振られたといったら・・・

ひろ投稿日：2019年08月22日 11:45 No.363

友達

「好きです！　僕とつきあってください！」
「あなたとは、いい友達のままでいたいの。ごめんなさい」

青春の１ページにありそうな会話だ。
しかし、この単純に見える会話は青春を疾走する男女の複雑な思いが交錯している。

交際を申し込む男子。
こんな真正面から攻める野郎だから、モテないに決まっている。
モテる奴は、ほっといてもモテるから告白なんかしない。
この男子は、大好きな子と一緒に映画に行ったり、遊園地に行ったり、
あわよくば抱きしめたり、キスしたり、できればあんなことやこんなこと、
さらには結婚なんて途方もない妄想をしているに違いない。
そんな奴だから、断られるのだ。
が、この男子は断られたとは思わない。
なにしろ、「いい友達」なのだ。
彼女は、自分のことを嫌っているわけではない。
この瞬間はあきらめても、友達としての関係は続く。
そうすれば、敗者復活、逆転サヨナラ満塁ホームランをあるかもしれないと夢見る。

では、女子はどうか？
そもそも、この男子と付き合い気はない。
というよりも、論外であり、埒外であり、対象外なのだ。
だからといって、「あんたなんか、大嫌い！　あたしに告白なんて１００年早い。
できれば、目の前から消えてくれ！」くらいは思っている。
ただ、そう言ってしまったら、自分がクソ女だと思われるし。
ひょっとしたら、とんでもない仕返しをされるかもしれない。
ここは、少しでもいい子を演じなければならない。
直接断るのではなく、「友達」という立場にしておこう。
別に、友達だからって、一緒に遊ぶ理由もない。
疎遠になる友達だってたくさんいる。
卒業したら、それまでだし。
だいたい、告ってきた男子と友達付き合いなんてできるわけないじゃん！

したがって、女子はこの男子を友達とも思わない。
ひょっとしたら、何十年後に、
「そういえば、高校時代に私に告白してきたバカ男子がいたなぁ」
と思いだす程度だろう。

しかし、男子は違う。
「いい友達」と言われた日から、ずっとずっと死ぬまで
「僕はあの子のいい友達なんだ」と思い続ける。
なんて愚かで、健気な。
思いきり振られているくせに、理解もできずにその子を思い続けるのだ。

男はとことん健気で愚かだと思う。
そして、女子はとことん優しく、そして、小賢しい。

そして、健気で愚かな男は、
一生、優しく小賢しい女に惚れつづけ、振られ続けるのだ。

世の若者には、
女子がいう「いい友達」は、
「あなたのことは、未来永劫まったく興味がありません」
と同義語だということを知ってほしいと切に願う。

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