近畿植物同好会 掲示板
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変化朝顔(その2)
磯野 久美子 投稿日:2022年09月20日 22:30 No.335
今朝咲いた変化朝顔です。この種子も友人が送ってくれました。開花するまでどんな花が咲くのか分からなかったので楽しみにしていたら、「車絞」(星形の模様)でちょっと「覆輪」(花弁の縁が白い)もある、うちでは初めてのタイプの花で嬉しかったのですが、この花が「台咲」であることに気付きました。(台咲:花筒が一度折り返し、花筒の中間に台ができて、花筒が短くなったもの。まるで折り畳み傘のような形で、初めて見た時はあまりの珍しさに驚きました。)
話を聞くと、うちで咲いた「台咲縮緬葉」の種子を、友人宅で別の朝顔の近くに蒔いたとかで、おそらく自然交配したのだろうとのこと。
ネットで勉強した所、アサガオは基本、自家受粉で、つぼみの中で最初めしべより短いおしべがだんだん長くなり、開花時に葯が柱頭を追い越し、花粉をなすりつけるのだそうです。しかし、開花時に未受粉の花も全くないわけではなさそうですし、きれいな花を咲かせてもいるので、虫の訪れを待ち、他家受粉のチャンスを狙ってもいるのでしょう。
この度は交配の結果、「台咲」の形質が現れましたが、「縮緬葉」(シワシワの葉)にはなっていません。また、茎もうちで咲いた「台咲縮緬葉」の緑色とは異なり、紫色をしています。変化朝顔は花だけでなく、葉の形や色、茎の色も色々で、いろんな子が出て来て面白いです。
一度、紫と白の花が咲く変化朝顔で、白い花ばかりが咲いた個体の種子を蒔いたら、その次の代でも白花しか咲かず、面白いと思いましたが、遺伝学の確認実験をしたり、人工交配して新しい変化朝顔を作ったりするような根気はありません。ただ、種子があれば蒔き、花が咲いたら愛でるだけです。
写真1枚目:今朝(2022.9.20)咲いた車絞でちょっと覆輪がある台咲の花
写真2枚目:1枚目の花の中心部
写真3枚目:1枚目の花を横から
写真4枚目:1枚目の花の後ろから
写真5枚目:今年(2022.9.6)咲いた「台咲縮緬葉」の花。先代、先々代と変わらず、渋い「鼠色」がとても粋です。


変化アサガオのページ 藤井俊夫 投稿日:2022年09月21日 09:18 No.336
●九州大学、アサガオのページ
http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/

●植物多様性ゲノム学研究室
http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~plantgenomics/nitasaka/index.html

●アサガオの全ゲノム解読
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/29275/16_11_08.pdf

●国立歴史民俗博物館で、8月に行われた特展
https://www.rekihaku.ac.jp/outline/press/p220803_a/index.html

●変化朝顔の花形態の変異は、動く遺伝子と言われる、「トランスポゾン遺伝子」によって、起こるといわれています。
https://www.nig.ac.jp/museum/history10.html


磯野 久美子 投稿日:2022年09月22日 01:10 No.338
藤井俊夫様

変化朝顔について沢山情報をいただき、ありがとうございます。
久し振りに九州大学の仁田坂先生のサイトを覗きに行ったら、「オンラインオープンキャンパス企画 研究室紹介動画」なるものができていて、これがとても分かりやすくてよかったです。

アサガオの形質はメンデルの法則にのっとって現れるということなので、紫花と白花の開花数を数えてみたり、この種子からこんな花が咲いたとか記録をつけたりもしてみましたが、出物はトランスポゾンで生じると言われると、「ああそうなんだ」と感心することしかできませんでした。しかし、このオープンキャンパスの動画を見て、実際にうちでも咲き分けなどの花が咲くこともあり、ああ、こういうものもトランスポゾンによるものなのだと分かり、ちょっとトランスポゾンが身近に感じられるようになりました。

アサガオのゲノム配列が全て解読されたことで、さらに近縁の植物の研究も進むとのことで素晴らしいと思いましたが、ネナシカズラがアサガオと同じヒルガオ科だと書いてあって、ちょっとビックリしました。認識を改めます。

歴博でも展示会をやっていたんですね。サイトに仁田坂先生のご講演「続・外国人がみた変化朝顔」のレジュメが「くらしの植物苑だよりNo.420」として掲載されていたので読みました。面白かったです。
今年の始めに長居で開催された「植物展」でもあのABCモデルの例として花弁のない朝顔とか少し展示されていましたが、どうも朝顔の展示会は関東でばかり開催されているような気がします。やっぱり江戸のものだからでしょうか。

変化朝顔の第一人者である仁田坂先生が受賞講演会の時に9種類の変化朝顔の種子を1粒ずつ詰め合わせたセットを配って下さったのが、私にとっては変化朝顔のみならず、なんでもタネを見たら蒔いてみるという行為を始めるきっかけとなりました。

園芸が全く未経験の私でも開花に至った紫色と鼠色の2種類の変化朝顔の、まるで絹織物のような光沢と日本古来の色彩のあまりの美しさに驚き、とりわけ鼠色の花など見たことがなく、台咲の形もさながら、中央の白い部分も繻子のような光沢で本当に美しく、思わずお礼のメールを差し上げましたら、お返事に「…花の色も気に入っていただけて嬉しいです。江戸期はあのような鼠、黒鳩、茶など渋い色合いが好まれました。いずれも主に、柿(dusky)という花色変異によるもので、色素にブドウ糖が付加されていないため溶解度が下がり顆粒状になった色素が光線を吸収するため暗い色彩になると理解されています。」と書いてありました。

9種類の種子を全部蒔いてみたのに、2種類しか開花に至らなかったことについては、その原因は一重に私が園芸未経験者であることによるのに、先生はこんな風に書いて下さいました。誠に恐縮の至りです。
「主要な品種は発芽率をモニターしておりほぼ100%であることを確認していますが、していないものもおおよそ大丈夫だと思っていたのですが、発芽率が悪かったというのが気になっておりますが、今後精進いたします。」

私としては変化朝顔についてはその美の世界を毎夏ちょこっと覗かせてもらって楽しませてもらえば、それで十分です。とりわけ今年は暑すぎたせいか、私自身がへばって世話がおろそかになっていたせいか、成長しなかった個体も多いので、ポツポツ咲いてくれるだけで満足しています。
仁田坂先生もご講演で、小学5年生の時にこの朝顔の美しさに感動されたことがこのご研究の始まりだと話されていたのがとても印象に残っています。
園芸植物に全くと言ってよいほど関心がなかったと言うか、どちらかと言えば人間のエゴが感じられるようなものには嫌悪感すらあった私ですが、毎年狭いベランダで物干し竿を犠牲にしてまで育てているのはなんだか分かりませんが、変化朝顔の魔力でしょうか。




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