以上の提案でイギリスの財政収入を大幅に増やすことができなければ、財政支出の削減という方法になります。しかし、イギリスは近隣諸国に劣らないほど経費を削減してきているので大幅な削減の余地はないと言っています。
七年戦争は植民地のために戦われ、9000万ポンド以上の戦費がかかり、1739年に始まったスペインとの戦争、その結果としてのオーストリア継承戦争では4000万ポンドを超える戦費がかかっているが、これも植民地のために戦われたものなので、その大部分は植民地に負担を求めるべきであると言っています。しかしその植民地が、「財政収入でも軍事力でも帝国を支援しないのであれば、植民地を帝国の一部だと考えることはできない」(547頁)としています。その場合は、イギリスの支配者は、「一世紀以上にわたって、大西洋の対岸にある偉大な帝国を所有しているとの夢を国民に与えてきた」(547頁)のですが、「この黄金の夢、自分たちも酔い、国民を酔わせてきた黄金の夢を実現してみせるか、そうでなければ、まずは自分たちが夢から覚め、国民にも覚めるよう促すべきである。計画が達成できないのであれば、あきらめるべきだ。帝国全体を支えるために貢献するのを拒否する植民地があるのであれば、戦争の時期にそれらの植民地を防衛する経費、平和の時期に行政と軍事の組織を一部であれ支える経費を負担するのを止めて、イギリスがおかれている地味な状況に合わせて、将来の展望と計画を調整するようにすべきである (endeavour to accommodate her future views and designs to the real mediocrity of her circumstances) 」(548頁)と結んでいます。