近畿植物同好会 掲示板
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変化朝顔と柑橘類とアゲハ
磯野久美子 投稿日:2022年09月28日 02:00 No.355
9月25日の朝、アゲハ(ナミアゲハ)がひらひらとベランダに向かって来るのが目の端に入り、「あ、また卵を産みに来た!」と思いましたが、意外な事に変化朝顔の花に直行し、また別の種類の朝顔の花へと移り、去って行きました。
既に自家受粉が済んでいたかもしれませんが、ひょっとすると交配したかもしれないので、できる種子が楽しみになり、印をつけました。

うちのベランダには私が食べた後のタネを蒔いたユズ、イヨカン、文旦、デコポンの幼木の鉢が並んでいます。そんなわずかなニオイでもキャッチするのか、9階なのにアゲハがアサガオのネット越しにじっと見ていることがあり、びっくりします。私がいると躊躇うのか、きびすを返し、また近づいて来るということをします。まるで人間みたいです。産卵中に遭遇したことはありませんが、気が付くと葉には卵や小さな鳥の糞みたいな幼齢幼虫(これは鳥に食べられないためにこういう姿をしているのだとか)が沢山いて、花や実を期待している私としては葉が丸坊主になると困るので、ピンセットでつまんでポイポイ除去していたのですが、今夏の始め、女子会でその話をしたらなぜか全員に人でなしと糾弾されたので、心改めて自然のまま放置しておくことにしました。どの幼木も丸坊主になった代わりにこの夏(7月8日~7月20日)は5匹のかわいい緑色の終齢幼虫と出会えましたが、1匹ずつ蛹になる前に姿を消しました。羽化する時に踏ん張れそうな所に蛹がいないか探しましたが、見つからず。這って行ける範囲のお隣や上や下のベランダに移動しても建物の構造は変わらないのにどこへ行ったのでしょう。鳥に食べられたかなと思っていたら、9月3日、ヒオウギアヤメの枯れ葉の中にアゲハのものと思しき抜け殻を一つ発見しました。こんな揺れる葉でよく踏ん張れたものだと思いました。壁やら屋根やら、幼木でもヒオウギアヤメの葉よりはしっかりしたリンゴとかもあるのに。あとの4匹は行方不明のままです。

丸坊主になってもまたいつの間にか新しい幼虫がいます。枯れては困るので、再び駆除を始めましたが、それでも今も1匹終齢幼虫がユズの上にいます。エサが足らなくても小さな蛹になって小さな蝶になる(諦め蛹化)と知ったので、心配せずに放っておくことにしました。
蛹になると神経以外どろどろに溶けてから蝶の体へと再構築されると知った時は心底「昆虫すごいぜ!」(これ面白い番組でした。もう放送されないのかなあ。残念です。)と思いました。

柑橘類ならなんでも食べるのではなく、孵化して最初に口にした種類以外は食べないとネットに書いている人がいて、それについても、良かれと思って丸坊主の木から少しでも葉の多い別の柑橘類に移してあげたのにイヤイヤをしたので、なるほどそういう事かと思いました。種類によっては食べるものもあるようですが。

臭角から分泌される外敵に対する防御成分については、図書館で読んだ小学生向けの解説書にはミカンの苦い成分が元になっていると書いてありましたが、ラベルした水素や炭素で取り込みを調べたら、植物由来ではなく、全く独自に臭角で生合成されていることが分かったそうです。(日本農芸化学会誌, 64(11), 1745(1990) )
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/64/11/64_11_1745/_pdf

殺生しないためには、産卵刺激物質を感知するというアゲハのお母さんの前脚が葉などに触れないようにネットでもかぶせるしかないのかもしれないですが、木の姿が見えないとつまらないので覆いたくはありませんし…。

また、アゲハはツツジの蜜をよく吸いに来ることから赤色が好きだと思われているそうですが、元々生まれつき好む色は雌雄とも青色だそうです。メスだけがニオイの影響を受けるそうで、花の香りがする条件下では赤色を選び、ミカンの木のニオイする所では緑色を選ぶのだそうです。産卵のためにメスは栄養を取り、食草を探し当てるようになっているなんて、やっぱり「昆虫すごいぜ!」です。
https://www.brh.co.jp/publication/journal/106/rp/research01/

その昔、蝶は苦手でした。飛んでいる時は美しいと思うのですが、鱗粉が嫌いで。蝶屋の人にはそんなもんタダのタンパク質の粉やん、と言われましたが、やっぱり嫌で。しかし、街中の9階までひらひらと度々訪れてくれると親しみがわき、幼虫たちがすぐ側でうごめいていることで興味を持つようになりました。シジミチョウの仲間やセセリチョウの仲間が来ることにも気づきました。
長年小学校の先生をしてきた友人は、参観日の当日に羽化したことがあるそうで、子供たち以上に大興奮したそうです。終齢幼虫を箱に入れたら蛹になる所と羽化する所を見ることができるかもしれませんが、このまま自然な状態にしておこうと思います。
それにしても植物も昆虫もその生存戦略はすごいと小学生みたいに感動しています。

写真
1枚目 9月25日朝 まず赤紫色の桔梗咲の花へ直行したアゲハ
2枚目 9月25日朝 すぐに続いて紫色の切咲立田葉の花へ入り込んだアゲハ
3枚目 9月27日朝 現在ベランダに1匹だけいる終齢幼虫(ユズの上)
4枚目 9月 3日朝 ヒオウギアヤメの葉にくっついていた蛹の抜け殻
5枚目 同上
6枚目 7月21日夕 丸坊主になった柑橘類 上段ユズ、イヨカン、文旦、下段ユズ、デコポン




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