化で巻き返そうとしている段階です。 - **現状**: 人型ロボットでは、かつて世界をリードした日本の影はいまや薄いと評されています。中国のAgiBot(智元機器人)は2026年3月に累計生産1万台を発表しており、差は大きいです。 - **国の取り組み**: 経済産業省、NEDO、AIロボット協会(AIRoA)を中心に、ロボット基盤モデルやデータ基盤の開発が進んでいます。ただし投資規模、出口戦略、ユーザーの巻き込み、プレイヤーの厚みに課題が残るとPwCは指摘しています。あるブログの試算では、政府のフィジカルAI向け予算205億円は、米Figure AIの1回の資金調達より小さいとされます。 - **巻き返しの戦略**: 1つ目は部品技術です。独自のAI開発や、技術力の高い部品産業の参入促進で巻き返そうという動きが活発化しています。2つ目は現場特化型です。倉庫、工場の検品、太陽光発電所の草刈り、橋梁の点検など、限定された環境で信頼性と安全性を重視する分野は、日本の強みである「地味な信頼性」が活きるとされます。 - **産業界の動き**: 2026年6月の「ロボットテクノロジージャパン」ではヒューマノイドやフィジカルAI関連の展示が特に目立ち、来場者は4万7,000人超でした。ファナックや安川電機などの製造業各社も参入に動いています。 - **ユニークな例**: 京都大学などが開発した「ブッダロイド」は、仏教経典を学習した生成AIを搭載し、寺院で合掌したり悩み相談に応じたりします。 見方としては、動画映えするロボットと、利益を生むロボットは同じではないという指摘が的を射ています。人型で追いかけるより、人手不足の現場で確実に役立つロボットを作る方が、日本には現実的な道筋のようです。」 そうです。二足歩行しなくても、100メートルを早く走れなくても実用性があればいい。日本の企業には、今後も実用性を追求してほしいものです。 |
| Grockの回答は、他社と較べて少し毛色が違います。しかし、日本語表現がこなれていないような気がします。 以下引用。 「主な要因は、スケーリング則の実証とそれに基づく大規模投資・計算資源の爆発的拡大、競争の激化、技術的工夫の積み重ね、そしてChatGPT以降の社会実装の加速です。 2022年末のChatGPT公開を起点に、2023〜2025年にかけて急速に進化しました(現在2026年時点で見ると、特に2024〜2025年に推論モデルやエージェント化が進んだ)。 1. スケーリング則(Scaling Laws)の発見と実践 モデルのパラメータ数、学習データ量、計算量(compute)を増やすと、予測精度がべき乗則に従って向上することが2020年頃の研究(Kaplanら)で示され、2022年のChinchilla論文で「モデルサイズとデータ量のバランス」が重要だと整理されました。 これにより「巨大化すれば性能が上がる」という予測可能な道筋が明確になり、企業は計画的に投資できるようになりました。 結果として、GPT-3(1750億パラメータ)からGPT-4以降の兆パラメータ級、Mixture of Experts(MoE)による効率化、超長文コンテキスト対応などが次々と実現しました。 最近は事前学習のスケールに加え、推論時の計算量を増やす(o1やDeepSeek-R1のような「考えてから答える」推論モデル)という新しい軸も加わり、性能がさらに伸びています。 2. 計算資源(ハードウェア)とデータの爆発的増加 • NVIDIAのGPU(H100など)やGoogleのTPU、クラウドデータセンターの大規模投資により、学習に使える計算量が急増しました(2020年以降、フロンティアモデルの学習計算量は年に約5倍ペースで増加した例もあります)。 • 高品質なデータセットの整備・フィルタリング・合成データの活用が進み、データ効率も向上しました。 • 電力・チップ製造・データセンター建設がボトルネックになりつつも、巨額の設備投資(2025年以降のデータセンター投資は数兆ドル規模との試算も)が続けられています。 3. 企業間の激しい競争と巨額投資 OpenAI、Google(Gemini)、Anthropic(Claude)、Meta(Llama)、xAI、中国勢(DeepSeekなど)がしのぎを削り、フロンティアモデルを次々と公開しました。 プライベート投資も急増し、生成AI関連だけで数十億ドル規模の資金が流入。オープンソース(Llamaシリーズなど)の台頭も、コミュニティ全体の開発速度を押し上げました。 4. 技術的なブレイクスルーと工夫の積み重ね • Transformerアーキテクチャの改良、RLHF(人間のフィードバックによる強化学習)、指令チューニング、マルチモーダル化(テキスト+画像+音声+動画)。 • 2024年後半からの「推論強化モデル」(OpenAI o1/o3、DeepSeek-R1など)やエージェント化(自律的にタスクを完遂する仕組み)。 • 効率化技術(量子化、MoE、蒸留など)により、性能を保ちつつコストやサイズを抑える動きも並行して進みました。 5. 社会実装とフィードバックループ ChatGPTの対話インターフェースが一般ユーザーに爆発的に広がり(公開後わずか数日で100万ユーザー、2か月で1億ユーザー)、企業・個人の利用が急増。需要がさらに投資を呼び込み、実用化(コーディング支援、業務自動化、エージェントなど)が進む好循環が生まれました。 2025年頃からは「対話ツール」から「自律型エージェント」へのシフトが顕著になっています。 まとめ 要するに、「スケーリング則で道筋が見えた」+「計算資源と資金が集中した」+「競争とオープンソースでアイデアが共有・加速した」+「ユーザー需要が即座にフィードバックされた」という複合要因です。 技術的には「ただ大きくしただけ」ではなく、アルゴリズム効率化や推論時の工夫も重要でしたが、根本的なドライバーは計算資源のスケールアップと競争でした。 今後は電力・チップ供給・データ品質の制約が強まる可能性があり、効率性や新しいパラダイム(さらに高度なエージェントやアーキテクチャ変更)が鍵になると考えられています。」 |